満身創痍
「避けれな」
一角ウサギの角に目がいきがちだが、耳も長くて、大きい。
ワンテンポ遅れて、飛び込み、大きな耳でサマナを叩く攻擊を選んできた。
その攻擊で死ぬ事はないが、まともに受けたら体勢を崩し、角で刺しに来るだろう。
【ウインドシールド】の効果は消え、次の魔法の準備も出来てない。それどころか、一角ウサギの攻擊を見て、体が硬直しているのが分かる。
ならば!!
「ピキー!!」
一角ウサギが痛みにより、鳴き声を上げた。
「はれ!!」
俺様が一角ウサギの攻擊を口で受け止めたからだ。位置が丁度良かったのもある。最大限に口を開けて、耳を噛んでやった。
俺様の骨は特別な水晶ともあって、簡単には……一角ウサギの耳如きでは砕けないからな。
痛みが怯んでいる内に追撃をするべきところ。
そのまま地面に叩きつけるでも構わないぞ。それまで離すつもりは……
俺様に魔力が流れ込んでくる。ちょっと待て……まさか!!
「【ファイアボール】です!!」
サマナの声に反応して、思わず【ファイアボール】を口から吐いてしまう。
その結果……
「がぽっ……」
一角ウサギは焚き火に火をつけるぐらいの【ファイアボール】だが、超至近距離で耳を噛んだ状態だった事により、片耳が消し飛び、大ダメージを与える事に成功。
とはいえ、一角ウサギは俺様の口から脱出した事になる。
しかも、ダメージを受けたのは一角ウサギだけじゃない。
俺様もだ!! 噛んだ状態で【ファイアボール】を放つなんて、歯が弾け飛ぶところだぞ。頑丈な骨だから無事では済んだわけなんだが……
その代わり、俺様の目と鼻、口の穴から煙が上がっているからな。
サマナ本人は急な攻擊に混乱はしてそうだが、体は大丈夫そうだ。
ここで魔法を二回使うのは勿体ないが、状況的に仕方ないとは思う。
だが、せめて【ファイアボール】じゃなく、【ウインドカッター】にして欲しかった。
そういう判断も出来るようにしておくべきだな。
「まだです!!」
「『まだです』……だと!!」
確かに一角ウサギは大ダメージを受けたが、倒してはいない。反撃するにしても、立ち直るには時間を要する。
そこで更なる追撃を仕掛けるサマナの判断は間違っていない。
そういう時に相手も最後の力を振り絞り、攻擊を仕掛けてくる事もあるわけだが……
俺様の体は問題なくても、精神は満身創痍なんだが!!
魔力を流し込……んでこない!!
「まさか!!」
サマナは俺様を振り上げた。武器になるのは俺様しかいない。許可もしているわけだが!!




