バレた?
「確かに……魔物に移動の制限はないかも。ダンジョンはそんな感じなんだと思うし」
探索者試験はダンジョンを理解させるためにあるはずだからな。魔物を固定の位置に置くのもあるが、徘徊させる魔物を用意していてもおかしくはないか。
危険な魔物を用意していたとして、固定させるにしても絶対に通る道や重要な場所に置くはず。
でなければ、ランダムに遭わせて、回避、判断能力を試験官は見るだろう。
「そうと分かれば、気が楽になるよ。逃げる距離が分かるんだから」
ラビは叢から飛び出すタイミングを伺う。
マッドベアラーは未だに何かを探すため、木の枝では物足りず、木を押し倒そうとしている。それでも周囲の警戒は怠ってない。
「今!! ……って!!」
叢から出ようとする音が聴こえたのか。はたまた気配を感じ取ったのか。ラビが飛び出そうとしたタイミングで、マッドベアラーが俺様達の方へ顔を向ける。
ラビは飛び出すのを躊躇して、体が止まってしまった。下手したら、サマナが隠れている事もバレたかもしれない。
マッドベアラーはゆっくりと四足歩行に移行した。俺様達がいる場所へ体当たりでもするつもりか!!
「ここで飛び出すのはラビだけじゃなく、サマナのどちらかがヤバくなるぞ」
このタイミングがラビが飛び出したとして、マッドベアラーが反応するかどうか。そのまま直進すれば、サマナが危険になる。
逆の場合、ラビが突進を避けれるかどうか。二足なら兎も角、四足となるとスピードが増しそうだ。
今のサマナの防御魔法でも防ぐは不可能だ。スピードや重さもある。【ウインドシールド】で一度の攻擊を回避するにしても、突進は連続攻擊に見做されるかもしれない。
【アースウォール】であの巨体からの突進を止められるか。いや、破壊されるだけだ。マッドベアラーの攻擊力は普通の武器の威力を上回るはずだ。
奴の攻擊は普通に、タイミングを合わせて回避するしかない。
その突進を一度避ければ、奴も簡単には止まらないはずだ。その隙に逃げるしか……
「……あれ? マッドベアラーの視線が」
マッドベアラーは俺様、サマナがいる方向ではなく、南側に切り替わった。
しかも、四足歩行を止めて、二足で立ち上がった。導かれるように南へ移動し始め、次第に姿が見えなくなった。




