ブック
「取り敢えず、相談するのはブックを受け取ってからだね。それもダンジョンに入らないと開かないはずだよ。前回もそうだったからさ」
「ブックとは一体何だ? 単なる本ではないのか?」
シンキ試験官から『ブック』という言葉が出てきたが、その時に持ってたのは本。本と呼ばなかったのは魔導具の類か? 俺様が持つ知識にもないぞ。
「探索者に支給される魔導具だね。入ったダンジョンに関する情報が更新されていくらしいよ。魔物と手に入れたアイテムとか。地図は……なかったかな? 今回ははじまりのダンジョン、試験用のブックだから。ダンジョンにいる魔物の情報とか、何処にアイテムがあるのかのヒントもある書かれていると思うよ」
「……それに魔物のポイント。私達が手に入れないと駄目なアイテムの情報が書かれているかも知れないんですね」
ラビとの会話にサマナも加わる。周囲に怪しまれないためにも、俺様よりもサマナが返事をした方がいいからな。
「だね。渡されるブックにそれぞれが手に入れないと駄目なアイテムも書かれてると思う。それ次第でポイント関係なく、倒さないと駄目な魔物が出てくると思うよ」
合格するために必要なアイテムはダンジョンに設置されてる物ばかりではなく、魔物を倒す事で手に入る事もあるわけだ。
それ次第でどの魔物を倒すかが決まるといっても過言じゃない。それだけではなく、誰よりも先に見つける必要も出てくる。弱そうな魔物だったら、真っ先に狙われて、ポイント稼ぎをされるからな。
「ダンジョンへ移動してもらう。呼ばれた者は奥の部屋に来るように。仲間がいた場合、共に入れ。参加者はそれぞれ別の場所から開始されるようになっている。一緒に入る事でそれは回避可能だ。最初だろうが、途中からだろうが行動を共にするのは分かるからな。その時点で入手しなければならないポイントは増えるぞ。」
ガイエルとドランクは先に奥の部屋に移動する。ダンジョンに行く魔導具の操作や、参加者達にブックを渡す役目があるからだな。
「最初は」
一人目の名が上げられた。それに追随するように仲間の参加者が奥へ。
途中から仲間と合流してもバレるなら、最初からの方が良い。ポイント量もその時にならないと分からないのはキツイ。
次々と名前が呼ばれていく中、シルティの番になる。
「私は一人だから。誰かが勝手に来るような事があったら、やめさせて」
「分かった。そのような不正はさせないから安心しろ」
シルティはシンキ試験官に言い残して、さっさと奥へ。
残っている参加者はサマナとラビ、ガキ共三人だけだ。
アイツはサマナの事を言ってるのか? そんな事は俺様やバーバラが止めるから。それとも、サマナ達がここに到着する前、ガキ共が声を掛けたのか?
まぁ……奴が一人で実力を示したいだけな気がするんだが……
「……俺達とお前等が最後まで残るなんてな。この試験で恥をかかされた分のお返しはしてやるからな」
「ボッチに負けるわけがないんだからな。対抗策もあるんだ!!」
ガキ共はそう言い放って、サマナ達よりも先にダンジョンへ。
最後に残ったのはサマナとラビ。最後に出発するのは最初の参加者よりも時間のロスがある。
その分、何かしらの徳が……残り物に福があってもいいんじゃないか?




