顎髭
そうだ!! 顎髭も俺様の声が聞こえていたはず。受付でサマナとの会話時、俺様を見ていた気がするぞ。
もしかして、危険物として、サマナから取り上げるなんて事はしないよな……その場合、サマナが頑なに拒否して貰うしかない。死霊術師なら問題ないと言えば大丈夫か?
「登録はしたが、参加料を払ってないぞ。でなければ、明日にギルドへ訪れても意味がないからな」
「……そうでした。すみません」
サマナは顎髭に頭を下げる。ここはラビが悪いだろ。参加料を立て替えておくと言ったのなら、一緒に来るべきだったからな。
「ゴメン!! それは僕が悪いよ。参加料を先に渡しておくべきだったから。試験が終わって、落ち着いた時に返してくれたらいいから」
ラビもそれを思い出して、顎髭に参加料を渡した。奴等に喧嘩を売られて、それどころじゃなかったのもある。
「確かに頂戴した。……俺はお前……サマナに期待している。死霊術師は探索者においても唯一無二の存在だと考えているからな。ダンジョンにおける情報を一番持っているのは、その場で亡くなった探索者だからな。その声が聞こえるのは価値がある」
顎髭はラビとサマナだけに聞こえるように話す。他の探索者にすれば戯言扱い。もしくは、死霊術師の勧誘が激しくなるか。
サマナは仲間を増やしたいわけだが、本人ではなく、死霊術師目的だとすれば、サマナの負担にしかならないだろうしな。
とはいえ、顎髭は死霊術師の本来の役割を把握し、サマナに期待をしているようだ。それを考えると、顎髭は見る目があるのか? 最初に追い返したのも、装備が不十分なのもあったわけだが……
「少しの間に幽霊も使役している。何処で見つけたのかは問わないが、魔導具を扱えているのは死霊術師の足りない部分を賄えるのも大きい。意識を持っているのは、死霊術師としての力なのかは……聞かないでおこう」
「もしかしてだけど、私の事が見えてるのかな? 今は朝だし、さっきの子達は見えてなかったでしょ。流石に声は……聞こえてたりするの?」
顎髭は視線をバーバラに向けている。ガキ共に見えてなかったのは確かだ。
バーバラが意識して見えるようにしているわけじゃない。まして、朝に効果があるかどうか。
それを顎髭は何もせず、見えてるわけだ。この分だと声が聞こえていてもおかしくはない。考えられるのは……
「あの……オジサンは」
サマナは俺様やバーバラの代わりに質問しようとする。
「……ガイエルだ。ガイエル=バルザック。オジサン呼びは止めてくれ。ガイエルで構わない」
顎髭の名前はガイエル=バルザック。バルザック……その名は聞いた事あるような気がするが……流石に関係ないだろうが……
サマナに名前呼びをさせるのか!? お得意様になれとでも!! 受付は毎回俺のところに来いと!!
「が、ガイエルさんは死霊術師だったんですか?」




