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私、覚えてますか?

「あ、あの……」


 サマナは言葉を詰まらせながらも、白髪オッサン……顎髭と視線を合わせる。ギルドに来るまで、下を向いてたからな。それだけの成長はしているな。


 顎髭も煙たがらず、ジッとサマナに視線を合わせる。このオッサンも受付なんだから、サマナに一声を先に掛けてやっても良いんじゃないか?


 いや……顎髭の表情に変化ありだ。


「君は……あの時の死霊術師か」


「お、覚えているんですか?」


「参加者だとしても、顔は覚えている。君は職業に対しての属性も特殊だったからな」


 顎髭は腕を組みながらも、サマナに笑みを返した。


「今日来たのは、明日の探索者の試験を受けるための登録をするためだな」


「は、はい!!」


 サマナの緊張が増した事が、俺様を持つ手の震えで分かる。一度は追い返されてるからな。笑みを返されたとしても関係ない。逆にそれで追い返された方がキツイぞ。


 顎髭はサマナの上から下……俺様にも目をやる。そして、出入口の前に立つラビにも視線を向けた。顎髭はサマナが来た時から見ていたようだな。


「……なるほど。前回来た時とは見違えたぞ。仲間が出来た事もそうだが、お前の体にある魔力の流れも変化して、使い方を覚えたのが分かる。それに装備も……試験を受けるのには十分か」


 顎髭はサマナの見た目だけじゃなく、魔力の流れさえも見えているようで、努力を認めたようだな。


 それだけじゃなく、『装備も……』と顎髭が言葉を止めたが、その時に俺様をジッと見てきたのも確かだ。それにサマナの背後……バーバラにも目を向けなかったか?


 サマナの変化に気付いたのなら、俺様が特別である事にも分かったのかもしれないか。バーバラに関しては確信がない。夜ならまだしも、今は朝だからな……


「いいだろう。今回のはじまりのダンジョン、探索者試験に参加する事を許可する。水晶玉に触れる事で、登録可能だ」


 顎髭……だけじゃなく、他の受付の奴等がいるカウンターの側に水晶玉が置かれている。それで情報を組み込む事が可能なんだろう。


 依頼受領、報告等だな。女の受付と話している探索者も水晶玉に触れている。


 サマナも横をチラっと見て、見様見真似で水晶玉に手を置く。すると水晶玉の色が数秒変化した。


「完了だ。探索者試験を受けるための事前情報は必要か?」


 探索者試験の登録完了。それが終わった事で早々に帰る事も出来る。情報はラビからすでに貰っているわけだが……


「はい!! お、お願いします」


 サマナがそれを断るわけがないんだよな。認めてくれた相手なら尚更か。


「分かった。探索者の試験ははじまりのダンジョンを時間内に攻略する事で合格となる。単に最下層に着けばいいわけではなく、参加者それぞれに課題が与えられる。それをクリアしなければ意味がないからな」


 その話はラビが聞いた通りだが……


「勿論、参加者同士で協力するのは構わない。魔物との戦闘もあるからな。ただし、参加者同士の戦闘は禁止だ。だが、罠を仕掛ける等の邪魔をする事は認められている。本来のダンジョンでは、探索者同士が争う場面がある事は覚えておけ」


 ラビは罠に嵌っただけで、邪魔した奴等は戦闘行為と認められなかったわけだ。


 逆にラビの方が一人を蹴落した事のは、戦闘扱いになった可能性もある。

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