不幸に慣れてます
当然、契約によってメリットもあれば、デメリットも存在するわけだ。
俺様には都合が良く、サマナにとっては悪い事だ。知識や魔法を与える分、見返りは必要になるからな。
「悪い事……ですか? 私なら大丈夫ですよ。そういうのには慣れてますから」
「……それは慣れては駄目だろ」
そこはサマナが驚き戸惑うところなんだが、不幸に慣れてしまってるのもあって、素直に受け入れてるのが何故だか癪に障るぞ。
「この髑髏は驚かせるために言ってるだけ。外に出れるだけで十分のはずだよ」
オジサンの幽霊は俺様の目的の一つを言葉にして、彼女を安心させようとしているが、これを言ったら、どう反応するか。
「外に出るためでもあるが、サマナの願いが叶ったところで、死ぬまで離れられないぞ。勿論、俺様じゃなく、サマナが死ぬまでだ。そして!! 俺様は嘘を吐かれるのが嫌いでな。お前は嘘を付けない。これは所謂呪いだ。嫌だという気持ちが……ん?」
契約が完了している以上、サマナは嘘を吐く事は無理のはず。俺様は吐けたりするんだが……悪い事が起きても良いと、サマナは本当に思ってる事になる……よな?
「ずっと一緒にいてくれるの? 本当だったら、嬉しいです」
呪いはちゃんと発動してるのかよ……と逆に疑いたくなるが……本当っぽいぞ。
「良かったね。面倒臭い奴だと思うけど、コイツの事を頼むよ」
「私達もようやく静かに眠れるから」
「コイツなんかにサマナちゃんは勿体ないと思うけど」
「サマナちゃんは一人でいたからね。私達はこの場から離れないし」
幽霊達はサマナを俺様のところまで案内するよりも前から知ってたんだろう。
見守るだけが、彼女と離れる事が確実になると、お別れの挨拶を言うために近寄ってくる。
付き合いの長い俺様には一言もないんだが!!
いや……杖を持った老婆の幽霊だけが俺様の側に来たか。流石に年を取ってるだけ分かっているな。
「見つかったよ。このマントをサマナちゃんの大きさに切ったからね」
女幽霊は黒のマントを見つけて、サマナに合うように仕立てた。仕立てたといっても、切っただけだ。
ここにある道具等は魔力を帯び、幽霊達が触れる事も出来る。そのマントを女幽霊はサマナに付けやっている。
それがあるだけで、ボロボロの服もある程度は隠れるわけだが……
「おっ!!……貴様!! 一体何を」
「似合ってると一言ぐらい言っておやりよ。女の子の扱いも分かってないね」
老婆の幽霊が俺様に説教してくるのは何度もあったが……問題は別にある。
俺様は痛みをは感じないが、骨の違和感は分かる。サマナの文字が中に刻まれたみたいにな。
それが起きたのは老婆が近寄ってからだ。
「そこじゃない。俺様の話を……って!! 視界が斜めになってるんだが!! まさか……」
俺様の体がサマナに近付いていく。老婆の幽霊が運んでいるわけだが、その手の中にあるわけじゃない。位置的に宙へ浮いてる感じなんだが……
「ほいよ。この方が怪しまれずに済むじゃろ。コイツの頭は骨でもそこらの物よりも硬いからね。武器として使いなされ」
そうだ!! 老婆の幽霊は持ってた杖を俺様に突き刺し、髑髏の杖にしやがった。




