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アジマルの街


「ふん!! ここはサマナに代わり、俺様が宣戦布告をしてやる。お前等を蹴落として、ラビと共に探索者試験を合格してやる。いや……お前等が二度と探索者になりたいと思わないようにしてやろうか!!」


 俺様は喧嘩を売ってきた奴等に毒を吐く。


 あの時の会話で、フラグが立った気はしたが、それを越えた展開だったからな。ここは俺様の出番。固まったサマナの代わりに、ラビの言葉に続けてやる。


 何が起きたのかは、アジマルの街に到着した時まで時間を少し戻そうか。


 そんな魔法はなく、俺様の回想だ。



「おおっ!! これが街か。賑わいも……アゴ」


「しゃべらないんじゃなかったわけ? 口がカタカタ動いたら、余計に注目を集める事になるから」


 俺様は街の風景を見て、テンションが上がり、思わず声が出たところを、ラビの手で抑えられてしまった。


 アジマルの街は朝にも関わらず、店店が開き、人間達が多く歩いてる。探索者らしき服装をした奴等もいる。こういう風景を見るのはいつぶりだろうな。


「す、すまん。気をつけるつもりだったが」


「いいんだけど……サマナの方は大丈夫そう? ガイコツと正反対だよ。体が小刻みに震えてない?」


「だ、大丈夫です。人の多さとか色々と慣れてなくて」


「……慣れていくしかないな。探索者になれば、ダンジョンに行くだけではなく、街にも行く必要が出てくるぞ」


 サマナはラビが指摘したように体が若干ながらに震えている。顔色も少し悪い気もする。


 孤児院でのサマナに対する扱いもそうだが、一人でいる事が多かったのも原因だろうな。


 だが、探索者になるのなら、ダンジョンに応じた道具が必要になるはずだ。毎回野宿をするわけにもいかないぞ。


 サマナは街で歩くのに慣れる必要がある。丁度良い機会だ。ラビがいてくれて助かった。


 俺様やバーバラだけだと下手に目立つだけなのも分かる。


 しかも、バーバラは今も寝ているからな。寝惚けて、サマナに抱き着いてる状態。それが功を奏してる。とはいえ、震えている原因はそれじゃない。


「今回は登録するだけで、すぐに森へ戻る事にしよう。魔法の練習の続きもあるしな。それに……」


「その方がいいよ。今回は僕がお金を立て替えておくからさ。試験に合格した後にでも払ってくれたらいいから」


 はじまりのダンジョンの参加登録には金が必要らしいが、サマナは今のところ無一文。墓守の仕事をしてたが、汚ッさんから金を奪うのを忘れてた。


 隠し部屋にあった幾つかの物は俺様の中にあり、売るつもりでいたが、サマナがこの調子だと時間が掛かるだろうな。


 ラビに代わりにしてもらう……のも問題だ。


 その分の金を請求される……可能性もゼロじゃないが……ラビもサマナ同様、調子が悪そうだ。


 尻尾が常にピクピク動いてるし、ウサ耳もペタンと倒れてる。その姿はまるで……獣人とバレたくないのか。耳を寝かせたところで、手足でバレバレなんだがな。

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