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地図の作成者

「覚えてないよ。だって……必要ないんだもん。本当のダンジョンなら、やるべきなんだと思うんだけどさ。そういうのが苦手なのもあるけど」


 ……確かに。ラビはそういうのは苦手そうだ。職業の格闘士は体を動かす事で記憶するタイプ。俺様の中ではイメージ、知識がある。


 それにラビの大きな手は殴るのに向いてるが、筆を持つのは難しいだろ? 地図を作るのにもセンスはいるからな。


「わ、私がします!! 紙と筆を準備しないと駄目ですね」


 ラビが駄目なら、自分がするとサマナは挙手するが……俺様の知識の流用で文字の読み方や書き方を覚えたばかりだ。まして、俺様の知識があっても地図を上手く描けるとは思えないぞ。


「それはダンジョンに慣れてからにしておけ。攻略だけに集中するべきだぞ。サマナの文字や絵もどんなのか確認してからなのもあるからな」


「それならお姉さんの出番ね。戦闘で役に立てない分、そっちは任せて貰おうかな」


「……何? 幽霊が地図を作る感じなの?」


 ラビの目にはバーバラの姿が見えた状態だが、声だけは聞こえていない。だが、自身満々に胸を叩く姿から、何となく分かったんだろう。


「……自身満々なのは良いんだが、筆や紙はずっと持ち続けられるのか? 途中で無くしそうな気がしてならないぞ」


「うっ!! それはそうかも。朝になったら、落としそうかな」


 ダンジョン攻略をするのは夜とは限らない。むしろ、仲間がいれば、朝昼から攻略開始する気がするぞ。


 最初から地図を描けなければ意味がないからな。


「仕方ない。ここは俺様の出番」


「なわけないでしょ!!」

「それはないかな」


「な、何だと!! 何故だ!!」


 バーバラとラビは即座に否定してきやがった。せめて、最後まで言わせて欲しいぞ!!


「手がないから」


 ラビは直球で答えを投げつけてきた。バーバラも深く頷いてやがる。


 そうだ。俺様には手がない!! 手どころの話じゃないからな。杖に付属させる呪物にすぎないのが俺様だ。


「結局はサマナが書く事になるのと同じじゃないの? 筆は口で挟めても、紙はどうするわけ? サマナが持つしかないよね?」


 ラビに正論を叩きつけられるなんて。馬鹿だと思っていたが、洞察力はあるようだ。


「残念だったな。地図を作成する魔法はあるんだ。行動中、自動で描かれる。壁や地面に映し出してくれる使用だぞ」


 補助魔法の一つ。ダンジョン用に開発された魔法だ。昔もダンジョンは存在しており、迷子になる冒険者がいたからな。


 行動中、常に最小の魔力を消費するのがネックではある。更に地図を映し出すのにも追加の魔力を必要となる。


「地図もそのダンジョン用だと記憶されるから、別のダンジョンと間違う事もないぞ」


 その魔法が今は存在せず、昔だけの魔法なら、俺様の手柄になるわけだ。


「……それもサマナちゃんの魔力がないと無理よね? しかも、今は魔力量も少ないんでしょ?」


「アガ!! ……知識だけあっても駄目だった」


 ラビに続いて、バーバラにもツッコミを入れられ、アゴが外れそうになってしまった。


 魔法を使うには、サマナの魔力が必要。俺様は無力だった……

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