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幸運な人

「……怖くないですか?」


 サマナは恐る恐るウサギ女に尋ねるが、この感じだと大丈夫そうだ。


 今の人間と獣人の関係性は知らないが、魔族寄りという言葉に嫌味はなく、むしろ好意的に言ってた風だったからな。


「コイツには驚かされたけど、君は怖くないよ。むしろ、良い奴の匂いがする。むしろ、僕にとっての幸運の人だから」


 ウサギ女は打って変わり、顔をキラキラさせながら、サマナの手を両手で握り締める。


 サマナを『幸運な人』呼びするなんてな。コイツは不幸な奴……いや、俺様が幸運を呼んでるのかもしれないな。


「私が『幸運の人』ですか!? そんなの初めて言われました。けど……」


「おおっ!! 少しは疑う事を覚えたか。逆にそんな事を言われたら、疑いたくもなるよな!!」


「勿論だよ。その前に聞きたい事があるんだけど? 君の名前は?」


「名を聞きたい時は、まずはお前から名乗るのが筋だろ?」


「僕は彼女に聞いてるんだから。お前なんかに聞いてないぞ。べーっだ!!」


 ウサギ女は俺様に向かって、舌を出してきた。サマナと態度が全然違うんだが!!


「このっ!! サマナ。コイツを仲間にするのは」


「ふふん!! そう言うお前が口に出してるんだけど」


「しまった!!」


「はぁ……アークは黙っておきなさいよ。話が進まなくなるからさ」


「くっ!! ……少しだけだぞ」


 ウサギ女の態度の悪さに思わず口に出してしまった!! しかも、会話の邪魔をするなとバーバラに注意もされる始末。


「サマナって言うんだ。僕の名前はラビ、ラビ=ビート。職業は格闘士。僕は探索者になりたいんだけど、サマナもそうなのかな?」


 ウサギ女の名前はラビ。やはり、ラビも探索者になるため、はじまりのダンジョンの試練を受けるつもりのようだな。


 という事は、サマナのライバルになる。その逆にもなり、受ける人数を減らしたいのか!?


「そうです!! 死霊術師ですが、探索者になりたいんです!!」


 探索者を目指す者同士だった事で、サマナもテンションが上がってるわけだが……


「だよね!! だったら、僕と協力しないかな? 二人ではじまりのダンジョンに挑もうよ。つまり……仲間にして欲しいんだけど」


 サマナが勧誘するよりも先に、ラビが言ってくるのか!! いや……俺様が口走ったのも悪かった。


「いいんですか!!」


 サマナは満面の笑みですぐに返事をしそうな勢いだ。すでにOKしているようなものなんだが……さっきは『幸運な人』と呼ばれて、少しは疑ってただろ!?


「ちょっと待った!! そこは黙ってられないぞ」


『最初の仲間はシルティにするんだろ!!』 とまでは言えない。なんせ、誘ったのはサマナじゃなく、ラビからだからだ。


 ただし、ラビがサマナを仲間にする理由を聞く必要がある。なんせ、さっきまでは敵対……とまではいかないが、俺様達は被害を受けてたわけだからな。

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