トラップ・トラップ・トラップ
「ふっ!! バレたのなら仕方がない。俺様は話せる呪いの杖だ。それで……お前は今回も飯を盗むつもりか。それが出来ると」
「ちゃんと毒じゃないのを選んでるので、大丈夫だよ」
「お、おい!!」
俺様はウサギ女を煽るつもりが、サマナが食べ物を毒なしの安全な物だと教えてる。
俺様とサマナのウサギ女に対する扱いが違う……と思うだろ。これは仕組まれた物だ。
俺様も敢えて、何を言うんだ!! みたいな風な慌てたような口振りをしている。
「勿論、言われるまでもなく、それはそれでくからね。次は魚を用意しておいてよ。次で終わり……今日で終わりにするつもりだから」
次と今日を言い直したな? 明後日には来るつもりはなかった……二日後は探索者の試験がある日だ。
コイツもはじまりのダンジョンに行く可能性は十分ある。
ウサギ女相手に魔法が通用しなければ、サマナが合格するのは難しくなるだろうな。
「その言葉、そっくりそのままお前に返してやる。簡単に俺様達がやられると思うなよ」
「そ、そうです!! それで貴女と」
「その先は言わなくていいからな」
サマナは友達、仲間にすると言うつもりなんだろうが、今の状態だと挑発、馬鹿にしてる事になる。それも良いかもしれないが、変にサマナを攻撃されたら面倒だ。
「何をしたいのか分からないけど、お前達は僕のスピードについていけなかったんだから、どうしようもないよ。詠唱よりも先に動けるからね」
ウサギ女はサマナが魔法を使う前に動き出した。正面からではなく、側面。森の木々や叢で姿を隠し、移動する方向を僅かながらにズラしていってるんだろう。
サマナの目で捉えられなくても、木の枝を踏む音や叢に入る音で、何となく予想出来る。
それだけでなく、俺様達の気を逸らすため、サマナに向けて、小石を投げてくる。狙いはサマナだと思わせるためだろうな。
サマナも律儀に小石が投げられてくる方向に顔を向け、ウサギ女の狙いに嵌っている……と奴自身は思うはずだ。
「まずは腹ごしらえの焼きキノコを頂きま……ま!!」
ウサギ女が焼きキノコが刺さった枝を取ろうとする直前、その手は枝を掴む事なく、すり抜けた……というよりも、スカをした形だ。そして、思わず態勢を崩してしまってもいる。
「な、何で? 何が起こったわけ?」
「くっくっくっ!! 無様な格好だな。お前は魔法の事をまるで分かってない。だから、簡単な罠にも引っ掛かる」
俺様は転んだウサギ女を見下ろし、馬鹿にしてやる。額に落書きをされたのだ。これぐらいはしても構わんだろ。
「ムッキー!! 骨のくせに僕を馬鹿にして!!」
ウサギ女はすぐに立ち上がり、焼きキノコよりも俺様を標的にしたようだ。
「猿みたいに吠えて……魔法の説明はいいのか?」
「いらないよ!! さっき発動したばかりなんだからね」
奴は無防備に突撃してくる。サマナに攻撃……というよりも、俺様を奪うような仕草なんだが……




