性別あります
「ガイコツさんは額の文字を消したいんですよね? 埃みたいに貰ったマントで拭くよりも、水を使った方が落ちると思って」
「そ、そっちか。……森の中に水浴びが出来る場所があるのか?」
サマナは自分よりも他人を優先する奴だ。俺様に書かれた落書きを消すための選択。自分が入りたいからじゃない。嘘を吐けないから、俺様を洗うよりも先に言葉に出るはずだからな。
「小さな湖があります。そこで何度か体を洗わせて貰いました。毎日は……オジサンが時間の無駄だと行かせてくれなかったから」
「アイツにはやはり罰が必要だったかもしれないな」
という事、森の中でも墓場寄りという事か。
体を洗うのが時間の無駄だとか、汚ッサンには罰を与えてやるべきだったな。
「まぁ……俺様の落書きを消して貰えるのは助かる……が、サマナも体を洗っても構わないぞ。俺様が見張りをしてやる。今度こそ寝る事はないからな」
「……良いんですか?」
「当然だ。俺様の契約者なんだからな。綺麗になるのに問題があるわけがない。誰も駄目とは言わないぞ」
「ありがとうございます。なら、ガイコツさんも一緒に入りましょう」
「ア、ゴ!?」
「だ、大丈夫ですか!?」
サマナの衝撃発言に危なくアゴが外れそうになっただろ。
『覗かないで』と言われると思ってのたが、『一緒に入りましょう』だと!! サマナの体が見窄らしくとも、俺様に血があったら、鼻血が出てたわ!!
「……ふぅ。サマナは俺様を洗った後、ゆっくり水浴びをすればいい。『一緒に入りましょう』という発言を異性に言うのは止めておけ。一応、俺様も男だからな。女の裸を見るのは……」
「ガイコツさんに性別があったんですね!?」
「当然だ!! 骨だけだが、性別は男だ。ずっといる身だが、そこは気にしておけよ」
俺様の姿からして、性別はないと思ってたのか? 喋る呪物でしかないから、そう思うのも間違いではないか。
「う〜ん……ガイコツさんなら別に良いと思うけど、注意します。私もそこまで知識がないから、色々と教えてくださいね」
「おふ……当たり前だ」
恥ずかしい台詞を、サマナはことも無ければに言う事から困る。
俺様の知識はサマナの中に流れるはずだが、止めてる部分もある。昔と今とでは常識が違ってもおかしくないからな。
一気に知識を流しても、サマナの頭がパンクするだけだ。
「では、その湖の場所に移動するぞ。移動しながら朝飯も捜す事にしよう。勿論、奴に対しての警戒は俺様がしておく」
今のところ、ウサギ女が近くにいる気配はない。深夜、俺様の額に落書きをしたのなら、何処かで眠っている可能性が高いだろう。
湖に行く際に見つけた場合、同じような事をしてやる。単独行動なら、奴本人もなかなか気付けないだろうがな。




