種族は問いません
「……奴は馬鹿なのか? あんな捨て台詞を吐いたら、警戒するなり、場所を変えるなりするだろ」
あの女がサマナの御飯を狙ってくるなら、場所を移動するなり出来るからな。
獣人の嗅覚が鋭いなら、匂いで追い掛けてきたとしても、罠を仕掛ければいいだけだ。
まぁ……そんな事すれば、【ドクロフラッシュ】を喰らわした時みたいに騒ぎそうではあるがんだが……
「次からはウサギさんの御飯も用意しておかないと駄目ですね」
「……はぁ。お人好しにも程があるぞ。サマナがそうしたいなら文句は言わないが」
「はい!!」
サマナは御飯を奪われた事に怒ってない。むしろ、次回の時はアイツの分も用意するつもりだ。
シルティみたいにアイツも仲間に加える算段。餌付けでもして……なんて事は考えてないだろうな。
最悪、サマナの魔法の練習相手にでもなってもらおうか。奴に魔法を放つのを嫌がるかもしれないが、防御魔法なら問題ないはずだ。
勿論、守るのはウサギ女じゃなく、サマナでもないわけだが……
「それにしても奴は一体何をしてたんだ? 獣人達も街にいるのか?」
人間と獣人の協力関係が共存関係に変化しているなら、同じ街にいてもおかしくないわけだが……
「……分からないです。私が街に行ったのも数える程度で」
サマナも獣人を見るのは初めてと言っていたな。それに孤児院にいたのなら、街に行くのも滅多になかったのかもしれないか。
「でも……街とは別に獣人の村はあったかもです。先生がそんな事を言ってました……先生というのは、私達の親代わりの人達の事です」
親代わり……サマナを孤児院から追い出した奴等の事か。
「凶暴な人達で、見たとしても関わらず、逃げるようにって……けど」
「……アレを見たらな。サマナに攻撃を仕掛ける事もなかった」
アイツは【ドクロフラッシュ】を受けても、サマナに攻撃をしてくる事はなかったからな。飯は奪われたわけだが……
孤児院の先生方はろくでもないって事だな。
街の奴等も獣人達の事をどう思ってるかによる。それによって、ウサギ女も街になかなか近寄れない可能性もあるわけだが……この森にいた理由だな。
サマナやあの女みたいに何かの練習をしていた? だったら、獣人の村付近でいいはず。
「もしかしてだが……獣人も探索者になれたりするのか?」
人間や獣人関係なしに、探索者になるための場所が決まっているのなら、始まるまでの間、この森で待っていてもおかしくはないだろうな。
御飯を奪った時の動きも悪くなかった。人よりも大きい手足は、武器を所持するのは難しいかもしれないが、殴る蹴る攻撃は凄そうではあるぞ。
「なれると思いますよ。種族問わずと書かれてましたから。あの子も探索者を目指してるなら……」
「……下手に勧誘し過ぎると、駄目になるからな」
あの女に続いて、ウサギ女もサマナの仲間にしたい候補になったな。どちらもサマナの事を良いとは思ってなさそうなんだが……
俺様が何とかするしかないんだよな。




