誰でもお腹は空くものだ
【ドクロフラッシュ】を受けたせいで、相手は両手両耳で目を押さえているんだが、その姿は獣というよりも人間……
「……獣人か? 今も存在するんだな」
「そうですね。私も会うのは初めてです」
獣人。獣と人間のハーフとでも言うべきか。
勇者と魔王時代では魔物だったが、人間側に協力した事で、和平を結んだのを聞いた事がある。
俺様とサマナの目の前にいるのはウサギ型の獣人。髪同様に白く長い耳や尻尾もあり、手足も獣型で人間達よりも大きい。
見た目はサマナと同年齢ぐらい。性別は女だと思う。
全身が毛皮ではなく、服を着ている。サマナよりもちゃんとした服装だな。といっても、シャツと尻尾が出る穴があるズボンだけ。靴は履いてない。
「うぅ……僕が一体何したっていうんだよ」
「ご、ゴメンなさい!!」
獣人の泣き声で、サマナは反射的に頭を下げた。
彼女の目が回復しそうなのか、目から耳が離れ、手でゴシゴシとしている。
「謝る必要ないぞ。俺様達を見てたのは間違いないからな。警戒はしておかないと」
ぐ〜!!
どこからともなく、大きな音が鳴り響く。その音は空腹に鳴るお腹のような……
「わ、私じゃないですよ。木ノ実やキノコを食べたのを、ガイコツさんも知ってるますよね?」
今も焚き火の側にはサマナが食べ切れなかった焼きキノコや木ノ実が枝に刺さったまま置かれている。
焼きキノコが良い匂いを漂わせていたのかもしれない。
「……コイツか。そうだとしても、サマナみたいにそこらにある物を取ればいいだろ?」
匂いに釣られてきたのが正解なのか、顔が紅くなっているぞ。コイツの場合、顔は人間風だ。
「う、うるさい!! 毒なのか分からない物を食べたくないんだよ!!」
……一度は食べた事があるんだろうな。俺様の知識があるお陰で、サマナも毒キノコを選ばずに済んだまであるからな。
「それなら、これを食べて貰っても」
サマナは残ったキノコを分け与えるためか、焚き火の方に視線を向けた。
「おい!! コイツから目を離す奴が」
獣人の目が完全に回復したのか、サマナが後ろを向いた時に動くのを俺様は見落とさなかった。
サマナを気絶させて、食料を奪う可能性がある。なんせ、俺様達はコイツに目潰しを喰らわせたわけだからな。
「えっ?」
サマナが再度獣人の方に振り返ると、その姿はない。
いや……奴は反対側に回り込んだ。そこから攻撃するつもりか!?
防御する方法なんて全く教えてないぞ。
「馬鹿!! バ〜カ!! こっちだよ。君達の御飯は頂いたからな。僕を攻撃した罰として、次も奪いに来てやるから」
ウサギ女はサマナに攻撃せず、焼きキノコが刺さった枝と木ノ実を持って、捨て台詞を吐いてから逃げ去って行った。




