見た目は◯◯◯
「やってみたら分かる事だ。まずは火の魔法……【ファイアボール】を使ってみるぞ。今回は俺様の頭ではなく」
「ちょっと!! ここは私の練習場所よ!! 何かするつもりなら、別の場所に行って欲しいんだけど」
俺様は誰かが来た気配を感じ取り、喋るのを止めた。汚ッサンの時はサマナを助けるために声を出したが、探索者になる前に怪しまれるわけにもいかないか。
「す、すみません。すぐにでも別の場所に行きますね」
「そうしてちょうだい。練習の邪魔になるわ」
サマナは謝るため、女の方に体を向ける。声からして、女と分かったからな。
サマナと同年代ぐらいか? 金髪に蒼眼。髪を括る程の長い髪。背はサマナの方が低い。
彼女も細身……というよりもスタイルが良く、美人の部類に入るんじゃないか?
普通ならその顔に目が行くんだが……それ以上に目立つところがある。
「……マジか」
女の姿に見て、俺様も思わず声が出てしまう程だ。
それは彼女の装備だ。サマナと違って、見栄えの良い装備をしている。
質の良さそうな胸当て、籠手、足当ての軽装備。重装備は女に荷が重いのもあるだろうが……
驚くのは防具じゃなく、武器の方だ。
サマナは俺様を装備している事で、奇異に見られるかもしれないわけだが、女の場合はイメージに合わないからだな。
彼女の武器は斧。背中に背負っていて、体からはみ出た状態だ。それを二つ。
双剣ならぬ、双斧使いか。それを想像してみると、悪役? 見た目が殺人鬼のような感じになるぞ。
「……何? 貴女以外に誰かいるわけ? 男の声が聴こえたわ」
女は周囲を確認する。サマナは俺様の呪いで嘘は付けない。
サマナは俺様から発した言葉と言うしかないが……変な目で見られるのは間違いない。
探索者になる前にはどうにかして避けたいところだが……
「えっと……」
「……いいわよ。貴女の見た目からして、仲間がいるように見えないし。私が単に気にし過ぎなだけね」
「ご、ゴメンなさい」
女はサマナの装備を見て、勘違いしてくれたようだ。サマナに仲間がいないのは間違いないんだが……女自身も誰かに思われていたのかもな。
でなければ、『単に気にし過ぎなだけね』という言葉は出てこない。
サマナは早々にこの場から立ち去れば良かったのに……
「あ、あの……」
サマナは足を止めて、女の方へと振り返り、声を掛けた。まさか……俺様が声を出していた事を馬鹿正直に答えるつもりなんじゃ……
「……何。こっちは見られたくないんだけど」
女は練習を始めようと、両手に斧を持っていた。想像通り、女ながらに威圧的というか……猟奇的というか……迫力がある。
美人が故にギャップが凄いぞ。勿論、それを口にする事はないが、サマナは……




