毒ガス噴出
「簡単には近寄れないかも。巻き付かれるのもあるけど……小さな穴が幾つか見えた。口からだけじゃなく、そこからもどれかが出てきたら避けれるのは難しいかも」
ラビが後方へ飛んだのも、絡み取られるのもそうだが、小さな穴が見えたらしい。
普通の蛇には汗腺はない。だが、パイソンは蛇の魔物だ。口からだけじゃなく、胴体からも液を放つ可能性も十分あり得る。
現にそれらしき痕が周囲に残っている。草木が変色していて、枯れているようだ。それも小さな痕跡もあれば、大きい場合もある。
「口と胴体にある穴から出た事による違いだな。パイソンの頭だけじゃなく、全体を見る必要が出てきたぞ。勿論、ラビやキララの動くも把握する必要がある」
俯瞰で全体を見る。でなければ、魔法を使うタイミングが難しい。
サマナには無理な話だ。俺様もそこまでの余裕はない。
「お姉さんの出番ね!! 皆の動きはお姉さんが見てあげるよ。嫌な奴が何処にいるのかも……ね」
が、こちらには幽霊のバーバラがいる。上空から確認出来るのは有難い。
「頼んだ!! サマナ達が戦闘を始めた事で、あのガキ……トムが逃げてくれたら良いんだが」
無闇に動けば、パイソンの標的だ。パイソンも弱い……逃げようとする相手を狙いだろう。
「ガイコツさん、どうしますか? 【アクアミスト】でパイソンの視界を見えなくするのは……」
「駄目だな。こちらからはパイソンの居場所は把握出来るが、くっきりと見えるわけじゃない。体の穴から液が出るのなら余計にだ」
【アクアミスト】の霧はパイソンの目元だけではなく、体全体を包み込む。それだと穴から飛び出す何かに反応するのは難しい。
「サマナ!! パイソンが大きく息を吸い込んだよ。警戒して」
パイソンは大きく口を開け、空気を吸い込み始める。ラビやキララを吸い込むつもりではなさそうだ。
頭部分ではなく、胴体部分が膨らんでいく。
チェリオもその隙に矢を放つ事も可能だが、ここは警戒する事を選んだみたいだな。
パイソンがこの状態になれば、唾を吐く。それが分かれば、回避するタイミングであり、攻擊するタイミングと分かりやすくなるからな。
「キララ、ラビさん、パイソンから距離を!! コイツが出すのは液体だけじゃなさそうだ」
チェリオはパイソンのある動きに気付いた。
「穴から紫色の煙? ……もしかして!!」
パイソンの体にある無数の穴から紫の色の煙……毒ガス!? それが噴出された。空気を吸い込んだのは、これを発生されるためか!!
パイソンは回転して、毒ガスを周囲に広げさせてきやがる。




