第二一曲 流石先輩探し
盤理は流石先輩という人物の情報を、連絡先を交換した二人に情報をいくつかもらった。
普段は軽音部に所属していること。ナルシストだけど見た目が良くて女子にモテモテなところ。
実は努力家なのは、ライブハウスを見た自分でもわかる。
ギターはFコードが難問だというが、ベースはギターよりも簡単と話を聞く。
その点だけ言うなら、ただモテたいだけのチャラ男にも見えなくはないけど……ベースを弾いていた彼は、全力で曲の良さを高めていた。
「……あのベースの低い音、使いたいんだよな」
盤理は指で流石先輩の音を確認するために人差し指を立ててリズムを取る。
俺のクリエイティブなセンサーが反応してる。
あの人の音は、創作意欲を掻き立てる。
きっと望月のギターとカミヤのドラムにふさわしい音だ……と思う。
「とにかく、今は見つけないとだよな……えっと……ここ、だよな」
二人からもらった情報を元に俺は軽音部の部室の扉の前に立つ。
俺はドアノブを握ろうとするが恐怖感が胸に襲ってくる。軽音部のイメージは陽キャかとあるアニメの女子バンド的なイメージだが、はっきりいって陽キャの地獄か乙女の園かな空間に足を踏み込むのに縮こまってしまう自分がいた。
「ええい、ままよ!!」
盤理はドアノブを握り扉をゆっくり開ける。
「すっごいねー流石くん! この前のバンドスゴかったぁ」
「マジ? ありがとなー」
盤理は凍り付く。
予想していたとおりそこは乙女の園ではなかったが陽キャの園だった。
バチバチにメイクを決めたギャルたちを侍らせている昨日み見た赤毛の男がいる。
女子たちを侍らせている。
女子たちを侍らせている。
女子たちを侍らせている。
……うん、大事なことなので三度言った。
やっぱむりぃ!! 俺もう帰る!! 盤理はすぐに扉を閉じて、急いでBLACKCATに駆け込むことを決意して、陽キャの園から逃亡した。
「……なんだ? 今の」
「流石くーん?どったの?」
「嫌、なんでもねぇよ。今日も駄弁ろうぜ?」
「「「はーい♡」」」




