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第一九曲 守息を含め作戦会議

 放課後のBLACKCATで、望月と守息と集まって会議をすることになった。


「ん……それで、野上君をキーボード担当にさせたいけど、バン君が勧誘を失敗したんだ」

「そう」

「……ばっさり言うなってぇ」


 テーブルでお互い向かい合いながら、俺はまた頭を抱えた。

 望月の言うことも最もだ。だが、しかし……俺の中途半端さで野上は腹を立ったのだから、俺が野上を誘いに向かうのはおそらくしばらくは無理だ。


「……今は、今後の作戦練るか。そうしないと方針も決まらないしな」

「ん……どうするの?」

「まず、野上を誘うのは変わってないでしょ、後はベース担当を探せばいいだけ。方針はこれで問題ない」

「……野上は決定事項なのかよ」

「もちろん」


 きっぱりと言って、望月はテーブルに並べられたチーズバーガーを口にする。

 ……カロリー高いだろ、とはあえて突っ込まないでおくことにした。

 隣にいる守息は、ホットケーキを食べている……森のプーさんか? お前は。

 突っ込みは心の中だけに済ませて、一番重要な課題を再度提示する。


猗生原(あおばら)高校では、ベース担当は見つけられなかったのか?」

「私の知り合いがそんなに多いように見える?」

「……そうだよなぁ」

「ん……猗生原(あおばら)高校は軽音部はあるけど、さっちゃんとは音楽性が違ったんだよね」

猗生原(あおばら)高校の軽音部はあくまで部活動、ってスタイルだったから」

「部活動、ねぇ」


 ……じゃあ、望月が考えるプロとして頑張ろうとはしていなかった、ってことか。

 まあ、望月はプロになれればいいんだろうけど。

 俺は……補欠扱いのままの方がいいんだけどな。


「なぁ、望月」

「何」

「俺は補欠ってスタイルでいてくれないか? ギターは一人でも問題ないだろ?」

「ん……それは、それでもいいんじゃないかな。さっちゃんはどう?」

「……今はバンドメンバーが集まって、夏のイベントが終わってからその話をすればいいだけでしょ」

「で、でもさ……」

「私はチーズバーガーの旨味を感じていたいの」

「………お前なぁ、あんまりジャンクフード食べ過ぎたら太って声が太くなるぞ?」


 ぱくり、と一口望月は自分の手に持ったハンバーガーを食べる。

 カチン、と来て遠回しに声に影響が出ると諭した。


「私は歌の練習もある中でやっているの。ここで食べる食事は目を瞑って」

「ん……でも、ジャンクフードの食べ過ぎはよくないよ」

「……カミヤが言うなら、少し頻度を減らしてもいいけど」

「……うん、ボーカルは体力作りが大事だからね」


 望月は守息の言葉にあっさりと篭絡した。

 ……はっきり言わせていただきたい。おいこら、さっきの俺の反応と全然違くないか? と。

 まあ、ふわふわ兎系男子だと発覚した守息にほのぼのしてしまうのもわかるが……って、そこで納得してどうするよ俺!! 色々と、人間関係で悩まされた経験は俺にもないわけじゃない。

 中学の頃の部活動を行って、人間関係に疲れたから高校は部活に入らなかっただけの話なんだから。

 とっとと、いけないいけない。中学時代の悲しい黒歴史までも紐解かれるところだった。

 盤理はベース担当の話題に誘導する。


「望月たちの学校には、ベース弾ける奴とかいないってことなんだよな」

「ん……そうだよ」

「だから何? 他にはバンドハウスとかで探すとか、方法はないわけじゃ……」

「……まぁ、そうなんだけどさ。ベースはとにかく頑張って探すわ。お前らも探しといてくれ」


 ベース担当って、結構変態的な奴が多いイメージだけど。

 ……俺は、ベースやったことないから無理なんだよな。

 特別、ベース担当の奴とか浮かばないな。

 希律学校でも、ベースとか特別うまい奴とかいたっけ。

 いなかったような、いたような……?


「身近の人間にできる限り当たるから待ってろ」

「うん、バンが探し切れなかったら最終的にバンドハウスの知り合いに頼って問題ないと思う」

「……お前、自分で探す気はあるんだよな?」

「カミヤを連れてきたの私、ドラム担当の勧誘実績があるでしょ」

「うぐっ……反論できねぇ」


 ふん、と鼻で笑う望月に正論過ぎて反論の余地もない。

 ……くそ、結果論で黙らされるってこういうことを言うんだな。


「んっ……今は、ベース担当とキーボード担当探し、だね。がんばろ? 二人とも」

「うん、わかってる」

「……おぉ」


 カミヤの言葉に俺と望月は頷いてBLACKCATから出た。

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