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第一二曲 バンドメンバー第一候補の情報提供

 盤理は一度野上に断られたため、BLACKCATにて望月に相談をすることにした。

 望月に相談しようと、俺と望月は二人でBLACKCATで話すことにした。

 俺は紅茶を飲みながら、望月に視線を向ける。


「で、どう思う?」

「……少なくとも、野上奏は名前について何かを抱えているのは確かね」


 コトリ、と望月はゆっくりとした手つきでソーサーにカップを置く。


「そう、でもなんで名前を気にしているのかってことなんだよ。確かにキラキラネームだと思うけど」

「……ソナタって、イタリア語で(そう)する、という意味もあるけど、音楽用語での奏鳴曲(そうめいきょく)のソナタから来てるんじゃない? ……親の命名は悪いとは思わないけれど」

「う、うーん……」


 でも、キラキラネーム分類には入るよなーとは思うわけで。

 だから野上も嫌がったんだろうしな、と望月の言葉で納得せざるを得ない。

 音楽知識的に、その線は合ってる、とは思うが……うーん。

 自分だったら、荷が重すぎる名前なんだよな。

 奏鳴曲(そうめいきょく)、またの名をソナタ。ソナタを連想するなら、ショパンのピアノ・ソナタなどが有名だったっけか。ソナタって分類されている曲自体、物悲しい曲が多い気がする。

 曲調の問題だろうが、俺の個人的認識はそういう印象だ。物は試しで、色々な曲の作曲をして人生で一番最初に諦めたのはクラシック系音楽だ。うん……本当に無理だった。あれだけは無理だった。

 曲作りを始めた頃、電子音でちょっと遊んで、いい音だなーと思って出来上がったのがそっち路線に自然となっていたし。というか、クラシック、お前は色々と手探り感覚で作曲できないんだよ。

 昔の音楽家の人たちすごい、という印象以外抱かなかったなー……うんうん。

 俺が作りたい曲の原点はロックであるのと同時に、望月の歌の良さを生かせる曲だったわけだし。

 クラシック系はある程度聞いたつもりだが、おそらく野上ほどじゃない。


「貴方だったらどう感じるの?」

「そりゃ、やっぱり日本人だしそういう名前よりはちゃんと漢字に沿った読み方とかの方が嬉しかったりするのもあるとは思うし、大層な名前だと名前負けしてるって思えたりはすると思う……俺がソースな」


 盤上の理、なんて俺はまるで神様の立ち位置にでもいる気分にさせられる。

 もしくは軍師的な? ……俺、頭いいわけじゃないんだけどなぁ。


「……貴方の名前は並べたら中二病感マシマシって感じ?」

「やめろ、わざと心臓抉ろうとするな……聞いていて、自分でも名前負けしているのはひしひし感じてるんだよ!!」


 盤理は顔を俯かせて、ぎゅっと胸元を握った。

 でも、俺は父さんと母さんが何か意味がある言葉だと思うから下手に怒れないし。


「貴方的に男性として、ソナタって名前を持っていたらどう感じる?」

「え……やっぱり、重いんじゃないかな。野上が名前気にしてんの、親が音楽家系みたいだし……ピアノコンクールに何度も優勝するって、それくらい努力とかストレスとかスゴそうって言うか……緊張感で張りつめてくる重荷? みたいなの? は、あるとは……うん」

「……バンは、音楽家を目指すんじゃなかったらカウンセラーにもなれるかもね」

「それ嫌味か?」

「親に普通の仕事に就けと言われているのはアンタでしょ?」

「っぐ……頼むから、抉るなよ」

「正直に言ってるだけでしょ」


 望月はコーヒーを一口飲み干すと、すっと俺に冷めた横目で見る。


「でも、それは仮定であってまだ彼の奥底に触れているわけじゃないはず。バンドに引き入れるなら、もう少し情報を引き出してきて」

「え!? 俺だけでか!?」

「私、音楽以外興味ないし、アンタが穏便にできるならその方がいい」

「……お前なぁ、お前自身がバンド仲間欲しいならお前だって頑張らないとだろ!?」

「だから、音楽で黙らせるのが手っ取り早いって思うだけ。心に響くなら、それはきっと自分の胸の傷が吐露できる瞬間だって思うから」

「うぐ……っ」


 ……言い方が直球だなだけ、なんだよなぁコイツ。

 そういう言い回しをしたり、即興で替え歌とかして来たくせに相手のこと考えるの苦手って……いや、バンドマン的には自分の訴えたい物を歌にするのは正しいことかもしれないけど。

 ……しかたないか。


「じゃあ、望月は他のバンドメンバー探しててくれ。俺は野上の情報探って、お前に逐一連絡入れるから」

「わかった」


 俺は紅茶代を受付にちょっきり置いて行ってBLACKCATを出た。

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