雨天の中の話し合い 2
「つまり、神々の御作りになった『システム』としての魔王には瘴気を集めて討伐される役割しかない、これで合っておりますか?」
「左様ですのう」
「ならば、『魔王を信仰する者』というのは『システム』について何も知らない者たちなのでしょうか……?」
クレイグは新たな疑念を覚える。
それに対してエドワードが
「そこ、なのですよ。知らずに信仰しているのか理解しているにもかかわらず《《あえて知らぬ振り》》をしているのかで全く変わってきますからね」
その言葉にハリーテがハッとする。
「エド兄、まさかその集団があえて知らぬ振りをして魔王を信仰する振りをして『魔族を操り煽動している』と考えているのか!」
「最悪の想定をするならそれも考えられる……という段階です。いまだ魔王を信仰する集団の実態も定かではありませんし、もっと情報をあつめなければいけません」
エドワードが真剣な表情で答えた。
「ならば如何する?得体のしれない集団が待ち構えている事を考えると今すぐダンジョンの街へ向かうのは危険ではないか?」
「えぇ、その通りですね……賢者様方、大変申し訳ありませんが『儀式を行うに足りる知識が不足している』という事でしばらくハリーテ殿下の『聖女教育』をお願いできませんか?」
「それは勿論かまいませんぞ。聖下からも皆様には全力で力添えしてくれとお願いされておりますしのう」
そういいながら双子賢者はコロコロと笑う。
「クレイグ殿には申し訳ありませんが、もう少しだけ街の様子を探るための協力をお願いします」
「承知した。確かに街を取り戻すことは大事ではあるが、ハリーテ様方の命を無用に危険にさらすわけにはいかない、街に残っている冒険者達についての情報も集めてみます」
クレイグも力強く頷いた。
「ただ、この街では警護に不安もありますので、教育目的での滞在という名目で、次の街の小神殿でしばらく情報収集に励みます」
「分かりました、小神殿の方には我らが連絡をしておきますじゃ」
「よろしくお願いいたします」
こうして一行の今後の方針が固められていくのであった。