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仙人天  作者: 天内君保
第一章「第二波」
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光子量の計測

中へ入ると明らかに重そうな巨大な扉が二人の目の前に立ち塞がった。

そして何故かその扉には人の頭ほどもあろうかという鍵穴が7つもついている。


「おい、鍵なんて持ってねえよな」


「うん、さっきの男が持ってるとかじゃない?」


今だムッとしている紫苑は後ろへ振り返り豪散の方へ向かおうとした。

仙は一応ドアノブに手をかけ引っ張ってみた。

すると、少し扉が開き奥から光が差し込んできた。


「ん?これっ、開くぞ」


「え?開くの?鍵穴意味不明なんだけど」


「……………」


「開けてよ早く」


「分かってるよ」


ここまで来て今更引き返すことなんて出来るわけがない。

扉の向こうからは何の音も聞こえないことが不安な要素を更に高めていた。


ガチャッ━


「おっもてぇよ手伝え…!」


「あ、うん」



古い感じの扉なのにも関わらず音もなく開き風が吹き抜けた。


扉の向こうには、パッと見30人ほどはいるかという人数が一つの場所に固まり

孤立した場所に二人の男が立っている。

数人が仙と紫苑に気づきこちらを見ている。


「…………」


「怪しいね、なんか」


「大丈夫だろ、行こう。」



そう小声で二人は言葉を交わし、集まっている場所へ近づいて行く。


体育館のような空間の中心にいる人達に近づいて行くと

肌が真っ白で顔に黒い無造作な模様が入った男が近づいてきた。

体はスラッとしていて年齢は20代くらいだろうか。

微笑みながら近づいてこられるとかなり怪しくて仙達は足を止めてしまった。


「怪しいものではないので大丈夫ですよ。

こちらへ入ってこられたということは、入団希望者ということで間違いないですね?」


「あ、ああはい。」


「お連れの方も間違いないですか?」


「あたしのこと?間違いないよ」


怪しい男は紫苑の方を見ると微笑んで頷いた。


「よろしく」


そう言うと男は片手の手袋は外し仙の目の前へ手を差し出した。


「………?」


握手をしようとしているのだろうが、さすがに戸惑ってしまいすぐに手を触ることなんて出来るわけがない。


「あ、本当に怪しいものではないのでご安心ください、どうかお願いします…」


「すいませんほんと…こんな見た目で」


そう言うと深く頭を下げられたので仕方なく仙は男の手を握った。

見た目は確かに怪しすぎるが苦笑いしながら頭を下げられると悪い人という感じはしないだろう。


「あ、こちらこそよろしく」


「ありがとうございます、ほんとすいません」


「見た目の割にすっごい腰ひくいんだね…」


「いえ、とんでもないです。私もこんな見た目になりたくてなったわけではないので」


仙と手を離すと男は辺りをキョロキョロ見回した。


「あれっ、陣さん?」


「なんだ」


陣と呼ばれた男は記入用紙?みたいな物を持ちながら近づいた。


「井山仙さん、光子量1300。ユーベルメンシュで間違いありません。」


「了解した」


その言葉を聞いた陣という男は何かを紙に記入する。

仙達は名乗っていないのに男は見事に仙の名前を言い当てた。

そして聞き慣れない「光子量」という単語。

仙達は戸惑いを隠しきれなかった。


「こうし…?」


(それに何で俺の名前知ってんだ気持ち悪…こいつ気持ち悪)


「あ、光子量のことです」


「だからそれがなんなのって聞いてんの!」


紫苑は強めに言い放った。

声はその場に響き渡り同じ場所にいる人達が仙達の方へ向く。


「お前ほんとうっせえよ…。もうちょい声落とし─


「いいから黙ってて!!」



(俺なんか嫌われることしたかな…)



「あーすいません、いいですか?いいですかー?光子のことについてなんですが、世間的にはまだ知られてない…、のかな?」


世間的に知らせる必要性があるのか疑問だが

怪しい男は少し後ろに視線をやると陣に助けを求めるように目を合わせる。

だが明かに陣さんが睨んでる。


「…よね。だよね。

あははっ、すいません」


「ほんとに大丈夫なのあんた…」


「あっ、はい大丈夫です。

光子というのは後で説明しようと思ったんですが簡単に言うと大天災後に生き残った人々の体に入っているエネルギーのことです。

フォトンエネルギーと呼ばれることもあるのですが、此処では一応光子エネルギーと呼んでいます。

何故そのようなエネルギーが地上に生まれたのか細かな原理については残念ながら今だ解明されていません。」


さっきまで馬鹿っぽかった男がいっちょ前に語り出した。

でも口調は馬鹿っぽい。



「へー、何だかよく分かんないけどすごそう。それで、さっき言ってた光子量1000いくつってのはなんなの?」


仙はよく分からんという表情をして腕を組む。


「それは体に入る光子量の容量ということです。」


「ふーん。容量ってなんかますますよくわかんないけどいいや。

でさぁもうひとつ気になるんだけど…」


紫苑はそう言うと掌を上に向け広げた。

そして豪散の時ほどではないがその手が光出した。


「これも光子エネルギーってやつなの?」


「えっ…驚いたな。どうやって、それ覚えたんですか?」


「え、普通に自分でだけど。はい質問の答え。じゃん!!」


紫苑はそう言うと怪しい男の顔面近くにバッ!と例の掌を向ける。


「わっ!…えっとそれはですね、光明波─


「長い、後にしろ」


「ははい!」


ぼそっと言い放ったのは陣さん。

小声なのに何故か迫力がある。

紫苑は陣さんをチラ見したが何も言い返せなかった。


「客人のようだぞ」


すると重たい扉がガチャンと締まる音が聞こえ二人の男性が近づいてくる。


「入団希望者の方ですか?」


「はい。矢真口猛(ヤマグチ タケル)といいます。自分の力を確かめたくて来ました。よろしくお願いします」


二人の男性の片割れ、銀髪の若い青年がそう言い、軽く頭を下げる。


(カナデ)だ。」


そして二人と握手をした怪しい男。


「矢真口猛さん、2800」


「奏さん、53000です」


「えっ、ごま…」


想像以上の数値に動揺する怪しい男と陣さん。


「間違いじゃないのか?」


「いえ、アウトプットは強制的に情報が流れ込んでくるので間違うことはないはずです…」


「そうか」


そう言って再びメモをとる。

勿論その後、仙達のように新入りの二人が光子量について尋ねたのは言うまでもなし。

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