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名前を忘れた私ですが、たぶん異世界で石鹸屋をはじめます。〜いい人しかいないんですが、罠ですか?〜  作者: まの月


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77話 長男確信に切り込む

 俺は腕を組んだ。


「じゃあ、冒険者やめるか?」


 シリルがぴくりと反応し、ゆっくり顔を上げる


 目が合った


 ……


 まだちょっと怖い


「お前も商才はあるだろ。商会の仕事だって、たまに手伝ってるしな。体が疼くから冒険者をやってるだけで、絶対に続けなきゃいけない仕事じゃない」


 シリルは黙ったまま俺を見ている


「幸い、お前はリーベル商会の次男だ。仕事なんていくらでもあるし、食い扶持に困ることもない。だから、あとはお前が納得できるかどうかだ」


 少し考えるように、シリルがまた俯いた


 ……


 さっきよりはマシになったか?


 少なくとも泣いてはいない


 俺は様子をうかがいながら、もう一つ気になっていたことを聞いてみる


「それか、なんで冒険者はないのか、そこまで聞いたのか?」


 ばっとシリルが顔を上げた


 目を見開いている


 ……


 なんか怖ぇよ


「聞いて……ません」

「だろうな。絶対に何か理由があるはずだろ。そこも聞かずに一人で全部決めつけるのは早い。その理由さえ分かれば、お前は冒険者のままでいいのかもしれない」


 シリルは何も言わない


 でも、さっきよりはちゃんと話を聞いている


 よし


 たぶん一歩前進


 ……たぶん


「一つ聞くぞ」


 俺はシリルの顔を見る


「お前、ノアさんと交際してるのか?」

「……してません」

「そうだよな」


 分かってたけど、一応確認した


「でもな、お前のその落ち込み方、交際中か結婚前提の相手に振られた時のやつだぞ」


 シリルが固まった


 ……


 ん?


 待て


 こいつ……


 そもそも自分の恋心、自覚してるのか?


 ……


 怪しい


 かなり怪しい


 俺は額を押さえた


 まさか、そこから確認しないといけないのか?


 俺が?


 ……


 俺しかいないよな


 くそ


 親父、助けに来いよ……

営業モードとは違う兄しばらくお楽しみください

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