価値と価値
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もう敵勢力の急降下爆撃機の爆撃が終わって。
野砲による榴弾砲撃が始まり出した。
対空機銃銃座は弾が無いらしく、誰も座っていない。
高射砲は弾があったから真っ先に潰された。あの辺はグチャグチャになってて良く分からん。砲兵は多分全員死んだのだろう。
滑走路には無数の大穴があいて、帰投してくる味方航空機の着陸は無理だろう。味方の警備兵や整備兵の絶命した死体があたりに転がっている。ひどい有様だ。あちこちに肉片が散乱している。
血と火薬の匂いだ。鼻をつく嫌な臭い。
妨害電波で無線が通じないと、指揮所で騒いでいる。
私はこのクロワッサン飛行場を放棄して、30キロ後方へ撤退するために、生き残っている兵たちに、避難指示をする命令を受けた。
拡声器で撤退を始めよと大声で怒鳴ってるから。
もたもたしている間抜けな人間などおらんだろうが。
念のためだ。全ての部屋を見回る。
バンッ
「・・・・・・」
良し。
誰も居ないみたいだな・・・
バシャーッ
なんだ?誰か居る。
バンッ
「キャーッ!」
「す、すみません!!」
若い娘が全裸で水浴びをしている!
何て非常識な女だ。この非常時に水浴びなど。貴重な水を使って!
一瞬だが目にしっかりと焼き付いてしまった。
長い黒髪を頭に巻いて縛り、白い肌のうなじ。骨の浮き出た真っ白な背中、栄養失調のためか、ひどく浮き出たアバラ骨。
均整のとれた小さめの綺麗な胸。
そしてこちらに背中を向けて、しゃがんで水を浴びるから。
白肌の尻が丸く突き出て柔らかいおモチのようだ。
女に全く縁のない私には、十分に刺激的で性欲がみなぎってしまった。
「おい女!何をしている」
「早く服を着ろ!撤退命令を聞いていないのか!?」
「すみません!」
バウーンッ・・・グシャッ!
帰ってきた護衛の七式戦闘機が無理やり穴だらけの滑走路に着陸してきた。おそらく燃料が無いのだろう。被弾して機体は弾痕の穴だらけだが火は吹いていなかった。機体が大穴にハマって前のめりに傾いている。もう敵地上部隊ががそこまで来ているので誰も皆・搭乗員を助けようとはせず逃げる準備をしている。
「おい女!早くしろ!死にたいのか!?」
バンッ
「すみません!すぐに参ります!」
こんな遠い異国になぜ本土の女が居るのか謎だったが。とにかくこの娘を連れて逃げねばならない。
「!」「足を怪我しているのか?」
「はい」
「掴まれ、ほら早く!」
「はい!」
私は娘をおんぶして味方の撤退する方角まで歩き出した。
ジャングルの中を感だけを頼りに歩く。
もう味方から置いてきぼりになったようだ。
私は栄養失調のためか、息切れをしてしまい。
娘を投げ出してその場に倒れこんでしまった。
「はあ!はあ!はあ!」
「兵隊さん、私を置いてお逃げください!」
「いざとなったら、この果物ナイフで自害しますから!」
「!」
パシンッ
「きゃあっ」
「馬鹿野郎!」
「死ぬのは男の役目だ!」
「国家なんて言うくだらない価値観のために自殺なんかするんじゃねーっ!」
「いいか女?国家なんてお前にはどーだって良い事だ!」
「一番大切なのは、お前自身だろーが!」
「生きて生きて生きまくってやれ!」
「国家なんてアホな言葉が産まれ変わるまで、生き抜いてやれ!」
「今度死ぬなんて言ったら、ブッ殺すぞ!」
娘は黙ってうつむいてしまった。
泣いているのだろう。
私はまた娘をおぶさってヨタヨタと歩き出した。
さっきから邪魔になってる。55式小銃を捨てた。
どーせ弾なんて無いんだから、ただのゴミだ。
夜が明ける前に味方がいる海岸までたどり着いた。軍港がある。
せんべつに娘にわずかな食料と金銭を分け与えた。
本土行きの貨物船「ワニネコ第13丸」に娘を送り届け。
娘が船の上で笑顔で大声で手を振っている。
「ありがとうございます!」
こんなに大声を出せるんだから、もう大丈夫だな。
「いいかあ女ぁ!幸せになれよおっ!」
「幸せに成らなかったらブッ殺すぞおっ!!」
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チョモイヤヤンマ歴0014年、まだこの星は禍いが終わらない・・・




