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うさぎたちの祭り

オレたち3匹は、ムギさんの案内を終えた後、そのままお祭りも見物させてもらうことになった。

始まる前は、一体どんな奇妙なお祭りになるのかと、不安に思っていたけど、以外とうさぎたちのお祭りはすごかった。

『前歯で切り絵アート大会』は、葉っぱで作っているとは思えないほどの出来栄えのものばかりだった。特に、上位に入った作品はすごかった。葉っぱで作っているからと言って、緑一色なわけではなかった。1枚の葉の中に所々白くなっているものや、黄色やオレンジ、赤、茶色と色が混ざっているものもあり、その葉っぱの色みを生かして切り絵にした作品が多かった。

団体の部では、切り絵にした一枚一枚の葉っぱをパズルのように組み合わせて、一つの絵にしているものもあった。

正直、見ていてとても楽しかった。ムギさんがあんなに自慢げにする訳が分かった。

そして、ムギさんが一番熱く語っていた、『好かれるうん◯アロマ大会』の方は、どんなことになるかと思ったけど…、これまた以外とちゃんとした大会だった。

最初はてっきり、その場でうん◯をするのかと思っていたけど、全然違った。皆、前日までにしておいたものを、乾燥させてから持って来ていた。ただ、その審査方法がすごく変だった…。

密閉しておいた容れ物を、開けた瞬間の匂いと…、火を付けて炙った時の匂いの、両方を審査していた。

「アロマというのは、ここから来ているのか。」とリク兄が冷静に呟いていた。一方、チャム姉さんはうん◯の方の大会が始まってから、ずっと笑いっ放しだった。ひどくうるさかったけど、途中から笑い過ぎて倒れるんじゃないかと心配になったほどだった。

まあそんな感じで、昼間のお祭りは滞りなく終わった。


そして今は、夜のお祭りである宴会に参加していた。ここでも、チャム姉さんは大胆というか、図々しい。もてなして貰っているのをいいことに、果実酒を飲みまくっている。あの小さな身体に、そんなに入れてしまって大丈夫なのかと心配になるほどだった。リク兄に止めて貰おうと振り返ると、リク兄もここぞとばかりにめちゃくちゃ食べていた…。

この2匹ヤバイッ!「あなたたちのお腹、破裂しませんか?」って思ったけど…。言っても無駄な気がしたので、黙ってオレも食事を楽しむことにした。

もしかしたら…、こっちの世界に来ると、どれだけ食べたり飲んだりしても、大丈夫な身体になるのかもしれない…。オレも、今日は食べたいだけ食べてみようかな。


一通り食事を終えた後、チャム姉さんはぐでんぐでんに酔っ払って、突然倒れるように寝てしまった。

リク兄は、満足したのかご機嫌になり、「情報収集をするぞ!」と言って動き出した。

「虹の花を探しているんだろ?自分たちの足で探すのはもちろんだか、こういう所で情報を集めるのも大事だ。」

そう言って、リク兄はオレの肩に乗って、村長のゴマジイさんやムギさんのいるテーブルに行くように指示を出してきた。チャム姉さんをそのままにして行くのは、少し気が引けたけど…、すでに爆睡していて身体に似合わず大きなイビキをかいていたので、放っておくことにした。

目的のテーブルに着くと、リク兄がオレの代わりに率先して話を聞き出してくれた。

「今日は突然おじゃましたのに、夜の食事までご馳走になって、とても有り難く思います。

実は僕らは、ある目的があって旅をしています。よかったら、この周辺のことを少し教えて頂きたいのですが。」

さっきまで爆食いしていたとは思えないほど、行儀の良い話し方をしだしたリク兄を見て、オレは面喰らってしまった…。でも、オレ一匹だけでは、とてもこんな風に情報収集をしたりなんて出来なかったと思う。やっぱり、この兄と姉について来てもらってよかった。

「おぉ、そんなにかしこまらなくても良いですじゃ。久方ぶりのお客で、今日の祭りは大分盛り上がったでのぅ。ワシらで答えられることじゃったら、何でも聞いて下され。」

そう言って、ゴマジイさんは上機嫌で話してくれた。

「ありがとうございます。では、お聞きしますが、この辺りで"虹の花"というのを見たり、聞いたりしたことはありませんか?」

「"虹の花"ですか…。そのような花は見たことも、聞いたこともありませんねぇ。どのような花なのでしょうか?」

と、ムギさんが答えてくれたけど、何でも知っていそうなムギさんが知らないとなると…。望みは薄いのかもしれない…。それでも、リク兄は粘ってくれた。

「そうですか…。それが、どのような花なのか、僕らも知らないのです。…この辺りはどのような花が咲くのでしょう。他では見ないような珍しい花とかはないでしょうか?」

「う〜ん、そうですねぇ。この辺りは自然が豊かで、いろんな作物や木の実が採れますが…。特段、珍しい花というのは…、ちょっと存じませんね。お力になれず、申し訳ありません。」

ムギさんは、残念そうに肩を落としてしまった。

「いえ、謝らないで下さい。ここには無いと分かっただけでも、大きな収穫です。」

リク兄がそう返すと、ムギさんは少しホッとしたような顔をした。

オレはずっと話を聞いていただけだけど、気持ちが落ち込んでしまうのを止められなかった。シリルから聞いて、分かっていたつもりだけど、こんなに難しいなんて…。本当に、見つけ出せるのかな…。

そんなことばかり考えていると、落ち込んでいるオレに気付いたのか、リク兄がその小さな手で、オレの頭をポンポンッと撫でてくれた。

その様子に、ゴマジイさんもムギさんもニッコリとしていた。

「この後も、まだまだ楽しんで行って下さい!これから、デザートもお出ししますし、今夜はお腹いっぱい食べて、ゆっくりお休みになって下さい。

そしたら、明日は良い所にご案内しますよ。」

ムギさんのその言葉のすぐあとに、甘いベリーや木の実で作ったデザートが出て来た。こんなものを食べたのは初めてだったけど、甘くてどこか優しい味がして、心がポカポカした。あぁ、こんなに美味しいものなら、めぐにも一緒に食べてほしかったなぁ…。

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