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正反対の兄と姉

シリル から 兄と姉を紹介されて、3匹での旅の出発を決めてから…、準備を整えるにも意外と時間を要して、結局 出発は次の日になってしまった。

というのも、 チャム 姉さんとリク兄があんまりにも噛み合わないからだと思う…。

チャム 姉さんは 良い意味で 姉御肌で、とにかく何でも強い。一方 、リク兄はとにかく のんびりで、大人しいくせに割と動じない。本当に2匹とも性格が正反対で、一緒に暮らしていたとは思えないほどだった。

チャム 姉さんが着々と準備を進めている中で、リク兄はチャム姉さんが集めてきた食べ物を、つまみ食い しまくっていた。だから、チャム姉さんがどんどん 木の実やなんかを集めてくるのに、全然 鞄の中がいっぱいにならなくて…。そのことにやっと気づいた チャム姉さんにパンチをもらっても、リク兄はまだ食べていた…。

よく見ると、 この2匹 身体の大きさが二回りぐらい違う。オレはずっと離れていたものの、これでは永遠に準備が終わらないのでは?と思って声をかけた。

「チャム 姉さん、俺のリュックは大きいから、旅の途中で木の実やなんかをいっぱい取って 入れておけるし、 シリルもお供え物をリュックを通して届けてくれるって言ってたから、食べ物を集めるのはその辺でいいんじゃないかな?」

「まあ、そうね。 これじゃあ いつまでたっても終わらないわね。リックのせいで。」

と言って、チャム姉さんはリク兄を睨みつけた。

「すまない。食べ物を見ると、つい食べてしまうんだ。」

りく兄は本当にすまなそうにしていた。

「じゃあ後は、めぐからもらった布団とかを持ってきてもらえれば、オレのリュックに詰めるから。」

「分かったわ。」

やっとのことで準備が終わった頃 、シリルが様子を見に来てくるた。 そして、オレたちを見るなり、困ったような心配そうな表情を浮かべた。

「皆さん、もうすぐ暗くなる時間ですから、出発は明日の朝が良いでしょう。」

シリルのその言葉に、3匹とも固まってしまうのだった…。


…そして、次の日。

朝になると、シリルは見送りに来てくれた。

「それでは皆さん、怪我には気をつけて、3匹とも仲良くするのですよ。 暗くなる前に、ちゃんと寝床を整えて、夜にはちゃんと寝ること。そして、決して無理はしないこと。いいですね?」

昨日のオレたちの様子を見た シリアルは、すごく心配しているようだった。

「あたしがちゃんと2匹の面倒を見るから、心配しなくても大丈夫よ。」

「フフフ、そうですか。頼もしいですね。

では、いってらっしゃい。」

『いってきます!!!』

3匹揃って、シリルに手を振りながら出発した。


まずは、東に向かった。

シシリルの話では、東には広大な山があるということだった。山の中なら 花の種類も多いので、珍しい花 やまだ誰も発見したことのない花を見つけることができるかもしれないと、シリルが 考えてくれたのだ。

なかなか外の世界を、自分の足で歩いたことのなかった オレにとっては、この2匹の小さな兄と姉の存在が身体の大きさ以上に とても大きなものだった。きっとオレ独りだったら、いつまでも 踏み出せなかった。この2匹が、背中を押してくれたおかげだ。

…と感謝したものもつかの間、この2匹は結構図々しかった。

最初は良かった。身体が小さい割には、足も速く順調だった。だが、この2匹 すぐに疲れるのだ。特にリク兄はひどかった。 小一時間もしないうちに、疲れたとのたまい、 座り込んでしまうのだ。仕方がないからと、オレの肩に乗せてやったが最後、なかなか降りないのだ…。

あげく、チャム 姉さんまで「リックばっかり楽をしてずるい」と言って、オレの肩に強引に駆け上がってきた。それからは、ずっとオレだけが 歩いていた…。

まあ、オレのために、オレの旅について来てくれているわけだし、身体もオレの方が大きいし、仕方ない…のか?

そんなわけで、どっちが面倒を見ているのかわからない状況になりながらも、意外と 旅は順調に進んでいた。そうやって何日か経ったある日、やっと東の山の入り口に着いた。

「チャム姉さん、リク兄。オレ、さすがに山は めぐとも来たことがないんだ。だから、ここからは歩きやすそうな道を案内してもらえると助かるんだけど。」

と言いながら、オレはチャム姉さんとリク兄を両肩から降ろした。

「もう、仕方ないわね。ついてきなさい!」

と、チャム 姉さんは 面倒くさそうに言いながらも、しっかりと道を選んでくれた。

そうして、しばらく山道を登って行くと、突然チャム 姉さんとリク兄の様子が変わった。

「ちょっと待って!あそこに足跡があるわ!!」

そう言って、チャム姉さんが立ち止まると、今度はリク兄がゆっくり 周りを警戒しながら前に出て行った。

そして、足跡までたどり着くと、匂いを嗅いで周囲を見渡した。

「これは、"うさぎ"という動物の足跡だな。 うさぎは何でも食べると聞くが、まず生きた動物を襲うようなことはしないはずだ。そこは安心していい。ただ…、この匂いと足跡の感じからして、結構な数がいそうだぞ。」

と、リク兄は教えてくれた。普段は全然役に立たないけど、こういう時は一番頼りになるのかもしれない。少なくとも、この3匹の中では一番大人で、頭がいい気がしてきた。

「どうする?別に襲ってこないなら、気にしないで進んじゃう?」

「うーん、まあ問題ないと思うけど 、一応 注意しながら進もう。」

そう言ってリク兄は、そのまま オレたちの先頭を歩いて行ってくれた。

リク兄の後を追って 少しずつ進んで行くと、本当にうさぎと思われる 足跡がたくさん出てきた。

そうしてしばらく進むと、 突然「止まれ」とリク兄が合図をしてきた。それに従って 止まり、 草陰に潜んだ。

「おい 、そっと覗いてみろ。うさぎたちが大勢集まっているぞ。」

りく 兄は声をひそめながら、オレたちに見るように促した。

「ホントだ!なんだか楽しそうに騒いでいるわね !!」チャム 姉さんはそう言いながら、うさぎたちに混ざりたそうにしている。

「チャム姉さん、 落ち着いて。オレ、うさぎなんて 初めて見るし…、それにあんな 数 …少し怖いよ。」

「何言ってんのよ!そんなでかい図体してるくせに。見てみなさいよ、耳の長さを入れたって あんたの方が あのうさぎたちよりでかいじゃないのよ。」

と、チャム姉さんはオレに迫ってきた。

確かに、オレの方が 身体は大きいかもしれないけど…、数では向こうの方が圧倒的に多い。ただ…、オレより何十倍も身体の小さなお姉さんたちが全然 ビビってないのに、身体の大きなオレだけが ビビっているのは…、なんかかっこ悪い気もしてきた。

「リク兄、本当にうさぎってやつは襲ってきたりしない?」

「あぁ、どちらかと言うと、警戒心が強いしビビリだと思うぞ。」

「そっかぁ。」

オレは、それを聞いて安心した。

「それで、どうするの?リク兄。」

オレがリク兄に聞こうとすると、チャム姉さんが割って入ってきた。

「何言ってんのよ!襲って来ないって言ってんだから、あたしたちがビビる必要なんてないしゃない。あんなに集まって何してるのか気になるし、もっと近づいてみましょうよ!!」

そう言って、チャム姉さんは駆け出して行ってしまった。

「あぁ〜、もう仕方ないな〜。リオ、お前は身体が大きくて目立つ。オレたちが先に見て来る。大丈夫そうなら、合図を出すから、そしたら来い。」

そう言い残して、リク兄もチャム姉さんを追いかけて行ってしまった。

オレだけ残されて、めちゃくちゃ心細いんだけど…。

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