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chinese citron  作者: たまご
11/11

-11-

香奈は夏休み、出来る限りずっと大翔(ひろと)と過ごした。


大翔は退院したばかりだから、しばらく部活に出なくて良いらしい。





二人でいろんな時を過ごした。


海に行った。

綺麗な夕日を二人で眺めた。


買い物に行った。

お揃いのペンダント、ずっと付けておくことを約束した。


大翔の家に行った。

初めて肌を重ねる事になったわけだが、大翔が例の大人モードではなかったら、多分香奈はパニックになっていただろう。




二人は濃厚な時を過ごした。

今までお互いがじれったく感じた分、ずっと触れ合っていた。








そして九月、二学期が始まった。



香奈はいつものようにちはる、紗羅、志保に囲まれていた。


「あんた…ちょっとキレイになったんじゃない?」


「え?ホントに?うわーい!」


「恋でもしてんの?

恋するオトメはキレイになるって言うし。」


「やーだ、もうキレイだなんて!」


「小綺麗って言った方が正しいかもね。プ

ま、人並みに目が当てられるようになったかな。」


「なッ!」


「夏休み連絡取れなかったし、どうせ引きこもってたんでしょ。

この根暗ァー。」




言いたい放題だ。



香奈はもう限界域に達した。


「うるさいうるさいうるさぁ〜い!」





夏休み前と同じように、三人が黙った。


顔を上げてみると、一枚のプリントが差し出されていた。





「はい。」




大翔だ。



「…ありがと…」


大翔はクスッと笑って香奈の首筋に手をのばした。


大翔の手によってお揃いのペンダントがスルスルと出てくる。




「ちゃんと付けてたんだ。」


「…ん、まぁ…。」



大翔が香奈の頭に手をのばし、引き寄せた。



大翔のカッターシャツから同じペンダントが出てくる。


友人三人は絶句した。




大翔はそんな三人を横目に香奈のおでこに軽くキスをした。




「また後で、な。」


「うん。」






この後香奈が友人三人だけでなく、クラスの女子(伊織(いおり)以外)に囲まれたのは言うまでもない。


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