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第2部 神の喪失  作者: 小島もりたか
1章 霊視装置
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三話 革命(3)

研究所は相変わらず忙しいはずなのに、鬱のことを伝えると、山下さんは「腰を据えて休んだ方がいい」と、とりあえず二ヶ月程度の休みをくれて、しばらく休むことになった。


抗うつ剤を飲み始めて二週間程度は眠いことが多くて寝てばかりいた。ぼーっとしていることが増えて、思考回路にフィルターが入ったような感じがした。


仕事も休みなので家事を全てやっていると、「なんで休んでないの?!」と家族全員に怒られた。

まぁ、ぼーっとしてたせいで包丁で指を切ってたり、掃除で階段から落ちたりしたら怒られますよね、はい……。


SNSを覗くことも禁止され、ゴロゴロと寝てばかりいたせいか、体重が少し戻った。


薬が効き始めてからは、悟に誘われて、早朝の散歩も始めた。朝起きるのは辛いところだけど、自然が多い環境だし、朝の運動はなかなか気持ちがいいもので、朝日から元気を貰っている感覚がした。


抗うつ剤を飲み始めて一ヶ月過ぎた頃には、かなり気持ちが上向きになっていることを実感するようになった。これは仕事も復帰できると思っていたけど、山下さんには「まだ早いから、ゆっくり休んでて」と追い返された。

後から悟に愚痴ると「いや、僕もまだ早いと思うよ?」と諭された。


ただ、SNSは試験的に解禁されたので、暇つぶしに覗くようになった。


『自分だけの神様の創り方』

『レッツ神活☆』

『神様にできること』

『初心者でも創れる神様レシピ』

『★4.5:防御特化、呪い反射』

『効率のいい祈り方まとめ』


とうとう時代は、自分だけの神様を創る時代になったらしい。創った神様のレビューや方法まで公開されている。ちょっと前までは考えられなかった世界だ。


IT革命や機械的生命体の革命も中々急激だったけど、宗教革命はそれらの比じゃないくらい急かもしれない。


――いや、それもそうか。皆が薄々思ってたけど、証明されていなかった物が証明されたんだから……。


以前はこの考えに恐怖を覚えていたのだけど、今は薬のお陰であまり恐怖は感じない。逆にそれが少し怖い。


――今のところ、神様を創ったところで、その神様が何が出来るかはそこまで分かっていないのが救いかもしれない。


今のところ、神様にできると判明していることは、情報構造体への干渉のみだ。


身近なところでいえば、最近報告される呪いや生霊から護ってくれる。あと地縛霊などの悪霊からも守ってくれる――でも、この程度なら元来の守護霊もそうだろう。ただ、守護霊は守護霊自身のスペックが人間に操作出来ない。自分で創った神ならばある程度操作できる。それが大きいかもしれない。


お姉ちゃんからメッセージが届いた。


淑華:聞いてよ茜ー。康正が、神様創ってた。

茜:最近流行ってるみたいだねー。


お姉ちゃんには鬱になったことは伝えていないので、いつもと変わらないお姉ちゃんにどこか安心感を覚える。


淑華:ウチには白龍っていう、歴史のある神様がいるのにありえなく無い?! 信じらんない!

茜:まあ、まあ、落ち着いて……

淑華:康正も霊視えるじゃん? しかもさー、なんか教祖みたいな感じになってて、教徒もいる感じでヤベーの

茜:あぁ……。それは、まぁ……。

淑華:はぁ……本当にどうしよう……。


なんだろう、大学生で遅れてきた厨二病が発症してる感じ……黒歴史をかなりオープンに公開しながら作成してるよね……。


以前なら、私達の発明のせいでこんな所にも……と落ち込んでいたところだけど、薬のお陰で落ち込むことはなかった。


淑華:ウチの家系って霊視能力のサラブレッドみたいなもんだから、自衛のために色々教えてきたけど、こんな事で裏目に出るとは……。朋里ちゃんは大丈夫?

茜:朋里には、おばけが視えるって友だちに言わないようにさせてるから、今のところは大丈夫かな?

淑華:それなら良かった! 女の子だし、ちょっと心配でさ……。

茜:ありがとう。お姉ちゃんも気をつけてね!

淑華:私はもう、それを売りにしてお祓いとかしてるから気をつけようがないかも(笑)


お姉ちゃんは、神社を運営しながら霊障で困った人達のお祓いを積極的に行っていた。


淑華:最近は生霊とか呪いの相談増えてたんだけど、対応してたらなんか変な宗教団体から誘いがあったわ。こちとら神社の禰宜してんのにねww

茜:わ、笑えないよ……本当に気をつけてね!

淑華:ありがとう。茜も気をつけてね、何かあったら連絡してね、霊障系なら対応できるし!

茜:ありがとう!


薄らと微笑みながらアプリを閉じる。


お姉ちゃんとのやり取りの余韻に浸っていると、パソコンからメールの受信音が聞こえた。

悟からメールは確認しないように言われていたのに、なんとなく胸騒ぎがして、届いたメールを開いてしまった。


画面に表示されたその名前を見た瞬間、心臓が嫌な音を立てる。


送り主はクロウリーさんだった。


件名:ご連絡お待ちしています

本文:

霊視装置の開発が一段落したと認識しています。

パワーストーンの研究について、ご協力して頂きたく、ご連絡致しました。


ご返信お待ちしております。

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