表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
129/135

女王との対峙

ブクマ登録、評価、感想、ありがとうございます!

ラストに向け、励みになっております。


修正内容:一部加筆あり




「今の音……!」


 魔法の爆発音に違いない。きっと爆発が起きたそこに、ルーチェはいる。

 先ほど助けてくれた時よりも、大きな音だ。離れていてもそれが分かる音は、森を震わせた。

 鳥たちは甲高い声で叫びながら、一斉に飛び立つ。他の動物たちも怯え、慌てた様子で音の聞こえた方向から逃げて来る。私は彼らとは違い、逆走する。


「…………っ」


 木々の枝葉の隙間から、もうもうと空に煙が漂っているのが見える。その量も、助けてもらった時の比ではない。

 これほど大きな魔法をルーチェが使うということは、きっと相手が、相当の手練れに違いない。早く加勢しなければ!



「氷よ!」



 突然右側から声がしたと思うと、氷柱が尖らせた先を向け、真っ直ぐ走ってくる。

 声が聞こえたことで、ぎりぎり避けると、氷柱は木に刺さり、その周囲を凍らせた。


「あらあら。こんな所で会えるなんて、奇遇ねえ。いえ、運命かしら」


 右側に視線を向けると、左手を突き出し、赤い口紅を引いた美しい女性が立っていた。ドレス姿なのに、なぜか剣を携えているその人の顔には、見覚えがある。

 驚いた私は大きく目を見開き、しばらく瞬きを忘れる。


 まさか、そんな……。なぜこの人が、ここに……?


 さらに彼女の背後に、ロープを着こんだ者たちが十人ほど立っている。その中にルーチェが追いかけた魔法使いの姿がある。

 この魔法使いがここにいるなら、ルーチェは一体、誰と戦っているの? まさかこの魔法使いに負けたの?

 ううん、そんなはずはない。ルーチェが負けたなんて信じない! きっと他の誰かと、今も戦っているはず!


「貴女、ジャスティーでしょう? ふふっ、噂に聞いてはいたけれど、確かに美しい娘だこと。あのゼバルの孫とは、思えないほどね」

「……貴女は、誰?」


 警戒しながら、震える声で尋ねる。答えを知りながらも、質問せずにはいられなかった。


「私はインバーション帝国皇女……。いえ、ホーベル王国女王」


 堂々と答えられ、息を呑む。


 やはり……! 彼女が女王として即位した時の新聞記事に、写真が掲載されていた。服装は違えど、間違いない。本当に女王本人だ!


「どうして貴女がここに⁉」

「フレイブ王国が総力戦で挑んでくるから、応えようと思って」


 にこりと笑うその顔に、優しさや温かみはない。ただ『笑う』という形を作っているだけで、笑うという本来の感情が込められていない。


「それにね」


 しゃあ……。


 女王はゆっくりと音をたてながら、剣を鞘から抜き出す。


「ずい分と私の邪魔をしてくれる貴女に、自らお礼をしなければと思って」


 抜いた刃の面に、すっ、と白く細い指を走らせると、鞘を捨てる。そして視線を私に向けたまま、背後に控える魔法使いたちに命ずる。


「貴方たち、ここはいいわ。彼のもとへ行きなさい」

「しかし女王陛下。全員がそちらへ向かえば、貴女を護衛する者がいなくなり……」

「二度言わさないで。魔法も使えない娘に、私が敗北するとでも? 早くルーチェを倒してきなさい!」


 肩越しに彼女が睨めば全員口を閉じ、すぐに背を向け、ルーチェのいるであろう方角に走り出した。

 彼らはきっと、ルーチェと戦っている誰かの加勢に向かう気だ!


「行かせない!」


 あれほどの爆発を起こさなくてはならない相手と戦っているルーチェへ、これ以上敵の増援を認める訳にはいかない! なんとしても止めなくては!


 急いで火の矢を放つ。


 女王の横をすり抜け、彼らに当たると思ったのに……。


「封ぜよ」


 女王にすら到達せず、見えない壁に阻まれた炎は霧散する。


「防御魔法……!」

「ジャスティー。貴女の罪は、なにかしら⁉」


 言うなり女王は踏み出し、私に向かってくる。


 ……速い!


 とてもドレスをまとっているとは思えない!

 瞬時に詰め寄られ、剣の先を突き出される。幸い避けられたものの、洋服の胸の辺りが切られる。


「エルフィールを植え替えたこと? メッチェルを追いこんだこと? ゼバルとメッチェルの関係を漏らしたこと? いいえ、違う! なにもかも、全てよ! 上手く事が運ばなくなったのは、全て貴女のせいよ!」


 腕を引き、突き出す。ただそれだけなのに、俊敏に動かれ、全てぎりぎりで躱す。


「く……っ」

「貴女が余計な真似をしなければ、フレイブ王国を手中に収めるなど、楽勝だったのよ!」


 美しい顔を怒りで歪ませ、変わらず剣を突きだしながら彼女は叫ぶ。


「死招き草の密売、栽培により、国として弱体化したフレイブ王国に、未知の病を蔓延させる! それでこの国を手に入れるはずだったのに! 私の功績となるはずが! それをよりにもよって、エルフィールの植え替えですって⁉ 私たちが何年この計画に費やしたと思っているの! 人の苦労を知りもしないで……! 憎らしい娘だこと!」

「その考えが……! 侵略行為が、間違っているのよ! なぜそれが分からないの⁉」


 長く腕を上げたまま、突き出しを繰り返していれば、いつか疲れも見えてくる。特に女王は興奮しており、制御ができていない様子だから、余計に疲労は早く訪れるはず。

 きっと好機はくる……! それまでは、なんとしても躱し続けてみせる!





お読み下さり、ありがとうございます。


女王を最後どうするかは、ギリギリまで悩みました。


①帝国へ逃げ帰る(?)

②ホーベル王国宰相夫婦から、よくもうちの娘を!ホーベル国を!全てお前のせいだ!この悪魔め!と私怨で襲われ絶命

③ジャスティーと対峙


ざっくらばんに書くと、こんな選択肢でしたが、やはり諸々の背後に潜んでいた、言わばラスボスと対峙するのは、主人公の役目だろうと思い、③を選択しました。

宰相に罪をあがなわせるという意味で、②も捨てがたかったのですが……。

改めて書き出すと、③にして良かったなと、私の中ではなっています。


そして先日、最終回までの下書きが完了しました。

下書きと言っても、下書きの下書きという、大まかなものですが……。


そんな訳でラストが見えてきましたが、最後まで頑張ることを止めず、より良くなるよう精進することを心がけようと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ