巻き込み
桜からのおすすめの本は、ぼくでもキュンとするような、そんな話だった。
普段、ぼくは恋愛マンガなんてみない。
しかし、桜のためなら恋の勉強だって、自分磨きだってする。
ぼくは、夏休み明け桜に惚れてもらいたくて、頑張ってきた。
嘘告を、ほんとうの告白にしてもらいたくて。
なんなら、うまれかわったぼくから、告白しようと企んでいたのに…
しかし、桜には彼氏がいてぼくは、ただの偽装彼氏に任命されただけの男だった。
でも、ぼくは負けない。
ここでただ諦めて、偽カレをするだけの男じゃないんだ。
そもそも、ぼくは心まで鍛えたんだ。
で…
諦めないのは、いいんだけど…
本を読んでも、いい案が浮かばない。
ただただ、キュンはした。
‼︎
キュンしてもらえばいいんじゃ?
桜がキュンする時は、どんな時だ?
やっぱりキュンしたり、こういうのいいよね的なものがあるから、本を読んでいるんじゃないか?
そうか!
桜が、たくさん持っている巻の本を借りたらいいのか‼︎
ぼくは、あつかましいと思いつつも、桜からたくさんの本を借りることにした。
今すぐに連絡するのは、悪いよね…
だって、さっき用事あるって言ってたもんね?
でも、あれから数時間経ってるし…
どうだろう?
ちょっと連絡だけでも、してみちゃう?
——
してみちゃった。
そしたら、桜がもう家だからいつでも借りにきていいよって、快くおっしゃってくれた。
さっそく、おじゃました。
桜の部屋は、いつも清楚感あふれていてきれいだ。
ぼくの部屋は、どちらかというと、黒とかが多いんだけど、桜の部屋は白基調で、たまに薄ピンクや淡いグリーンのものが、置かれている。
「やっぱり桜の部屋は、おしゃれだよね」
「そう?」
桜が、嬉しそうに部屋を見渡した。
先輩は…
先輩は、桜の部屋に来たことがあるのだろうか?
…
そんなこと、考えても仕方ないよね。
桜が本を用意してくれていた時、桜の携帯がなった。
携帯には、田口さんと表示されている。
…
「でてもいい?」
「え、ああ…じゃあぼくは一度家に帰るよ」
「いいじゃない。ゆうたも田口さんと仲良いでしょう?みんなではなそ?ね、いいよね?」
…
「うん。」
桜が、どうしても三人で話したそうなので、仕方なくうなずいた。
「もしもーし、どうしたの?田口さん?」
「さっきは、おつー。あのさ、言い忘れたことあって」
「そうなの?あ、てか今ゆうたも隣にいるの」
「へー」
「だれ?ゆうたって?」
⁉︎
田口さんの電話から男性の声がした。
まさか…?
「ちょっと、あっちいっててよ!」
電話越しから、田口さんの声がする。
「ごめんねー、じゃまが入っちゃって」
「ふふ、仲良いね」
桜は、普通に笑っていた。
仲良いねとか、呑気なこと言ってる場合じゃなくない?
田口さんの家に二股彼氏がいるんじゃないの⁉︎
てか、田口さん…
彼氏がいるのに、なぜ桜に電話なんか…
え、もしかして…
わざとだったりする?
桜は、彼氏が二股してるって気づいてるっぽいけど…
もしかして、田口さんも彼氏の二股を知ってしまった?
そして、あやしいと思った桜にわざと電話したってこと?
「あ、ねぇゆうたん?」
⁉︎
いきなり田口さんが電話越しからぼくを呼んだ。
「えっ、なっ、なに?」
「どう?順調に磨いてる?」
…
たぶん、田口さんは心とからだ磨きは、順調かなって聞いているのだろう。
「……うん、順調。」
「そっか。てか、二人って何してるの?まさか、桜さんの部屋だったりー?」
「うん、そうだよ」
桜が即答した。
桜…
なぜ即答?って思ったが、もしかしたら、これは桜の作戦なのかもしれない。
二股彼氏に、やきもち大作戦ってね。
ってか、ぼくって…
すでに三人の恋に巻き込まれていない?
これは…
この夏休みに、ぼくは色々考えなきゃだな。
桜の気をひくのと、田口さんと桜、そして二股彼氏との関係とか…ね。
恋って、大変だなぁ。
恋愛って、大変だから画数多いの?
…ぼくは、なにを考えているのだろう?
意味わかんないな。
画数とか、そんなことは…どうでもいい。
でも、この複雑な関係を考えてると、どうにかなりそうで…つい現実逃避するところだった。
続く。




