第十八話 密室の共鳴宝珠(ジン:七日目)
商業都市ルミナスの中心部にそびえる魔術師ギルドの建物は、白亜の外壁のいたるところに幾何学模様の魔法陣が刻まれ、昼の陽射しを受けて仄かに発光していた。
一階の受付では、忙しなく行き交う職員たちが依頼票の束を抱え、来訪者の応対に追われている。
葛城とルカが魔術師ギルドの受付に行くと、すでに第一小隊捜査員のフィリップ・ラングフォードとコリン・ラドクリフの二人が面会を要請していた。 コリンは慌てて頭を下げ、フィリップは二人を見て、少し不機嫌な顔を見せた。
「ルカさんとジンさんも担当に任命されたんですか?」
「大隊長からの直々だよ。 よろしくな フィリップさん コリンさん」
すこしぎこちないが挨拶を交わしていると受付から出てきた職員が「四名様ですか?」と聞いてきた。 フィリップは少しの沈黙の後、「.....。 はい。 四名です」と返した。
受付の喧騒を横目に、葛城とルカ、そしてフィリップとコリンの四人は案内役の職員に導かれて奥の階段へと進んだ。
石の階段は踏むたびにひやりとした感触を伝えてくる。窓の外には商業区画の喧騒が遠く聞こえるが、階を上るごとにその音は薄れ、代わりに紙とインクと魔力の混じったような、独特の匂いが濃くなっていく。
「宝珠が盗まれたって話、被害届が出てるのはここのギルド長からなんだよな?」
葛城はミント味のパイポをカリカリと嚙みながら尋ねた。禁煙してからというもの、緊張する場面ではどうしてもこの癖が出る。正式に警備隊の捜査協力員という肩書を得たとはいえ、ランドルトから手渡された身分証はまだ胸の内側にしっくりと馴染んではいなかった。
それまで下を向いて何か考え事をしていたようなルカは、葛城の声を聞いて、ハッとして答えた。
「はい。 ミルセイン様は、この国でも五本の指に入る有名な魔術師です。......少し、変わった方ですが」
ルカが視線を伏せながら、話している様子から、葛城はルカが先日言っていた話を思い出した。 たしか育ての親のグレンが、魔術師ギルドのギルド長に頼んで、精霊魔術を教えてもらったのではなかったか?
三階の廊下を進んで突き当りの大きめの両開きの扉を案内の職員がノックした。 ルカの態度にわずかな緊張が滲む。 ルカの「少し」がどの程度のものか葛城が問い返す間もなく、重厚な扉が音もなく開かれた。
「ルカーーーーー!」
葛城からは中学生ほどにしか見えない、長いピンクの髪の少女が、ぶかぶかの緑色のローブを引きずって、案内の職員と葛城、フィリップの横をすり抜け、ルカの華奢な胸に飛び込んでいった。
「あ.....。 あの.....。 先生。 お久しぶりです....」 ルカが口をピクピクさせながら挨拶した。
「まったくじゃ! ルカ。 警備隊に入ったのなら、なんで挨拶にこんのじゃ!」
さすがに葛城だけでなく、フィリップもコリンも、案内の職員もあっけに取られていた。 ピンクの髪の少女はルカの胸から顔を上げてルカの顔を緑色の瞳を輝かせて小動物のように覗き見る。 見ると少女の耳がルカよりも長い。
「それはその.....。 あたしにも色々あって.....」 ルカは少女と目を合わさず頬を掻いた。
気を取り直して、優雅な物腰で、フィリップが間に入って挨拶する。
「お初にお目にかかります。 警備隊第一小隊のフィリップ・ラングフォードです。 以後、お見知りおきを」
フィリップの貴族的なお辞儀を完璧に無視して、少女はルカの手を引っ張り、自分の机に座ると、ルカを自分の膝の上に座らせた。
その机の横に先ほどから黙って立っている腰までの長い青い髪の眼鏡を掛けた痩せ気味の女性が、紫色の魔術師ローブを翻し、眼鏡をキュっと上げながら紹介した。
「ルミナス魔術師ギルド長のミルセイン・アーガス様です。 私は副長を務めさせていただいているクラリス・アンダーホーン。 この度、ルミナス警備隊にご連絡させていただいたのは私です」
「えーっと、第一小隊のコリン・ラドクリフ、こちらに居るのが...」 コリンがうまく繋げる。
「捜査協力員のカツラギです」といって、ランドルトから渡された身分証を見せた。 葛城の横でこめかみをピクピクさせながら固まっているフィリップが居た。
・・・・・
「えーーっと、それであの……。 宝珠が盗まれたのは、何時ごろなんでしょうか?」
目の前の執務机では、中学生ほどにしか見えない、長いピンクの髪のエルフ美少女――否、この魔術師ギルドの長、ミルセイン・アーガスが、うんざりした顔のルカを膝に乗せていた。 彫りの深い顔立ちに高い鼻、きらきらと光る緑色の瞳は少し吊り上がっている。緑色のローブは小柄な体に対して大きすぎ、袖がだぶついていた。
(見た目は完全に子供だが……この国で五本の指に入る魔術師、だったな。 異世界、恐るべしだ)
葛城は内心でそう独りごちながら、崩れそうになる表情筋を必死で抑えた。
ミルセインは机上の広口瓶からクッキーを取り出しては、ルカの頬に押しつけていた。
「これでも食って大きくなれ」
「先生。いい加減にしてください。 私はもう十八歳なんです。 子供じゃないんですから」
「エルフで十八など、わしから見れば赤子同然じゃ」
ギルド長は葛城達の存在を綺麗に無視し、孫でも可愛がるようにルカの頭を撫で回している。 しかし、ミルセインの見た目はルカよりも若い。 背も低いので、ルカがミルセインの膝の上に乗ると、ミルセイン全体がルカに隠れてしまっている。
(……これは一体、どういう絵面なんだ)
葛城は言葉を失ったまま、傍らに控えるクラリスへ視線で助けを求めた。
「ルカさんは五年ほど前、精霊魔術を学びにいらした生徒さんで、それ以来ミルセイン様がすっかり気に入ってしまわれたのです。 ご自分のお孫さんのように思っていらっしゃいます」
クラリスは眼鏡の奥で目を伏せ、慣れた様子で淡々と説明した。
「ルカよ。わしは心配しておったんじゃぞ。 警備隊員になったならなったで、なぜ知らせに来んのじゃ? わしは悲しいぞ」
ヨヨヨ、と芝居がかった調子で泣き崩れるミルセイン。 膝の上のルカは、もう何度目かも分からないという顔で天井を仰いでいた。
「先生には先生のお仕事があるでしょう。 あたしだって、毎日忙しいんです」
「忙しい忙しいと言うて、この一年、顔も見せんかったではないか。 ルカはなんでわしにそんなに冷たいんじゃ。 わしはこんなに愛しておるというに」
(俺の質問には誰も答えてくれないのか……)
葛城は内心でぼやきつつ、もう一度だけ声を上げてみることにした。
「あの、宝珠が盗まれたのは、何時ごろで――」
「ミルセイン様、そろそろ本題に……」
結局、葛城の声はクラリスの一言にあっさりとかき消される。 それでも、クラリスの視線がすっと細くなるだけで、ミルセインは大きく肩を落とした。
「ハァ――――――もう宝珠は見つかりはせん。 どうせ無駄じゃ。 セレスティアに言うて、新しい魔鉱石を探してきてもらう方が早いじゃろう」
ジトっと見つめてくるクラリスに根負けし、ミルセインはようやく机に向き直った。
「ああもう。 昨日の夜、わが魔術師ギルドの保管庫から、特別な魔道具――共鳴宝珠が盗まれたんじゃ。 結界魔法で完璧に保護された倉庫からな。 正直、わしにもどうやったのか分からん。 鮮やかなもんじゃ。 あとはクラリスが詳しいからクラリスに聞け。 わしはルカと茶を飲みに行くでな」
ミルセインは面倒くさそうにそういうと、ルカを膝から降ろして、立ち上がった。
「先生。 私はもう警備隊第一小隊の捜査員なんです。 仕事なので、先生とお茶には行けません」
ミルセインに向き合うとルカは人差し指を葛城に向けて言った。
「それにここに居るジンはあたしの師匠で、こういった事件を鮮やかに解決できちゃうんです。 盗まれた魔道具も見つけてくれるに決まってるんです」
「え? ルカ? あの それは言い過ぎ」
初めてミルセインの視線が葛城を貫いた。
「.....。 師匠だと? わしを差し置いて、師匠ぉぉ?」
ピンク髪のエルフ美少女に睨みつけられる葛城。 複雑な感覚だったが、迫力に押される。 しかし出し抜けにその迫力が霧散する。
「ぬ.....? おぬし。「迷い人」か。 なにか面白そうなものを持っておるの」
ミルセインは不意に葛城に近づくと葛城の体をまさぐり始めた。 焦る葛城。
「え? あの。 ちょっと。 あ。 やめ」
「なんじゃこれは?」
取り出されたのは、手錠と拳銃だった。
「ああ。 それはテジョウとケンジュウだよ。 テジョウは金属の拘束具で、ケンジュウは....。 護身用の武器...... だったが、もう使えない」
「ほぉ~ おもしろい.....。 お前、これらはここに置いてけ」
葛城の持ち物に興味の矛先が変わったミルセインは、ぶつぶつ言いながら、手錠と拳銃を調べ始めた。
(ん~。 まぁ どうせもう使えないし良いか。 あとで返してもらえば)
「それでは、私が皆さまを宝珠が盗まれた魔道具倉庫にご案内します」
眼鏡をキュっと上げつつ、クラリスが申し出た。 「皆さまこちらへ」と促す。
クラリスが先導し、葛城、ルカ、フィリップ、コリンの五人は二階の魔道具倉庫へと向かった。
・・・・・
重々しい木製の扉の前で、クラリスが早速手を伸ばしかけた葛城を制した。
「お待ちください。この扉には結界魔法が掛かっています。むやみに触れると危険です」
彼女は静かに詠唱の印を切り、扉に絡みついていた見えざる魔力の膜を解いた。それから、ゆっくりと扉を押し開ける。
窓のない室内は暗かったが、足を踏み入れると同時にいくつものランプが自動的に灯り、棚に並んだ数々の魔道具が淡い光の中に浮かび上がった。 杖や指輪、正体の知れない歯車仕掛けの箱、壁際の棚には小さな木札が下げられており、魔道具の名前らしきものが書かれている。 部屋の中央には木のテーブルがあり、その上に、空になった二つの立派な台座がぽつんと置かれていた。
「昨日の夕方、共鳴宝珠が完成しましたので、私が一階の工房から持って上がり、このテーブルの上の台座に収め、扉を閉めて結界魔法を掛けました。 本日の朝、別の魔道具が必要になり、先ほどと同じように結界を解いて中を見ますと……台座の上から、共鳴宝珠が二つとも無くなっていたのです」
「クラリスさんが、第一発見者ということですね?」
「はい。そうなります」
「この結界魔法ですが、どういった魔法なのでしょう?」
「結界魔法を掛けた部屋への出入りが出来なくなる魔法です。 稼働中は、部屋の中に入ることそのものが不可能になります」
淡々とした説明だった。 噓をついている様子はどこにもない。
第一小隊の面々はそれぞれ部屋の中をぐるりと見回した。
「この共鳴宝珠ってのは、そんなに価値のある品なんですか?」
「二つで一組、遠距離通信を可能にする魔道具です。 素材となる魔鉱石自体が稀少なうえ、完成までに手間もかかります。 市場に出せば大金貨十枚は下らないでしょう」
ルカとコリンが小さく息を呑んだ。 大金貨の価値が分からない葛城にはあまりピンとこない話だった。 フィリップが引き継いで質問する。
「鍵や合図となるようなものを持つ者は、クラリスさん以外にもいるんですか?」
「結界魔法を掛けられるのは私だけです。 ギルド長も、術式そのものはお持ちですが、日々の管理はすべて私が任されております。 結界魔法自体を破ることは更に強力な解除魔法で可能ですが、解除された場合は、私が分かりますし、強力な魔法が建物内で使われる場合は、事前に解除しておかないと、警報が鳴り響く魔法が建物に掛けられています。 そしてそのような事は昨夜はございませんでし、私が今朝、結界魔法を解除した時も異常はありませんでした」
「宝珠を台座に収める時、他に誰かと一緒でしたか?」
「いえ。 私一人だけでした」
クラリスの答えはよどみない。 裏を返せば、それを裏付けられる者もまた、この場にはいないということだった。
全員で飾られている魔道具に触らないように部屋の壁際を調べて回るが、外から入り込めそうな隙間はどこにもない。 部屋には窓もなく、人が身を隠せそうな場所も見当たらなかった。 ルカは棚の裏側まで覗き込み、指先で床の継ぎ目をなぞって確かめている。 それから空になった台座に手をかざし、静かに『鑑定』を発動した。
「……台座そのものには、細工の跡はなさそうです。 壊された形跡も、無理に動かされた形跡もありません」
葛城は静かに目を細め、『事象検証』を起動した。 青く仄かに光る解析画面が視界の端に浮かび上がるが、目立った異常は見当たらない。 ただ、床に落ちた小さな毛先の灰銀色に、葛城の視線が止まった。指先でつまみ上げ、光にかざしてみる。
「こちらに、狼の獣人はいますか?」
「いえ。ギルドには数人の獣人がおりますが、狼の獣人はおりませんね」
クラリスは首を傾げながらも、迷いのない口調で答えた。
(……なら、この毛はどこから来たのか)
葛城はそれ以上口にせず、小さな毛先を手帳に挟んだ紙片へそっと包んだ。
「ここにある魔道具で、外から中に入ったり、中の物を移動させたりできるようなものはあるのでしょうか?」
「そういった魔道具はありません」
「倉庫には結界魔法が掛けられていて、それが掛けられている間は、何も中の物に触れることができない、となると……」
「そうですね。それが可能なのは、私だけになると思います」
クラリスは眉一つ動かさずにそう答えた。事の重大さに気づいていないのか、それとも気づいた上での落ち着きなのか、葛城にはまだ判じかねた。 ルカも同じことを感じたのか、僅かに眉根を寄せてクラリスの横顔を見つめていた。
「ちょっと済みません。 クラリスさんにスキルを使っても良いですか?」
「スキルを? 私に?」 少し怪訝な顔になるクラリス。
「ええ。 『鑑定』みたいなスキルなんですが」
「ええ。 構いません」
「それでは 失礼して」
『事象検証』
【対象:クラリス・アンダーホーン】
【魔力残滓:あり 詳細不明】
クラリスの頭部には何等かの魔力の残滓が残っていた。 彼女が何かの魔法にかけられた可能性があるが、詳細は分からない。
「クラリスさんの頭部に魔力の残滓が見つかりました。 詳細は分かりませんが、何かの魔法にかかっている、またはかかっていた可能性があります」
クラリスが驚きの表情を浮かべ、フィリップとコリンが視線を交差させた。
・・・・・
「フーム.....。 確かにクラリスには魔法が掛けられたような痕が残っとるのぅ。」
全員がまたミルセインの執務室に戻ってきていた。 ミルセインの執務机の前のソファにクラリスを座らせて、ミルセインは両手をクラリスの頭に向けている。 手からは淡い白い光がクラリスの前頭を照らしていた。
「これは、記憶に何か細工されたか...?」 ミルセインが目をつぶりながら集中している。
「『記憶消去』の魔法ですか? 精神魔法系の最上級の?」 クラリスも目をつぶっているが、ミルセインの言葉に答えた。
「いや。 違うのぅ。 『記憶消去』は呪文効果中の対象者の記憶へのアクセスを遮断する魔法じゃ。 効果中は自分の名前も使える魔法もすべて忘れるが、忘れていたことは効果終了後は覚えとる」
ミルセインは両手を下ろすと葛城達に真剣な顔で向き直った。
「これはわしも知らん魔法じゃ」
フィリップがミルセインに近づいて確認する。
「では、何者かが、クラリスさんを精神系の未知の魔法で操り、宝珠を盗んだ後、記憶を操作した....。 つまり、高レベルの精神系魔術師ということですね」
「魔法が確定できん以上、断定はできん。 何かのユニークスキルという事も考えられる」
(!!! ユニークスキル? 「迷い人」?) 葛城の脳裏に佐伯の影がチラついた。
「ジン....?」 ルカは葛城の雰囲気が一瞬変わったのを感じた。
そこへ、執務室の少し開いた扉の隙間から「あのー」と遠慮がちな声がかかる。 明るい栗色のおさげ髪に、そばかすの浮いた顔。 指先にはいつものインクの染みをつけた見習い魔術師――フィオナ・レイクウッドが、扉の隙間からおずおずと顔を覗かせていた。
「どうしたんですか、フィオナ?」
フィオナはギルド長執務室内の状況がどういった状況なのかを理解できずにキョロキョロしていたが、ソファに座るクラリスに促されて、意を決したように口を開いた。
「実は……昨日の夜、変な人を見たんです。 関係あるのか分からないのですが、今日は朝から、ギルドが騒がしくて、聞くと何か無くなったらしいと同僚から聞いて、関係あるかも知れないなら話したほうが良いって同僚が言うから」 フィオナの声は最後の方は消え入りそうになっている。
「何を見たのですか」
おどおどして、泣き出しそうなフィオナにクラリスは自分の声を少し優しくした。
「身なりの良い若い男の人が、ギルドの裏手のゴミ置き場をゴソゴソ漁っていて……。 そしたら、何か怪しく光る物が入った袋を取り出して、「これで大金持ちだ」とか言ってて……」
室内の空気がわずかに引き締まる。 ルカが素早く一歩前に出た。
「それは、いつ頃のことですか?」
「ギルドの就業時間後くらいだったと思います。 仕事終わりのお茶を窓を開けて飲んでたら、たまたま見てしまって……」
今度はフィリップが前に出てフィオナに質問し始めた。
「その方は、どんな服装でしたか?」
「仕立ての良さそうな上着を着ていました。 歳は、私と同じか少し上くらいで。 髪は――」
フィオナは記憶をたどるように視線を上げ、身振りを交えながら詳しく説明を始める。 歳の頃、髪の色、着ていた服の質、笑い方の癖まで――見習いらしからぬ、妙にしっかりとした記憶力だった。
フィリップが脇に控えていたコリンに向かって合図した。 コリンは自分の鞄の中からスケッチブックを取り出して、フィオナに目撃した男の特徴を聞き始めると、あっという間に似顔絵を完成させた。
「あ。 似てます」 コリンがフィオナに確認を取ってから、フィリップに見せると、フィリップの顔に驚きが走った。
「ジュリアン・フォン・ナルデニアン......」
(ナルデニアンだって?)
「.......。 おお。 確かに。 ナルデニアンの放蕩息子にそっくりじゃの。 以前いつだったかのパーティでジロジロなめまわすように見られてキモかったんで覚えとる」 ミルセインが似顔絵を脇から覗き込んでダメ押しした。
百面相の様に表情がコロコロかわるミルセインの顔に笑顔が戻る。
「しかし、おぬしら。 なかなかやるではないか。 見直したぞ! これは宝珠奪回も、期待できるかもしれんな。 のぅ クラリス」
なぜかドヤ顔のミルセインを見る複雑な表情のクラリスと、その言葉を聞いて、「当然です」と鼻息荒く胸を張るルカがそこに居た。




