第二十話 訓練初日 〜連携について〜
「最後に、固有技術を使った連携をとるぞ」
「……はぁ、はぁ。今から?」
「あぁ。当然だ」
凄いって。昼からずっと全力で動きっぱなし。もう夕方だというのに、みんな全く息切れしていない。
わたしはもうバテバテだよ。
「とりあえず俺が一つだけ考えてきたから、それを練習するぞ」
ガーベル君は、メモ用紙の裏を全員に見せた。
これが、わたし達の連携……!
○○○
リントが少し前に、ガーベル君とマルティーズちゃんが少し後ろに。三角形の陣形。
目前の大木を標的に例えて。
「じゃ、じゃあ……行くよっ!」
道具袋がリントの腰から飛び出す。
まずはわたしから。責任重大だ。
「『固有技術・収納』!」
大きく、飲み込むように膨張するわたし。
これで、敵からの遠距離攻撃を防ぐ。
それだけでは無い。これは、目眩しも兼ねているのだ。
「『固有技術・矢ノ雨』」
「『固有技術・火球三連』」
わたしの陰から、ガーベル君とマルティーズちゃんが飛び出した。
それぞれ無数の矢と、三発の火球が放出される。
ぶつかり合わず標的に命中させるという離れ業を披露。
これにより敵の視線と両手を封じる。
最後に。
わたしの陰で既に固有技術で稲妻の剣を完成させていたリントが、敵の背後に回り込み――。
「はぁっ!」
剣閃。その煌めく刃が、敵を斬り裂いた。
近距離の防御より、速く。
みな、疲弊している。肩で息をして。
だが間違いない。今度こそ。
「や……やったーっ! 上手くいった!」
これは、十三度目の挑戦だった。ようやく通しで上手く動けた。
わたしは、大きくなりすぎて三人の行動を遮らないように。
ガーベル君とマルティーズちゃんは互いの攻撃がぶつかり合わないように。
そしてリントは敵にバレず動き、タイミング良く一撃で相手を仕留められるように。
「ま、こういうのをあと何十個かやらねぇとな」
「へっ?」
ガーベル君がとんでもない事を言った。少しは喜ぼうよ。
「そうね。あの下衆強いわ。これだけじゃ絶対勝てない」
「あの」
マルティーズちゃんまで。向上心の塊か。
「うん、頑張ろう。でも……まずは冒険者ギルドでご飯食べよっか。お腹空いたし」
「しゃあ!」
リント……! そうだよね。今日はもう十分頑張ったよ。体調も大事だよ。
「ユキ、急に元気になったな。まだいけそうか?」
「あぁ、お腹すいたなぁ」
目を細めてこちらを睨むクールキャラを無視し、リントの腰にくっつき、固定。帰る準備は万端だ。
分析、実践、連携。
夜遅くまで続いた訓練初日も、ようやく終了。
勇者パーティーは、アトスエンスの街へと帰っていった。
また明日も訓練をするそうだが、どうなるのやら。。




