第十一話 勇者パーティーVS錬金土人形・王(ラストゴーレム)1
「来い、デカブツ」
ガーベルが対峙するのは『錬金土人形・王』。
倒せばマグネティック鉱石を獲得し、リントの妹を救出できる。
しくじれば……勇者パーティーは全滅かもしれない。
そんな背水の陣の中、弓兵は敢えて短刀による白兵戦を選んだ。
「ゴオオオオオ!」
迫りくる、岩石の拳。
見た目と重量に反して、その速度は尋常ではない。しかし。
「遅いな」
ガーベルはそれを短刀でいなし、その勢いを利用して。
素早く錬金土人形・王の足元にも潜り込み。
斬。
「グオオッ」
岩石、鉱石のいくつかに斬撃を加えた。
微かにだが、傷が入る。
それを気に食わない岩石の怪物は、ガーベルをどかそうと地団駄を踏む。
すでにガーベルは、標的の背中に。
「こっちだ」
再び、斬撃が加わる。
必要最小限の動きで翻弄し、確実にダメージを。
これが戦闘の玄人、ガーベルの戦い方だ。
(よし。これならあいつらが来るまで持ち堪えられるだろ)
だが。ここは『英雄補完協会』が指定した『不可侵領域B』。
単騎で継戦できるほど、甘くはなかった。
突如、錬金土人形・王の動きがピタリと止まる。
「なにかヤバいな」
咄嗟に飛びのいたガーベル。長年の経験からなる勘だ。
その判断は正解である。
「グオオオオオ!」
錬金土人形・王は叫び声とともに、膨張し――。
鉱石と岩石を身体から、周囲に発散させた。
ガーベルは身をよじりそれを回避しようとするも。
「ぐっ……!」
避けきれなかった。吹き飛ばされて地面を転がる。
「グオオ」
「得意げだな」
態勢を崩したガーベルを見下ろす、岩石の怪物。
窮地に立たされた銀髪の狩人。しかし彼の口角は、つり上がっていた。
「だが生憎、俺は一人じゃあない」
「準備万端よ! さぁ、こっちを見なさい! デカブツ!」
煌びやかな金髪をヘアゴムで結わえたポニーテール。燃え盛る焔色の瞳。
そう、黒魔導士マルティーズだ。
この辺りで一番高い岩に乗り、自信あり気に片足を前にして。地面に魔法陣を展開。
漆黒の、魔導の杖を突き出す。
「さぁ、覚悟してちょうだい! 『固有技術・紅蓮大砲』!」
杖の先から放たれるのは、まさに火炎の柱。
とてつもない魔力を込められたそれが錬金土人形・王に直撃する。
「ゴオオオアアアア!」
業火に焼かれて悶える岩石の塊。
岩肌が焦げ、徐々に橙色に染まっていく。
「ふっ、最強の黒魔導士を自称するだけあるな。希望が見えてきた」
「ガベこそ、良い身のこなしね! まっ、アタシのが凄いけど! てかこれで倒したでしょ!」
ふふん、と豊かな胸を張ってみせるマルティーズ。
だが。
「いや、まだだ」
マルティーズの炎魔法を受け切り、ゆっくりと立ち上がってくる錬金土人形・王
「ウソでしょ!? もう一回撃つのなんてかなり時間かかるわよ!」
「そうだよな。くそ。どうしたもんか」
いまだ、勇者と道具袋は到着せず。
二人は果たして、錬金土人形・王の猛攻に耐えられるか――!?




