第2冊 旅にトラブルはいらない
「ウォーキングしようよ!」
数年前より、運動する事に目覚めた嫁ちゃん。
それは良いのだが、困ったことに私とはコトゴトクしたい事が違う。
私、別に筋トレとかストレッチとかしたくないのだ。ダイビングとかスノボとかそっち系がしたいのに、全く趣味が合わない。
まあそれは仕方ない。
問題はコッチにも「モチロン一緒にするよね?」と「圧」をかけてくることだ。ここで「イヤだめんどくさい」とでも申すものなら、たちまち不機嫌になり「いかに運動が大事なものか」を論じ始め、余計にメンドクサイ事になる。自分がよいと思ったものは人が肯定するまで勧めてくるのはちょっと勘弁願いたい。
とは言え、数々の修羅場をくぐり抜け、すでにサトリを開いている私は、冒頭の誘いに「イイネ」と答えるのみである。
まあそれもいいだろう。
確かに健康を維持するのは大事なことだ。
でもですね。
「泊りがけで行こうと思うんだ」
「なんで⁉」
いや、ホントなんで?
そもそも提案があった「ウォーキング」とは、JR九州さんが提供する地域イベントタイアップ型の駅前からスタートするウォーキングプランである!で、今回は車で1時間も行けば余裕で着くところにわざわざ電車で出かけた上に一泊しようと言い出したのだ。そもそもウォーキングは天候に左右される。もし雨が降ったらやることがないではないか。
「日田は温泉あるし」
む?
「小国は新1000円札の北里柴三郎記念館があるよ」
むむ。
「で、久しぶりに『ゆふいんの森号』にも乗ろうよ?」
むむむ~
……仕方ない。
どうせ言い出したら聞かないし。
ちょっと行ってみたくなったし。
と、言うわけで一泊二日でかの地に向かった。
大分県日田市は、由布院、別府と並ぶ大分県三大温泉地。
元は幕府が直轄する「天領地」で江戸時代の街並みが保存されており、日田祇園祭はユネスコ無形文化遺産に登録されている。日田天領水など水がきれいで、サッポロビール工場などもある。当然そこにはビール園なるものが隣接されている。ついでに「進撃の巨人ミュージアム」も。
「運転お願いね♡」
「オイコラ」
せめてバスかタクシーで行こうよ!
ただ、予報は残念ながら「雨」。多少の雨なら決行だけど、次の日起きたらいきなりニュースがとんでもないことを言っている。
「長崎は線状降水帯が発生する恐れがあります」
オイコラ。
一昨年も10月末に南九州回った時に季節外れの台風が来たぞハリケーンレディよ……。
それでも北里記念館では雨も降らず、ゆっくりと見学ができた。敷地内にある「貴賓館」からの眺めはなかなか素晴らしいものがあるのでお勧めしたい。
ところがメインのウォーキング場所(天ヶ瀬温泉駅)に着くや否や、雨が降り出す。しかもけっこうな土砂降り。流石に降雨の中でウォーキングもヘッタクレもないので中止。天ヶ瀬温泉は数年前に豪雨災害に遭っていてずいぶん寂れていたので、応援した簡単だけど……
ただ、本当の悲劇はここからである。
日田駅に戻ってきた時に、なんと鉄道の全線不通が発覚!
予約してた特急「ゆふいんの森」は運休!
それどころかいつ回復するか目途も立たない。
代行臨時バスは1回出たらしいが、次はいつになるやら。
おーのー……!
結局急遽借りていたレンタカーを「乗り捨て」に変更。
高速道路をひた走って帰ることになったのでした。
温泉は良かったけど、高くついたなあ……




