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死した竜の物語  作者: 獅子貫 達磨
第四章 帝国を目指して
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35話 一級戦闘迷宮の階層主

鑑定表記を一部修正(2021/4/16)

もう何十度目かの階段を下りる。

流石にここまで何度も降りてると飽きてくるな。

階段の下には仄かに灯が見えてくる。

えーと、この迷宮で明りを見るのはこれで5回目かな。

つまりは漸く折り返し地点の50階層に到着したって事だな。

この迷宮は10階層毎に休憩エリアと試練エリアに別れている。

そして今のところ全ての休憩エリアにだけ仄かに松明が灯っていた。


イザヨイ曰く試練階層へ挑む者への温情だろうとの事だったが。

まぁ、吸血鬼ヴァンパイアしかいないここの面々だと休憩エリアでも休む事は無いから試練階層に来たって言う目安でしかないけどな。

今までの試練階層と同様に休憩エリアと試練エリアの間には大きい金属性の扉が鎮座している。

イザヨイが片手で扉を押すと軋みながら開いていく。

ただ、さっさと中へ入っていった今までとは違って扉を押し開いたタイミングでこちらを振り返り口を開く。


「えっと、今まで通り私がさっさと倒してもいいのだけど、この迷宮は50の倍数の試練エリアだけ少し特殊なのよ。

 一度このエリアを攻略した者が居た場合は誰もいない只の通路になってしまうのよ。

 そしてそれに同行した者も同じ様になってしまう。

 つまり始めて戦う者達でしか戦闘が起こらない仕様になっているわ。

 時間優先なら私たちも一緒に入るけど、唯一の機会を逃したくないなら先に入って戦って貰っても構わないわよ。

 ……私達は別段急いでる訳では無いし。

 どうする?」


ふむ。

どうする?


『いや、俺様に聞くなよ…って言いたいが、ま、良いだろう。

 折角だし戦ってみろよ。

 大した時間ロスにゃならねぇさ。

 それにこのエリアの事は知っている。

 ここは一回しか攻略対象にならない代わりに報酬が選べる。

 手に入るものは手に入れておいた方が今後の戦力に寄与するだろ。』


じゃ、その方向で。


「それじゃ、一回俺とヴァゴスで戦うことにする。

 えっと、先に入って終わったら待ってたらいいのかな?」


「ええ、それで問題ないわ。

 じゃあ、私とアカツキはここで待ってるから。」


そう言って扉の左右で立ち止まった二人を尻目に扉の中へと入っていく。

ある程度進んだところでさっきと同じように軋んだ音を立てて扉が閉まった。

試練階層に入ると外との応援を断ち切られるのは戦闘型迷宮の特徴なのかね。


さて、どんな奴かな。

今のところそんな楽しそうな敵は居なかったけど。


『楽しそうと言うか出てきた奴は全て前を行く二人が即倒してたからな。

 俺様とお前がやる事が無かっただけだろ。』


まぁ、確かにな。


『ま、実際出てきた敵に面白味の有る奴はいないけどな。

 そもそも戦って面白いかどうかなんぞ、そもそも戦いが好きな奴しか抱かない感想だ。

 そんな思考をしてると戦闘狂になっちまうぞ。

 ……不死者は得てしてその傾向が強いがな。

 あの二人みたいに長命にもかかわらずほぼ戦闘に対する執念を感じない方が珍しい。』


そんな物かね。

どうせ戦うなら面白い方がいいと思うけどね。

当然、こっちが負けるギリギリのヒヤッとする戦いがしたい訳じゃ無いけど。


『そうなったら手遅れだな。

 立派な戦闘狂の出来上がりだ。

 ま、確かに格下の雑魚を一方的に殺し続けるのも飽きるわな。

 それで言うなら一級戦闘迷宮の試練50階層の階層主だ。

 今のお前にゃちょうどいいくらいかもな。

 さぁ、おいでなすったぞ。』


ヴァゴスがそう言うと同時にエリア全体の壁に松明が灯り、辺りを照らす。

丁度円形上の形だな。

大体の試練階層ってこんな円形の広場みたいな形してるよね。


辺りが照らされると同時に広場の中心に魔術陣が出現し発光を始める。

陣の中心からせり上がる様にして5体の骸骨が胸の前で手を合わせた状態で出現した。

真ん中の1体だけ明らかに他の骸骨とは違う雰囲気だな。


真ん中の奴はパッと見は人間の骸骨だがやや大きいな。

2.5メルト位か?

それに全身の骨の色が光を吸い込みそうな漆黒だ。

そして頭蓋骨には角が3本、方には重厚そうなマントを羽織っている。

背中には高級そうな長杖(ロング・スタッフ)…。


他の4体は1.7メルト程度で真ん中の黒い骸骨と比べるとやや小柄だな。

服は羽織っておらず、背中には剣を背負っている。

そして全員形は普通の人骨っぽいが一様に血でも被ったかの様に真っ赤な骨色だ。


取り敢えず陣から出現しきった時点で戦闘になりそうだから今の時点で鑑定っと。

まずは取り巻きの奴らから。



▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

名前:骸の紅剣士クリムゾン・ボーンフェンサー

種族:グロリア・アンデッド・ダイドスケルトン種

能力:

『見切り』

『破魔』

『闇への適正』

『光耐性』

『炎熱耐性』

加護:なし

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲



まぁ、特筆する程じゃないか。

外見から見て分かる通り剣を使う近接職っぽい。

特に遠距離に対する攻撃手段がある様子もなし。

強いて言うなら『破魔』があるのがやや面倒な位だな。

次に中央の一番厄介そうなやつ。



▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

名前:黒闇の骸術師ブラックボーン・カオスメイジ

種族:グロリア・アンデッド・ダイドスケルトン種

能力:

『魔導眼』

『畏怖の衣』

『魔力徴収』

『魔導の力』

『魔術への適応』

『高速術式展開』

『闇への適正』

『光耐性』

『威圧』

加護:なし

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲



ふむふむ。

見立て通り厄介そうだ。

ついでに高級そうな長杖(ロング・スタッフ)も見ておこう。



▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

名前:魔金の竜杖カオスメタル・ドラゴンスタッフ

材質:

呪樹もどき(カース・トレント)の枝』

紺碧竜(アズル・ドラゴン)の髭』

夜輝金(ステライウム)

永劫鉱(ノスフェラティウム)

効果:

『術式強化』

『術式保護』

『術式保持』

『術式遅延』

『不折不曲』

『破魔』

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲



うわぁ…。

杖の性能がかなり高そうだな。


『ああ、黒闇の骸術師ブラックボーン・カオスメイジ自体も能力が高そうだが、純粋な実力だけで行くと30階層の階層主とどっこいどっこいって感じだ。

 ただ、装備で二回りほど強化されてる。

 術式が想像以上に威力が出るだろうぜ。

 注意するんだな。』


そして、本体の能力も装備も完全に魔術特化か。

恐らく真ん中の術者の詠唱を周りの剣士が補うって感じだろう。

因みに剣は特筆すべき特徴が無かった。

名前もなければ能力も無い、只の量産品だな。


さて、術者が脆いなら先手必勝で先に叩き潰せば終わりだが、既に微弱な魔力結界が展開されてるっぽい。

多分、速攻魔領法で腕を伸ばしても弾かれるだけで終わるだろうな。

装備に『破魔』が有るって事は杖で触れただけで魔領法は解除されるだろうし。

それに能力の『魔導眼』は魔視系統の魔眼だろうから、見てから叩き落とすもできるだろう。


初見で敵に対応させずに圧倒出来れば楽だったけど……。

まぁ、となれば魔領法は身体能力のサポート程度にして物理的に押し切るのが得策だろう。


『ま、魔領法だけで同行できるほど甘い敵はこの先は少ないだろうぜ。

 なんてったって一級戦闘迷宮の階層主だからな。』


取り敢えずは面倒そうだしさっさと取り巻きの奴らを倒すか。

幸い取り巻きの奴らは魔領法を避けれなさそうだしな。


ざっくりと戦法を考えていると、地面へと足を付けた敵が各々背中へと手を伸ばし武器を手に取る。

と、同時に4体の骸の紅剣士クリムゾン・ボーンフェンサーはダッと俊敏にこちらへと走り寄り、奥の黒闇の骸術師ブラックボーン・カオスメイジは詠唱を開始した。


さて、手早く片付けるとしようか。

ヴァゴスは一旦はサポートを頼んだ。


『あいよ。』


いつもお読みいただきありがとうございます。

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