③
「大伴せんぱい。話があります」
速水から呼び出されたのは、二日後のことだった
大股で教室に乗り込んできて速水に連れ出された大伴は廊下にいた。
例の峯扇との会話に良く使う場所だ。
なんで自分はこんなに後輩に呼び出されるんだろうか。と大伴は他人事のように考える。
おかげで片山に嫉妬の目で見られたし。
まぁ普通なら喜びたいシチュエーションなんだろうが、
速水がすごい敵意満載な目で見るから、そんな浮ついた気分にはなれない。
「も、もう椿樹には近づかないでください」
やっぱりそれ。
「あのなぁ、お前誤解してるぞ」
「最近、椿樹は授業中にせんぱい用のテキストを作ったりしてます。しかも嬉しいそうに。ま、前の椿樹なら授業は絶対に聞いてたのに……」
嬉しそう?
速水の言葉に引っかかったが、目の前にいる女はキッと睨むので考えるヒマもない。
「椿樹は一度決めたことはやめません。だからせんぱいが椿樹に言ってください。もう勉強を教えなくてもいいって」
「…………」
こいつはどうあっても大伴と峯扇を切り離したいらしい。
まぁ峯扇には悪影響しか与えてないと思うが。
「心配なのは分かるけど、いくらなんでも干渉しすぎじゃねぇか?友達だからか?」
言った瞬間、速水はものすごい剣幕で大伴に詰め寄った
「違います!!私はッ!!」
親友なんです、とでも続ける気だったのだろう。
まぁそんぐらいは仲良いんだろうけど。簡単に親友って言うと関係が安く聞こえる気がするのだ、大伴は。
「どうしても椿樹と離れたくないなら、証明してください」
「は?」
「教科はなんでも構いませんから、次のテストで100点を取ってください。椿樹に教えてもらってるんならそれぐらい簡単でしょう」
「はぁ?」
なんだよそれは。なに考えてんだこの女!!
100点なんてとったことない!!大体大伴は80点取ればいいはずである。
なんでハードルが上がってるんだ。
「む、無理だろ!!俺の成績知ってんのか?」
「知りません。けど100点も取れないなら、椿樹に教えてもらってる意味はありませんから。じゃあ失礼します」
「ま、待てよ!!」
制止もむなしく、速水は立ち去ってしまった。
100点?
冗談だろう・・・




