②
放課後
「これ、スペルが間違っています。後ここも。その他は……うん、正解ですね」
大伴と峯扇は図書室にいた。
放課後になってしばらくすると教室は閉まってしまうので、最近はずっと図書室というわけだ。
「あのさぁ……」
大伴は図書室に備えられている長机に突っ伏しながら、峯扇を呼んだ。
「?なにか分からないところありますか?」
「いや、お前って男に人気あるよなって」
「え?」
キョトンとした表情。
まさか、この後輩は気づいてなかったのだろうか?
大伴は今日になって、いや、前々からなんとなくは気付いていたが。
峯扇は結構モテるのだ。
頭が良くて外見も良いし、おまけに運動オンチってギャップが堪らん!!って片山も言ってた。
校内でもこいつを見てる男子が多いことはちょっと一緒に行動すればわかった。
そのおかげで大伴は変な誤解を受けつつあるが……
「お、男の人にですか?で、でも私、普段男の人とあんまり喋ったことないですよ?」
それは峯扇と喋りたいが、勇気が無くて喋れない草食動物な男と、知能レベルが雲泥な肉食動物な男しかいないだろう。
後はフラれるのが怖いから。
近くで見れたらそれでいいとか、そんな感じ。
「まぁお前のことが好きなやつらがいっぱいいるってことだ」
「べ、別に不特定多数の人に好意を持ってもらう必要はありません。私には友達がいれば今はそれでいいんです」
「速水とか?」
「はい。悠がいれば男の人は必要ないです」
それはそれは、色気がないことで。と大伴は適当に言う。
まぁ速水は良いやつっぽいし、あれの代わりになれる野郎はいない。
「でも最近、悠が心配してて……」
峯扇は、はぁ、とため息を吐いた
「え?なんで?」
「せんぱいに勉強教えるのをやめろって言われました。私の迷惑になるからって」
ちょっと言いにくそうに峯扇が言う。
迷惑。
速水はなかなかはっきりと言う女らしい。
しかも速水の言い草だとまるで大伴が峯扇に無理矢理に勉強を教えさせてるみたいじゃないか
勝負のこともそうだが、なんか、
なんか俺って速水の中で悪者になってね?と考えてしまう。
「悠はいつも私のことを心配してくれるんです。ちょっと困ることもありますけど、いい子なんです」
「そんな友達自慢はいらねぇ。お前……やめんの?」
正直、今の状況はこいつの負担にしかなっていない。
やめるって言われても文句は言えないのだ。…
「やめませんよ。途中でやめるのは無責任ですから。悠には悪いけど、ちゃんとせんぱいを卒業させます」
「そ、そうか。なら良いんだ」
「心配しました?意外とカワイイところがありますね。安心してください」
峯扇は悪戯っぽく笑って大伴の頭を撫でた
手が暖かくて柔らかくて、
昔、親にされたような、安心する感触。
「や、やめろ!!カ、カワイイとか言うな!!年上だぞ俺は…」




