第10話 ヤマーダ電機♪
もうすっかり暗くなった冬の夜道を4人は歩いていた
志亜我
「なんだったんだろうね結局あの象...急に死んじゃったし」
霧ン
「もしかすると動物園から逃げ出した神父さんが王子様のキスで象に変身したのかもね」
純
「もう少し考えてから喋ってもらえますか?」
狂ノ進は残念そうに漏らした
「人生初の象さんだったのに僕の覇王色で殺してしまったぁ」
純
「まだ目覚めてないだろ」
霧ンが不思議そうに聞く
「動物園には行ったことないんですか?」
狂ノ進
「入り口までは行ったことあるですけれど猛獣の気配を感じて引き返したんですよ」
純
「正しいけれど間違ってるよ」
あーだこーだ喋りながら歩いている間に住宅街に入り込んだ一行
先導していた霧ンが一際大きな建物の前で立ち止まった
「ここが私の家です。3人とも送ってくれてありがとう」
狂ノ進が興奮し言う
「でけー!!!何カップですか?」
純
「土地は普通坪で数えるんだよ狂ノ進クン」
霧ン
「もしよかったらお茶でも飲んで排尿して行きませんか?」
志亜我は霧ンの腕に絡んだ
「最初から最期まで面倒みてくれるんだ!
二人もご相伴にあずからない?」
純は心配そうな面持ちで尋ねた
「でもご家族の迷惑になりませんか?」
霧ン
「今日うちママもガガもいないの」
狂ノ進
「ガガってレディの?」
霧ン
「うんレディの」
そうして3人は自動ドアをくぐり家へと入った
玄関は全面がガラス張りで外の駐車場が見えるようになっていた
狂ノ進と純は生活レベル高さにのお上りさん状態で頻りに辺りを見回す
霧ン
「二人ともエスカレーターはこっちだよ」
狂ノ進
「家にエスカレーターあるんですか!?」
霧ン
「お父さんの唯一の趣味なんだ。もうエスカレーター以外では喜怒哀楽しないんだって」
狂ノ進
「なかなか通なお父さんですね
それにしてもこの家なんか家電くさくないですか?」
窘めるように純が言う
「狂さん、失礼だよ!」
エスカレーターの三方の壁は鏡張りだった
狂ノ進
「成る程、こうするとエスカレーターにただ乗るだけでなく乗っている自分の姿も鑑賞できるわけですね」
純
「余念がないね」
徐々に上昇してくると二階の様子が見えてきた
そこでは au、SoftBank、docomoから派遣された社員達がしのぎを削っていた
「えっもしかして、ここってヤマダ電機ですか?」
「うん。実は私はヤマダ電機を模した家に住んでるんだ」
「へぇ~。テレビ見放題で良いですね!」
「10画面で見る『ヒルナンデスガ』は普通の10倍は面白いよ」
「画面の枚数と面白さって比例するんですね」
「まぁゼロに何を掛けてもゼロなんだけどね」
ヤマダ電機の一角にはモデルルームのようなブースが設置されていた
生活感から見るに霧ンは普段この場所で過ごしているらしい
「今お茶を淹れてきますね」
そう言うと霧ンはセグウェイに乗ってティファールのコーナーまで走り出した
数分経って霧ンはお盆を手にして戻ってきた
「はいどうぞ全てのお茶の源流、祖茶ですが」
「「「いただきます!」」」
霧ン
「どうですか?」
狂ノ進
「う~ん。草で出汁とった水みたいな味がします」
霧ン
「良かった!その通りだもん!」
狂ノ進
「それにしても、こんな大きいヤマダ電機を作るなんて霧ンさんのご両親は凄いお金持ちなんですね」
志亜我
「あのね~霧ンちゃんのパパとママは世界で二つの乳首に入る程のお金持ちなんだよ」
純
「普通は五本の指ですけどね」
霧ンは少し寂しそうに言う
「そんなに良いものじゃないよ」
狂ノ進
「というと?」
霧ン
「お父さんもお母さんも仕事が忙しくて中々帰ってこれないんだよね。帰ってこれるのは、クリリンと高畑勲の誕生日くらい」
狂ノ進は同情心を露にした
「年に1回しか会えないんですか...」
純
「えっ?年に2回じゃないの?」
狂ノ進は眉間に皺を寄せて純を睨んだ
「クリリンと高畑勲の誕生日は同じ日だから」
純
「あっ...そっか。ごめん」




