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戦後処理

パンッ


フレアの頬を平手打ちをする。


「なによ」


キッと俺を睨むフレア。


「気が済んだか?」


「そうよ! 父様の仇を打ち取って何が悪いのよ」


「銃を手に入れて強くなったと錯覚したか? まだ未熟だと言われなければ分からないか?」


「魔王様、その辺に」


ガンッ


後ろでバホメットが止めようとするが裏拳で黙らせる。


「これが戦争だと理解した上での行動か?」


「私が決めたのよ!」


パンッ


もう一度平手打ちをする。


「お前は何も理解していないな」


「好きにしろと言ったのはアナタよ!」


「あの時はその選択肢があっただけだ。だが、お前は残り王としての道を歩み始めた」


「私の何が悪いのよ」


「お前は王としては失格だ。前線に出てくるのは親に似たのか?」


「うっ。貴女だって前線に」


「既に人間側の士気を崩壊させた後だ。それに勇者を引っ張りだした時点で向こうが攻撃する事は少なかっただろう」


人間とういうのは一騎打ちに手を出そうとしない・・・それはよく分からないが、美徳の一つなのだろう。


「うぅ」


「「「「「「!!?」」」」」」


勇者の死体が動き出してフレア、バホメット、ガルゥ、ドラゴ、ミーノン、ドラードが驚く。


「傷が」


自身の傷が癒えている事にフブキは気づく。


「なんで、死んでいないのよ」


「魔族!?」


フレアの声にフブキが気づき構える。


「アレには聞きたい事があるからな」


「お前、アキラをどうした?」


俺を睨みつけてくるフブキ。


「何度も言うがこの世界に居ないだけだ」


「だから」


スッ


「お前は勘違いしている。俺はこの世界の魔王ではない・・つまり別の世界から来た。そんな魔王が言うのだから当然」


「別の世界にアキラが・・・」


俺の言葉にやっと本質を理解してくれた。


「アハハハッ! アキラが生きている」


喜びの感情が周囲に伝わってくる。


上位悪魔のバホメットは嫌な顔をしている。


「俺の負けだ。異界の魔王が出て来た時点でどうかしている」


「随分、あきらめが早いんだな。勇者」


「俺は妹の為に勇者をやっていたにすぎん。魔王を倒せば何か情報が得られると信じていたが・・・女神のやつめ」


どうやら騙されていた様だ。


「つじつま合わせに俺を呼んだ理由はソレか」


「・・・たしかに」


女神は魔王を倒せば妹の情報を得られると言ったのであろう。


そして勇者は先代魔王を倒して俺が引っ張り出されてきた。


なぜ、俺を?と思ったがその約束が果たされるために使われたようだ。


さらに女神の願いは人間と魔族の均衡を保つ為に魔王と言う存在が必要だった。


上手くできているな。


「全ては女神の手のひらだった訳だ」


「クソッ、俺の5年間は何だったんだ」


ガンッ


フブキは床を殴りつける。


どうやら、5年も魔王を討伐する為に時間を費やした様だ。


「ちょっと、待って! お前は妹の情報を得るために父様を殺したの?」


「人間を救うのが目的だった」


「それは大義名分であって、お前の目的は」


「妹の情報を手に入れる為だ」


「このっ!?」


フレアが怒りで顔を真っ赤にさせてフブキを殺す勢いで近づいていった。


「よせ」


「放しなさいよ! そんな下らない理由で父様は殺されたなんて」


俺の拘束を振りほどきフブキに拳を振るう。


ゴッ


「痛っ!?」


だが、フブキの防御力が上で拳に衝撃が跳ね返ったようだ。


「こんな、男が、父様を! 下らない理由で!!」


足で踏みつけてもフブキには何らダメージを与えられない。


「お前がいくらやっても無駄だ」


怒れるフレアを引きはがす。


「魔王様、この者の処遇は如何致しますか?」


「本来なら魔族の害悪になるのだから殺すのが一番良いんだろう」


「そうよ! なんで殺さないのよ!!」


「コイツも女神に踊らされた一人に過ぎないって事だ」


「それでも同胞を何百と殺したのよ」


「それはコチラも同じことだ」


俺や四天王達は何千と言う人間を殺してきた。


「どちらが正義か悪かなんて、互いに存在するだけだ。平行線にしかならない」


「流石、1500年の時を生きた魔王様ですね」


「「1500!?」」


ドラードとフブキが驚愕する。


「フブキ、お前の真なる目的は妹の情報を得るために勇者をやっていた。それは間違いないんだな?」


「あぁ、そうだ」


「その結果、人間達の安寧を守る事に繋がると女神が良いように操った。お前は女神の事をどう思っている?」


「さっきのでハッキリ分かった。女神はクソだ」


勇者がここまで女神を罵倒するのは中々いない。


「フレア、コイツはお前の仇で間違いない。が、その怒りは何処に向けるべきかは理解できたんじゃないか?」


「えぇ。でも、それでも納得は出来ないわ! コイツは私の父様を殺した!!」


「お前は如何する? 目の前にお前を殺したいという魔族が一人いる。殺されてやるか?」


「・・・俺の人生はあの時終わった。アンタの聞きたいことは聞けたんだろ? なら勇者を生かす必要はあるのか?」


フブキは諦めたように言い始める。


「俺の考えを伝えた方がいいな・・・フブキ、お前には生きる目的を新たに増やす」


「新たな目的」


「これだ」


シュォオオオッ


俺の背後に巨大な砂時計が姿を現す。


その正面には時計の様な文字盤が浮かび上がっていた。


「それは?」


「俺がこの世界に居られる時間だ」


「「「「「「!!?」」」」」」


「制限時間があるの!?」


「魔王召喚された時、顕現できる時間は5年と理解していた」


「無制限では無かったのですね」


「あと2年もすれば俺は強制的に元の世界へ帰る事となる。フレア、この意味が分かるか」


「貴女が元の世界に帰る・・・って事は」


「魔王が不在になる」


「あぁ。だからバホメットに教育を依頼した」


「そんな、事・・・知らないわよ」


「今、話したからな」


「それと、俺を殺さない理由になるのか?」


「時間制限以外にも別の条件がある。それが勇者を殺す事だ。つまり、この場で殺してしまうと俺はその時を持って強制的に戻される。これが魔王召喚の真実だ」


「元の世界に帰りたければ俺の殺せばいいだろ? 帰りたく無いのか?」


「1500年も生きているとな、刺激が無くなるんだ。たったの5年と言え楽しまなくてどうする?」


「それが、お前の原動力なのか?」


「狂っているわ。私達の世界を貴女の気分で巻き込むなんて」


「その代わり、魔族の安全を与えているだろう。俺がいなければ魔族は殆ど人間達に殺されていたんじゃないか?」


「そ、それは」


「今ここで勇者を殺し、俺を元の世界へ戻すという道もある。また数千という魔族を犠牲にして別の魔王を呼ぶと良い」


「魔族を犠牲って?」


「知らなかったのか・・・魔王を無償で他の世界から呼べるわけないだろう。魔族の魂を消費して異世界に通じる穴を開けて呼ぶんだ」


「バホメット、知っていたの?」


「姫様を不安にさせない為には致し方ない犠牲だったと」


パンッ


「そんな事、知っていたらやらなかったわよ」


「数千の犠牲で魔族が助かるならばと思い進言したのです」


「そんなんじゃ、父様が浮かばれないわ・・・せっかく守ったのに」


「話の続きだ。あと2年したら俺は元の世界に帰る。その時、一人くらい巻き込んで行ける」


「・・・それって」


「お前の生きる理由には十分じゃないか?」


「妹に会えるのか?」


「お前が望むならな」


グッ


フブキの思考が揺らぐのが手に取る様に分かる。


「世界の半分という野暮な事は言わない。妹に会いたいのであれば俺の手を取れ」


スッ


右手を差し出す。


「代価は何だ?」


「残りの2年、人間達を止めてくれ」


「何故?」


「魔族はここ数年で数を激減してしまった。種としての滅ぶ者達も少なくはない。ならば安全な暮らしが出来る環境を作ればいいと考えた。その為に軍事力強化する。人間が手出しできないまでの力を魔族に残す。フレア、それはお前に引き継ぐ」


「な、んで。私なの」


「先代魔王の血筋であるお前でなければ出来ない事だろう。残りの2年間、王としての知識を蓄え魔族達を導け。お前が決めた道だ」


「かき乱しておいて全部投げるなんて」


「それが魔王という者だろう」


口端を上げて笑う。


「これが俺の考えている計画だ。お前達は如何したい?」


・・・


結果、2年後に向けて俺はこの世界に残って魔族が安全に暮らしていけるような環境作りを本格的に開始する。


フレアはバホメットに帝王学を学び、勇者フブキは人間領へと帰還し人間達を止める動きを開始する。


全ては俺の暇つぶしの為に・・・

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