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反撃②

「軍団長、聞いていた事と違うじゃないか」


「私もそう思っていた所だ」


再編成して逃げていった魔族を追いかけた先が崩れ去った筈の王都だった。


「王都は既に魔王軍に占領されていた・・・冬の国の王が虚偽を報告していた」


「ありえません、私は確かに王都崩壊をこの目で見ているんです」


帝国軍に入った元冬の国の兵士が信じられないという目で故郷の王都を見ていた。


「では、なんなんだ! 王都は健在ではないか!!」


「分かりません。私が見た光景が幻覚だったのかも」


「そんな事よりも、アレを落とすのは一苦労だぞ」


40mになる城壁、その上に居る魔族達に加えドラゴンや飛行魔族が王都上空を覆っている。


籠城されている中で上からの攻撃は優勢になる。


「ドラゴン達が来ました!」


「話に聞く岩落としか!」


アーガルム砦の時に見せた岩落としが来ると思っていた。


「樽?」


誰かが落ちてくる物を言い当てる。


「まさか!?」


樽に繋がる導火線が火花を散らしている。


ドォンッ


ビシビシビシビシッ


小爆発が兵士たちの頭上で炸裂し中に入っていた金属片が周囲にばら撒かれた。


ギャァアアッ!


ギィヒィイイ!


金属片が兵士達の鎧に突き刺さり、肌の露出している部分を切り裂いていった。


次々に倒れ血飛沫を上げる。


「第二陣来ます!」


「弓を構え!」


近づいてきた所を弓で射ち落とそうと構える。


ドラゴニュート達が遥か上空からボウガンを構える。


ビシッ


ボルトが雨のように降り注ぎ前線の兵士へと突き刺さる。


ドォオオオオン


「城壁上で爆発!」


白い煙で城壁上が覆い隠された。


ヒュォオオッ


空気を切り裂きながら鉄球が吹っ飛んでくる。


ドゴォオッ


兵士の数名を巻き込みながら地面を抉って止まる鉄球が何十と言う数が飛んでくる。


「軍団長! ご指示を」


あっという間に前線が崩壊してしまった様子を見た軍団長は呆気に取られてしまった。


「後退するんだ。相手は未知の兵器を所持しているぞ!」


勇者の声に反応して前線を張る兵士たちが後ろへと下がる。


今ので何千という兵士が命を落とした。


バサッ


「誰か降りて来たぞ」


コウモリの羽を生やした女の魔族が降りてきた。


「魔王!」


シャッ


勇者は聖剣を抜いて飛翔の魔法で兵士の頭上を飛び超えて一直線に向かった。


「貴様を屠れば、人間に平和が!」


ギィンッ


「お前が光の勇者か?」


・・・


鋼竜牙で聖剣を受け止める。


怒りに満ちた表情をして襲い掛かってきた勇者。


この顔何処かで?


見覚えのある面影が脳裏をよぎる。


「俺が殺した魔王の娘か?」


「先代魔王の娘は他にいる」


ギィンッ


互いに距離を取り見合う。


「では、お前は何なんだ!」


「異界の魔王だ」


「異界の魔王だと!?」


「勇者召喚があるのだから魔王召喚があって然るべきでは無いか?」


「そんな話は聞いたこともないぞ」


「事実、俺は別の世界から来た魔王だ。日本人よ」


黒髪、黒目の特徴を持つ勇者が日本人と相場が決まっている。


「おまえ、日本を知っているのか!?」


「こっちの世界にも日本人が迷い込んできては手を焼かされたからな」


「その日本人はどうなった?」


「敵対した者に慈悲を与えると思うか?」


「貴様!」


魔力を聖剣に流し込み振るわれる。


ギィンッ


「なぜ、弾ける!」


「単純な物理勝負だろ」


「聖剣が魔剣に勝る訳」


「クハハッ! これが魔剣に見えるのか? 節穴だな」


「何を」


「コレは鋼竜の牙を鍛えたに過ぎない剣だ。魔剣ではないぞ」


「なっ!?」


「来い、天竜牙」


ヒィイインッ


異空間から白く輝く天竜牙が出現する。


「魔王が聖剣だと!?」


「光輝いているから聖剣だと誰が決めたのやら。勇者、上手く防がないと死ぬぞ」


ヒュオッ


「速っ!?」


ガガガガガッ


左右の剣を高速で振るい、勇者は必死に防御に徹する。


ザザッ


「ハァハァハァッ」


「その程度か勇者」


「あの時の魔王より強い」


「お前、名前は何だ?」


「何を突然・・・」


「これから殺す勇者の名前は憶えておこうと思ってな」


「俺の名前はフブキ・サトウだ! お前を倒し世界に平和に導く勇者だ」


「フブキ・サトウか、その名前を覚えておこう」


「何を勝ち誇っている!」


「異界の勇者がいかなる力を有していると思っていたが、対してな?」


「俺を馬鹿にするな! 聖剣よ、その力を示せ」


ブゥウンッ


一層、輝きが増す聖剣。


武技アーツ:白き一閃」


グワッ


聖剣が振るわれた軌跡をなぞる様に斬撃が発生する。


ガッ


ガリガリガリガリッ


鋼竜牙と天竜牙でガードするも後ろへと押し出される威力を持っていた。


ドォオンッ


城壁まで押し込まれた。


モワァアッ


激突の衝撃で城壁に一文字に傷がついた。


「ハァハァハァ、油断大敵だ」


ムクリッ


パンパンッ


起き上がり、ドレスに着いた土埃を払う。


「そんな、渾身の一撃を」


「それがお前の限界だ!」


スッ


天竜牙を掲げる。


「ゴメン・・・アキラ。兄ちゃん此処までの様だ」


ズガンッ


最後の言葉を聞いて天竜牙の軌道を地面に変えた。


「何故?」


殺さなかった俺の行動にフブキは問う。


「アキラの兄なのか?」


「お前、アキラを知っているのか!?」


「サトウ・・・あぁ。そうか兄妹なのかアイツと」


ファミリーネームや面影が似ていると思っていたが納得がいった。


「アキラは何処に居る!? お前がアキラを捕らえたのか!!?」


「此処には居ない・・・いや、会えないだろう」


「なっ!? 殺したのか? アキラを!!」


「この世界には居ないだけだ」


「お前が殺したんだろ! アキラは純粋で良い子だったんだぞ」


今のアキラからは想像もつかんな。


「何処に居るんだぁああ!」


最後の力を振り絞って聖剣を大振りに振りかぶる。


パァンッ


城壁から乾いた音が響く。


ドシュッ


勇者の聖鎧を貫いて血を吐き出した。


チラッ


「ハァハァハァッ」


コチラに銃口を向けて荒い息をしているフレアの姿が映った。


「バホメット!」


「姫様、ライフル銃をお渡しください」


バホメットがフレアの横に現れてライフル銃を奪い取る。


ドサッ


「ガハッ、ゴホッ」


「人間の軍よ、聞け! たった今勇者は死んだ! これ以上の戦死者を出したくなければこの地より去れ!」


ドドォンッ


ドォンッ


城壁上で祝砲が撃ち鳴らされる。


それを聞いて人間の軍は引き返していく。


ズブブッ


息も絶え絶えな勇者と共に影の世界へと沈み込み城へと戻る。

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