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魔王召喚

「ムッ?」


アキラから日々の業務報告を受けている所で足元に魔法陣が浮かび上がった。


「アリア様!?」


「この感覚は久しいな」


500年前に俺が召喚獣として呼び出された魔法陣に似ていた。


「アキラ、シズカ、後は頼むぞ」


ズブブブブッ


魔法陣に吸い込まれる様に体が沈み込む。


【異界からの召喚に応じました】


ん?


久しぶりに聞いた導きの声から爆弾発言が飛び出してきた。


グンッ


この世界を作り出している生命の渦から遠ざかっている感覚がしていく。


フッ


光が満ち溢れる召喚穴が暗闇へと転じる。


【世界から遠ざかり、導きの声は消滅致します】


ピキィンッ


俺の心から導きの声が欠けて隙間が出来上がった。


これまで幾度となく助けてもらった導きの声が消滅するだと?


ブワッ


別の世界へと近づき光が満ち溢れだす。


【異世界召喚特典を付与します。新たな魔王よ】


女性のやさしい声が降り注いできた。


【この世界のバランスが今にも崩れそうになっています。貴女の力で魔族達を救ってください】


この声は神か?


で、あれば何故神が魔族を庇う?


【神は世界を見守る者であり、種族は関係ありません】


俺の考えに応える。


「俺に何を期待する」


【魔族の繁栄を再び。勇者を打ち倒すのです】


神が勇者を殺せっていうのかよ・・・狂ってやがる。


【貴女の常識では推し量れないのが神なのです。さぁ、コレを】


心の隙間に新たなギフトが入り込む。


【絶対支配者というギフトを送りました。貴女より弱い者は従います。では、お行きなさい】


グンッ


引っ張られる様に俺の体は魔法陣へと吸い込まれていく。


「神よ、いつか痛い目に合うぞ」


そう言い残して俺は外の世界へと出て行く。


ズンッ


魔法陣から出現するのと同時に体を押し潰すような重圧を感じる。


グチャッ


光の届かない中で濃い血の匂いが充満している。


ブシャァアッ


俺のスキル、自動吸血が反応し周囲から血が集まりだした。


世界異動時に元々持っていた血の殆どが消え去っていた。


「喉が乾いた」


ハァハァハァ


血を失いヴァンパイアとしての吸血衝動が抑えられない。


ドクンドクンッ


吸収した血が体を巡り始める。


「もっと、もっと血を」


周囲の血を吸いつくしても喉の渇きが収まる事は無かった。


ズボッ


グイッ


周囲が死体の山というのは気づき押しのけて上へと這い上がる。


ここは


ドサッ


新たな死体が上から降ってきた。


ジュォオオッ


すぐさまに自動吸血で血を奪う。


死体が急速に干からびていく。


「あぁ、不味い・・・」


ドサッ


次々に死体が降ってきては吸血を繰り返す。


「喉が渇く」


幾ら血液を取り込んでも喉の渇きは消えない。


血をもっと、美味しい血を


心の底から欲望があふれ出てくる。


大量の死体が降り続けて穴が満杯になり俺は外へと出る事が出来た。


「だ、誰だ!?」


「まさか!? 魔王様か」


「つ、遂に」


リザードマンの様な魔族が新たな死体を運び込んで来た。


「血を、血を寄越せ」


飢餓の様に血を求める俺の心は1つの事しか頭になかった。


目の前の奴らが血袋の様に思い欲望のまま体を動かす。


「あがっ、魔王様」


「我らは仲間」


ドサッ


全ての血を吸いつくしても満足感は得られない。


ギィイッ


半開きの鉄格子を押しのけて新たな得物を探しに足が動く。


生命を動かす血の僅かな香りを嗅ぎ分けて。


「あっちか」


血の香りが強い方向へと歩き、徐々に声が大きくなってくる。


「新たな魔王が生まれるのよ! 粗相のないように出迎えなければならないわ」


「姫様、そんなに急かさなくても生まれるのに1ヶ月は先かと」


「そんなのアテにならないわよ。魔王召喚なんて千年振りなんでしょ」


「あぁ、先代魔王様が勇者に討ち取られてしまったばかりに」


「仕方ないでしょ。直系が私しかいないんだから・・・力不足なのは認めるけど」


「できれば男の魔王様である事を願います」


「爺はいつもそれね」


「先代魔王様の血を引き継がれるフレア様と結ばれれば魔族は安泰ですから」


「父上も爺も煩いわ。私より強い魔王だったら考えても良いわよ」


「この魔族領も僅かしか残らず人間達に占領を許してしまっています」


「いいから準備をするわよ」


ゴゴゴゴゴッ


石造りの扉を押し開き光が溢れる。


今までの殺風景な石の廊下ではなく文明溢れる調度品のある部屋へと出て来た。


そこには深紅で長い髪で黒いドレスを身に纏っている少女と体躯2mは余裕で超えている山羊頭の悪魔がコチラを見ていた。


「貴女・・・誰? なんでソコから出て来たの?」


「姫様!? こやつ、魔力量が」


悪魔が少女を庇うように立つ。


「・・・を」


「え?」


「血を寄越せ!」


ガッ


「姫様に指一本触れさせんぞ!」


ガブッ


悪魔は左腕でガードするがソコを遠慮なく牙を立てる。


ジュルルッ


「私の血を・・・ヴァンパイアの者か!?」


左腕に牙を立てて血を吸う。


「おのれ!」


ガッ


頭を右手で抑え込まれて引きはがそうとするが俺の掴む力に抗えない。


「くそっ!」


ブシュッ


悪魔は大胆な事に左腕を根本から自ら断ち切った。


ジュゾゾゾッ


左腕の残った血液を吸い込む。


「不味い」


「上位悪魔である私の血が不味いですか・・・姫様、ここは私が押さえます。他の者達を」


「う、うん」


「絶対施錠」


ギィイイッ


バタンッ


ゴゴゴゴッ


俺の入ってきた扉と奥に見えた扉が閉まっていった。


「絶対防音」


更に音が外に漏れないように部屋中を魔力で包み込む。


「このバホメット、少し本気を出させて頂きます」


ゴバッ


失った腕を生やして魔力を高めていく。


「じゃま」


作り出したブラッドハンドで横なぐ。


ガッ


「んなっ!?」


ドォンッ


バホメットの防御を突破して壁に激突させる。


「姫さま、お逃げください」


「爺!? よくも爺を!!」


チャッ


扉が開かず出ていけなかった少女が睨んで腰から杖を取り出す。


「出迎えの準備なんか気にしていられないわ。ファイアーボール」


ドォンッ


火の玉が着弾し熱風が部屋へと流れる。


「ファイアーボール、ファイアーボール、ファイアーボール!」


ドォンッ


ドドォンッ


何度も着弾して熱風が部屋中に吹き溢れる。


「無駄だ」


「なんで・・・」


「姫様、私の事は気にせず」


「分かったわ・・・フレイムストーム!」


熱の嵐が俺に迫り狂う。


「ブラッドストーム」


大量に集めた血液で迫り狂う熱の嵐を迎え撃つ。


ブシャァアッ


熱で血液が沸騰するが全てを飲み込む。


ブシュウウウッ


部屋中に血の匂いが満ちる。


ペタッ


「私の最高魔術が」


少女は床に座り込んでしまう。


「血だ、純潔の血だ」


少女の両肩を掴み立たせる。


「父上」


ズブッ


牙を二の腕に食い込ませる。


ズゾゾゾッ


ゴクンッ


やはり穢れなき血は他を凌駕する。


「あぁああ」


「姫様! おのれ!?」


バキャッ


壁にめり込んでいたバホメットが出て来た。


「姫様に何をするか!」


バリバリバリバリ


衣服が千切れて肉体が巨大化する。


「私の本気を見せて」


ピタッ


「俺の邪魔をするな」


ゾッ


(なんだ、この上位悪魔である私が蹴落とされている・・・この感覚は先代魔王様と同じ)


ガッ


ドゴォンッ


山羊悪魔を再びブラッドハンドで吹き飛ばし壁にめり込ませる。


フラッ


「おっと」


血を失い貧血になる少女、ここで失うには惜しいと思い吸血を止める。


「はぁはぁはぁ」


頬を紅潮させて息も荒く気を失う。


「おい、バホメットとやら」


「は、はい!(なんだ、抗えぬ力で私を?)」


「この娘の部屋に案内せよ」


「畏まりました(私がヴァンパイア如きに従うだと・・・コノ威圧感はなんだ?)」


「解除」


絶対施錠と防音の2つを解除して扉を開く。


「コチラです」


グイッ


少女を抱き上げて、バホメットの後に続く。


「おぉ、バホメット。姫さまと新魔王の出迎えの準備じゃなかったのか?」


「姫様は具合が悪くなりました。そこを退きなさい」


廊下をあるっているとサイクロプスの魔族が話しかけてきた。


ガチャッ


「こちらです」


「ふむ」


トサッ


意識が朦朧としている少女をベッドに横たえる。


「バホメット、俺に色々と説明をしてもらうぞ。ここが何処かも含めてな」


「はっ!(まさか、こんな小娘のような者が召喚した魔王様なのか?)」


バホメットは別の廊下へと歩いていく。

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