別れ
月日が経ちアンロッド達は15歳へと成長を遂げる。
3年の時に行われた召喚獣魔闘大会ではアンロッドは出場を辞退しブルングが優勝を飾った事により2年連続で優勝者を出したダイダロス召喚魔法学院の知名度が上がり遠方から入学希望者が集う程となった。
「俺、進学して竜騎士隊に入るんだ」
今年の優勝で手に入れた高等部への進学と奨学金でブルングにも運気が回ってきた。
騎士爵の家から竜騎士の誕生とは快挙といえるだろう。
「着いていきます兄貴」
「そうですぜ」
デルとグルはブルングの傍遣いとして着いていくそうだ。
「ブルング様」
「よせやい。俺の事はブルングでいいって」
「これから社交界に出る時に備えて慣れて頂きませんと」
ブルングとナナリーは両親公認の婚約者同士であり同じ道へ進もうとしている。
2人の仲もこの1年間で良好だ。
「お前はどうするんだアンロッド?」
「私は・・・次が怖い」
アンロッドを悩ませているのは次の召喚タイミングだ。
俺との契約期間は中等部の3年間、このまま契約を続けるとなれば一生となる。
アンロッドが死ぬまで自国を放置する訳にはいかないため永続契約はしないと告げている。
アンロッドの召喚者としての腕はこの1年間で随分伸びているが、新しいパートナーが何なのか分からない以上不安なんだろう。
「アンロッド、お前の召喚術の腕は確かだ」
「それはアリアがいたお陰で私の力は微々たるものだよ」
「何を言うか」
アンロッドはこの1年間で才能を伸ばしてきたことを近くで見てきた俺は知っている。
毎朝、毎晩魔力を上げる訓練を欠かさずやっていた。
「その実力なら見合った奴が来てくれるだろう」
「魔王と同等なんて早々いないよ」
「別に俺レベルでなくていいと考えろ」
「無理だよ」
「お前はいつからそんなに弱くなった?」
「え?」
「俺の知っているアンロッドはそうじゃないだろ? 魔王を変態扱いするお前は何処に行った?」
「それでも」
「次来る奴を信じなくてどうする? 自信を持て! 魔王を従えたアンロッド」
「なんでそんな悲しいことを言うの?」
「俺と言う役目は既に終えている。後はお前自身の問題だ」
「アリア、言い過ぎだろ」
「ブルング様。静かにして下さい。これはアンロッド様とアリア様の問題ですよ」
「3年間も一緒にいて。別れるなんて悲しい事」
「時間だ」
「え?」
バサバサバサバサッ
学院上空にヴァンパイア一族の者達が姿を現した。
ストッ
「アリア様、お別れは済みましたか?」
「この3年間、ずっと待っていたわ」
アキラとシズカの2人が俺達の目の前に降りてくる。
他の連中は飛んでいるか屋上に着地している。
「もう少し待っててくれ」
「「はい」」
「俺は魔王だ。沢山の配下を持つ王が長期にわたって国を放置していたらどう思う?」
「そんなの王じゃない」
「そうだ、王じゃなくなる。それでもアイツ等は俺に着いて来ようとする。住処を手放してでも・・・さて、コイツ等がこの町に住み始めたら住民達はどうなると思う?」
「住民たちが混乱する」
「あぁ、そうだ。だから俺は去る事にする」
バサッ
翼を広げて空へと飛ぶ。
【アンロッド様との契約破棄致しますか?】
俺とアンロッドの頭に導きの声が聞こえる。
「あぁ、やってくれ。アンロッド! お前は自信を持っても良いぞ」
シュォオッ
契約紋が空気に溶けて消えていく。
魔力パスの繋がりが切れて互いの思考が分からなくなる。
「また、何時か機会があれば会おう」
「うん。3年間有難う」
大粒の涙を流してアンロッドは大きく手を振る。
ブルング達も涙を流して同じく手を振る。
「あれ? アリア様?」
「泣いてるの?」
並行して飛行していた2人に問われる。
「これは汗だ」
「ベッタベタな嘘ですよね?」
「あのアリア様でも泣く事あるんですね」
「極悪非道のアリア様にも涙なんてあるのね」
「うるせぇ! 今日は寝かせないぞ!!」
「「喜んで!」」
こうして3年間という短い間だった召喚獣として経験をした俺は新たな法案を立てる事にした。
魔大陸で起こる神隠しの正体を明確にして召喚獣として聖大陸へ呼び出されるという現象を広めていく。
その後、アンロッドは召喚王という偉業を果たすがそれはまた別の話である。




