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召喚獣魔闘大会④

「始め」


召喚獣魔闘大会の本予選が始まりを告げた。


基本的には同じ学校の者同士で当たらないように調整がされている。


「アリア様、胸を貸して貰います!」


俺の相手は同じ魔大陸出身の耳長族。


「全力を受け止めよう」


俺の事は魔大陸では有名で、排他的種族である彼女は俺の事を知っている。


「ウィンドカッター」


見えない斬撃が複数飛んでくる。


「アースウォール」


闘技場から土壁を生やして風の刃を避ける。


「ソニックウェーブ」


ザシュザシュザシュッ


鋭い切れ味のある数段階威力のある風魔法が土壁を崩す。


「フレイムストーム!」


火と風の魔法を合成させた魔法を相手に向けて放つ。


「エアブースト」


フレイムストームを風の魔法で避ける。


ウォオオッ


疎らな観客たちから歓声があがる。


「長耳族が風を操るとは限りませんよ。バブルウォーター」


風の魔法を得意とする長耳族という認識に一瞬反応が遅れる。


泡が空中に舞い上がり視界を悪くさせる。


「その首飾りさえ無くせば」


死角に相手が迫っていた。


「見事!」


ビキィンッ


短剣を避けるも首飾りの鎖が千切れて闘技場へ落ちる。


ザッ


「これで」


勝利を確信した相手がニヤリと笑う。


「どうして、日に焼けないの?」


太陽光が闘技場に降り注ぎヴァンパイアである俺が焼けていない事に困惑する。


「魔王が光に弱いなんて古臭いだろ?」


「流石、第二位・・・ですね。参りました」


相手が負けを宣言して舞台を降りていく。


召喚者は何故負けを認めたのか怒鳴っているが闘技場を去っていった。


ワァアアッ


無事第一回戦を通過を果たす。


「どうした?」


「全然命令できなかった」


「無理もないだろ・・・」


俺と相手は次々に動いて魔法を放っている。


それを客観的に見て指示を出すのが召喚者の務めではあるが、次の指示を出そうとすると既に動いている俺達に言葉を何度も詰まらせていた。


「相手はAランクの長耳族だ。躊躇っていたらこっちの被害が出ていた」


「でも」


「不服か?」


「私の実力じゃない・・・から」


どうやらアンロッドは召喚者としての力が足りていないと悩んでいる様だ。


流石にあんな高度な戦いだから俺が勝手に判断して動いている。


だが、観客はアンロッドの指示を受けて俺が動いていると思っている。


周囲の評価がアンロッド自身に伸し掛かっているという事だ。


「勝ったぜ! どうした?」


そこでブルングが勝利報告にやってきた。


「ブルングはいいよね・・・」


ダッ


「どした?」


走り去っていくアンロッドの背中をみて首を傾げる。


「召喚者としての実力不足で悩んでるらしい」


「まぁ、アリアがパートナーじゃな。楽勝だろうし・・・な」


一々命令をしなくても勝手にやってくれるのだから。


「かといって・・・俺が命令に従うにしてもな」


「分かった。どうせ午後まで時間があるんだ。アンロッドを外に連れ出すぞ」


言い方はぶっきら棒だがブルングも面倒見がいい。


「ブルング、なんで連れて来たの?」


王都の近くにある草原地帯へと俺達は連れて来られた。


門番には事前に模擬戦の申請を出して驚かないようにして貰っている。


「俺はお前をライバルとして見ていた。だが、そうでは無かった! 全てアリアのお陰だった事だ」


「そんな事を言うために私を連れて来たの?」


「あぁ! 俺に勝ったのもアリアの力だけだ。お前は突っ立っていただけだ」


「ブルング! 言いすぎだよ!!」


「外野は黙っててくれ。コレは召喚者同士の言い合いだ」


ブルングはルーを黙らせる。


「出てこい! ブリューナク!!」


グォオオオ!


魔法陣からブリューナクが出現する。


「こいつは人間の言葉を知らねぇ。だが、俺の言う事を聞いてくれる。何故だが分かるか?」


「魔力パスで繋がっているから」


「そうだ! 俺とコイツの絆で結ばれているから答えてくれるんだ。言葉なんかいらねぇ」


ドンッ


「心で通じ合えってんだ」


胸を強く叩いてブルングが大声で言う。


「お前はアリアに歩み寄ってねぇ。全部任せっきりにしちまっている」


「だって」


「だってもねぇ! 俺達は繋がっている事には変わりがねぇ」


「言いすぎだぞ」


「アリア、テメェもだ。召喚獣なら主人の心を分かれってんだ! それでも召喚獣か!!」


お、おう。


ブルングが俺に叱ってきたぞ。


「テメェ等に足らねぇのは互いの距離感が掴めてねぇからじゃねぇのか。俺達は2人で1人だって事なんだよ」


「その通りだよ!」


パチパチパチパチっ


拍手をして人影が近づく。


「ミハエル」


「ブルングくんの言う通り。召喚者と召喚獣は心を通じ合わせてこそ1人前だよ」


「どうして」


「南の草原にドラゴンが出現したと報告を受けて飛んできたんだよ」


ミハイルの騎乗してきたドラゴンが空を旋回している。


ブリューナクよりも1.5倍は大きな大人のドラゴンだ。


「どうやら模擬戦を聞きつけたらしいね」


遠くからコチラの様子を伺う人間達が集まってきていた。


「アンチマテリアルフィールド」


ブワッ


数十メートルに渡って物理無効化の結界が張られた。


「この魔道具の持ち出し許可を取るのに時間が掛かっちゃったよ。これで思う存分戦っていいよ」


ミハイルがフィールドの外へと出て行く。


「舞台は整えてくれたようだぜ。ブリューナク!」


グォオオオオオオオ!


周囲を震わせる咆哮が放たれる。


ドシドシドシドシッ


体重を乗せた全速力の突進。


「来るぞ」


「でも」


「何をしている」


バッ


ドシャァアッ


アンロッドを抱えて跳躍して通り過ぎるブリューナク。


「ブレスだ」


ブハァアッ


溜めの少ないブレスを広範囲に放つ。


ジュオッ


皮膚を焼く高熱のブレスを浴びて地面に着地する。


「アリア!」


「この位、大丈夫だ」


「私には出来ない! アリアを従えるなんて!!」


「今更、何を言ってるんだ」


「アリアは私が何も言わなくてもやってくれる。だって魔王だもん!! 私なんて必要ない」


「くっ」


再びアンロッドを抱えてブリューナクの突進を避ける。


「どうしたと言うんだ」


「私が魔王を召喚したなんて何かの間違いだよ」


悲痛の表情を出して心の内側から思っている事を吐き出す。


「間違いではないだろう! お前が俺を呼び出したんだ!!」


「私には魔王を従えるなんて力なんて無いんだよ」


パシィンッ


「ふざけるな! 力が無いからどうしたと言うんだ!!」


「え?」


グッ


何度も突進してくるブリューナクを避けながら言葉を紡ぐ。


「俺は元々ハーフヴァンパイアだった! 元から強かったわけじゃない!! 努力して魔王としての地位を手に入れただけだ。俺が強い? それは勘違いだ。本当に強い奴が最初からいてたまるか。勇者だって聖女だって剣聖だって最初から弱かった人間だろうが! 他にはない才能を必死に強くしてきたから周囲が認めてるだけだろうが」


ガッ


ズアァアアッ


尻尾の振り回しを受け止めて地面を滑る。


「お前が言う魔王の力、見たいというなら見せてやるよ」


アンロッドは地面に放り投げてブリューナクと距離を取る。


ブワァアァッ


「第二形態・・・魔竜化」


闇の魔力が足元から大量に溢れて体を急速に変化させる。


「ブリューナク! なんかヤバいぞ!!」


グォオオアアアア


ブリューナクが闇に包み込まれた俺を爪で攻撃する。


ビギィンッ


10mの巨体が吹き飛んでいく。


グルルルゥ


闇が晴れてブリューナクに近い黒いドラゴンが姿を現す。


「アリア?」


グウォオオオオオオオオ!


「ブリューナク!」


グアアアアッ


ドォンッ


2頭のドラゴンが絡み合い互いに攻撃をする。


「アリアの思考が・・・分からない」


「アンロッド! 命令を出せ!! そいつは暴走してるぞ!!!」


「え?」


「そいつは人格を封じ込めてるぞ」


「そんな事言われても」


グオオオオッ


「ブリューナク!?」


黒きドラゴンの爪を受けてブリューナクは吠える。


「三連ブレスだ」


ボッボッボッ


単発のブレスを3回連続でアリアへと放つ。


ジュォオオッ


固い鱗にブレスが当たって煙を上げる。


「強えぇ!」


「アロンド!!」


ズドォンッ


結界内に別のドラゴンが突入してきた。


「ミハエルさん、なんでだ!?」


「介入するつもりは無かったんだけどね・・アレは不味いってね」


グググッ


グォオアアア!


黒きドラゴンが押さえつけていたアロンドを引き剥がす。


「アロンド。竜騎一体化だ」


ドシッ


ミハエルがアロンドの鞍に跨り腰の剣を引き抜く。


ブワッ


ミハエルとアロンドの魔力が溢れて1つに混ざり合う。


「アレが竜騎士の竜騎化一体かよ! 初めて見たぜ」


「ブルングくん、援護を頼むよ」


「はい! ブリューナク!!」


グルォオオオ


竜騎一体化したアロンドが凄まじい力で黒きドラゴンを抑え込む。


ドドォンドォンッ


その隙を突いて三連ブレスでダメージを与えていく。


「アンロッド! 早く魔力パスを繋げ直せ!!」


「そんな、私には」


「グォアアア」


竜騎一体化したアロンドが吹き飛ばされて地面に叩きつけられるミハエル。


「ミハエルさん!」


グシャァアッ


「ブリューナク!!」


ブリューナクも尻尾の一撃で吹き飛ばされる。


キィイイインッ


黒きドラゴンの大きく開かれた口に魔力が集まっていく。


「ブレスか!? ブリューナク」


グルルゥ


全身に傷を負ったブリューナクには戦う力が残されていなかった。

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