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召喚者

「アリア様! バンザーイ!!」


「1000歳の誕生日おめでとうございます」


アリアンロッドでは俺が1000歳の誕生日を迎える祭りが開催されていた。


ヒュォオオ


ドドォン


ドォン


火薬を使った花火を打ち上げさせて夜空に綺麗な花を咲かせる。


「アリア様、1000歳の誕生日おめでとうございます」


「今宵を持って序列第二位の就任おめでとうございます」


玉座の前にはアキラとシズカが頭を下げてお祝いの言葉を述べる。


俺がこの世界で生き始めて1000年の月日が流れた。


この長い時の中で様々な出来事があり出合い別れの繰り返しをしてきた。


もう何度も顔見知りを見送り新たな生命の誕生を眺めて来たかは数えきれない程だ。


昔からの顔なじみは数える程度となってしまった。


「序列第二位になったとはのぉ」


元竜魔王のハムートが盃を掲げて笑っている。


既に魔王の座を次代に渡して老後を楽しんでいる。


それによって魔王序列が繰り上がった。


更に寿命を迎えこの世を去った魔王達もいる。


「アンデッドだからか」


体の衰えを感じないまま時が過ぎて行った・・・


「魔大陸も文明が大分上がった」


現序列一位の不死魔王ハーデスの言葉にこの1000年間を振り返る。


俺の記憶にある風景の様な高度文明を目指して突っ走ってきた。


俺の他に2人も日本の記憶を持つ者がいて話し合いその世界の文明に少しずつ近づけていった。


「あの機関車での旅も愉快じゃったわ」


「従来の馬車よりも早く大量に運ぶことが出来るのは素晴らしい事だ」


素人知識に職人達の腕が合わさって蒸気機関車が完成して8本の線路を魔大陸へと伸ばして大量の輸送手段を手に入れた。


その代わり大量の石炭が必要となり十分な供給量を確保する為に、とある魔王領では石炭が特産物となった。


需要と供給をアリアンロッドを中心に魔大陸全土へと広めて経済が活発となり新技術を広めていく。


魔族の中にも天才と呼ばれる者達が居てくれて新技術が次々に生み出されていき俺は楽しく過ごさせてもらった。


「その一石を投じたのがアリア達じゃな。ガハハハハッ」


「我が領地も住みやすくなった物である」


北の大地は最も雲が分厚く太陽光が届き辛く基本的に暗く他所から来た魔族達にとっては住みずらい環境でありアンデッドが多く住む土地で有名だ。


俺達の作り出した技術は環境を改善するに役立っていると褒められた。


「独占すれば良い物を次々に提供して来てくるからワシ等も順応するのに苦労したわい」


「うむ」


新技術は初めて体験する者にとっては異質と感じてしまい戸惑いが発生してしまう。


何度も何度もその体験を周囲の魔王を含めて慣れさせてアリアンロッドの新技術には信頼される。


中には新技術として肌が合わない物も存在した。


「飛行機はダメじゃな」


陸路では届けられない場合は空路でと考えた計画だが竜族から大バッシングを喰らった。空の支配者として自力で飛ぶ能力を有していない者が飛ぶのはダメらしい。


「日焼けサロンもな」


小麦色の肌を手に入れたければと、日焼けサロンでも作ろうとしたがコレは太陽光に似せたエネルギーを作り出して肌を焼くと説明をしたらアンデッドに使ったらそのまま昇天しかねないと却下された。


まぁ、この2つは実現するには高度な技術力が必要だから今では無理だけどな。


「アリアよ、孫は如何じゃ?」


「相変わらずお転婆だ」


ハムートの孫であるエリンを預かっているが本人は毎日ブラブラとしている。


「次期魔王としてアリアの傍に行かせたんだがのぉ」


「言っただろ、俺は教育しないってな」


本人が聞いてきたことには答えてやっているが基本的に俺が教えるという事はしない。


「心配じゃのぉ」


「エリンの父親は?」


新竜魔王として魔王となったエリンの父からは何も音沙汰がない。


「あやつは、根っからの引きこもりじゃからなぁ」


「よく結婚で来たな?」


「嫁が凄いんじゃ」


これ以上は聞くのを辞めておこう。


「ハーデスは後継者とか決めてるのか?」


「要らん。不死である私の後を継ぐものはいない」


「そうか」


「そういうお主は如何じゃ? そろそろ相手を探してはの?」


「う~ん」


ずっとこの性格だしなぁ・・・男を娶るか。


「後継者探しの方が早いだろうな」


例え世継ぎが出来たとしても魔王になるとは限らない。


継承魔王というのは血での繋がりではなくその者の魔王としての器があれば誰にでも成れるチャンスがある。


「なぜ、お主は同性が好きなんじゃ?」


「今更、明かすんだが」


1000年が経ち酒の席で俺の生い立ちを2人に告げる。


「なんと、転生者であったか・・・男の心を持ったのぉ」


「信じるのか?」


「出来るかどうかは分からないが転生魔法という概念が存在する」


ハムートとハーデスは飲み込みが早かった。


「合点が言ったわい。女好きなのは当然じゃったな・・・」


「この話はこれ以上しても無駄だな」


キィインッ


何だか耳鳴りが・・・


「アリア!?」


「アリア殿!」


「ん?」


俺の座る場所から紅い光が床から発せられていた。


それは徐々に円を描き幾何学模様が浮き上がった。


なんだコレは?


「召喚魔法陣じゃ!?」


「まさか、お前を呼び出そうとしているのか!?」


名前しか聞いたことの無い魔法が2人から発せられる。


ガクンッ


魔法陣に吸い込まれるように俺の脚が沈み込んでいく。


バサッ


魔法陣に飲み込まれる前に空を飛ぼうとするが中でガッチリと足を掴まれている。


「召喚魔法陣に掴まれば向こうに着くまでは離れられん」


「向こうに着いても慌てるな」


ズズズッズッ


「スマン・・・アキラ達には変な事するなと伝えてくれ」


「あい、分かった」


「ここは任せろ」


魔法陣に頭まで沈み込みんでいき光のトンネルが視界に広がった。


ウォータースライダーのように体が滑る感覚を覚えて移動していると感じる。


ピタッ


とある、場所で移動が終了して再び召喚魔法陣を潜って外へと持ち上がっていく。


カッ


先ほどまで居た場所よりも明るい場所へと出て行く。


サァアアッ


緑色の草が風に揺れている。


「ヒッ」


小さな悲鳴を聞き、視線をそちらに向ければ腰を抜かした状態で俺を見ている髪の毛で顔を隠した地味目な少女が居た。


ガタガタガタッ


少女は俺を見て全身を震わせている。


グルルルッ


唸り声を聞き、そちらを見れば小型のドラゴンが俺を見て喉をならし威嚇している。


その傍らにはローブを着た少年が震えている。


周囲を見渡すと同じような格好をした少年少女達が集い、大小さまざまな動物たちを横に従えさせている。


「魔族?」


誰かがポツリと呟くと恐怖の感情が渦巻く。


ワァアアアッ


少年少女達は叫び蜘蛛の子を散らすように逃げていった。


唯一残ったのが目の前で腰を抜かしている少女と成人したであろう女性だ。


「召喚魔法陣で魔族を呼び寄せるなんて何処にも記録が」


慌てて自身の持つ本を捲る女・・・おそらく教師なのだろう。


「お前が俺を呼び出したのか?」


腰を抜かしている少女に問いかけるが震えるばかりで答えない。


「ふむ」


魔法陣を潜ってきた事で少女の魔力と俺の魔力が繋がっている様だ。


「3年間か」


魔法陣から流れ込んだ情報を読み取ると召喚魔法陣は従魔契約の魔法であり3年間だけ従魔として主人に従うものであった。


「なるほど、お前が俺のマスターか?」


「私は・・・違っ」


パタッ


精神的限界が来たのか気絶してしまった。


「アンロッドさん」


女の教師は気絶した少女・・・アンロッドへと駆け寄る。


「魔族が出てくるなんて予想外ですが、教師としては引くわけには」


毅然とした態度で少女を庇うように立つ。


「召喚:エンハンサー」


シュォオッ


地面に召喚魔法陣が描かれて大型の狼が出現した。


グルルルッ


俺を見るなり唸り声を発する。


「行け」


女教師の指示にエンハンサーは動こうとしない。


「どうしたの!?」


「力量差を分かっているのだろう。まともに戦えば自身の死を意味するからな」


「この子はCランクなのよ」


「従えているモンスターのランクで強さが決まるなら俺は頂点に君臨していなければならないな」


「まさか・・・予測不能ランクSなのですか」


「俺を呼び寄せる人間がいるなんてな」


まだ12歳位の幼い少女が俺を呼び寄せたと言う事実に驚く。


「私も召喚術師の端くれです。生徒を見捨てて逃げる訳には参りません」


「魔族だから危害を加えるという考えは古いな」


「何を」


「この数百年は一体何を学んだというのか・・・」


「攻撃魔法が出来ない訳ではありません。ファイアーボール」


「ランブル」


シュォッ


女教師の出した魔法は一瞬にして掻き消える。


「無駄だ。その程度では攻撃にも値しない」


トサッ


女教師は地面に崩れる。


「私が侮辱されるなんて」


スッ


女教師に手を伸ばす。


グルゥアアア!


ガブッ


「エンハンサー」


唸っていただけのエンハンサーが俺の腕に噛みつく。


ジワッ


肌に牙が食い込み血がにじみ出る。


グルルルッ


俺を前にして闘志を失わせず挑んできた。


「邪魔するな」


ドッ


グァアンッ


軽く腕を振るっただけで地面に倒れ伏すエンハンサー。


「エンハンサー!」


倒れ伏したエンハンサーへ駆け寄る女教師。


「ふむ」


気絶している少女へと近づき観察する。


魔力量も普通としか感じない少女が俺を呼び寄せたなんて訳が分からないな。


それでも魔法陣は俺と少女を結んでいる。


グッ


少女、アンロッドを持ち上げる。


「アンロッドさんを如何するつもりですか!」


「このまま寝かせておく訳にはいけないだろ。コイツの部屋なりに案内しろ」


「・・・」


「魔法陣の契約がある以上マスターへの危害は加えられないと書いてあるだろう」


「どうしてそれを」


「召喚された者は全員知っている内容だぞ」


「貴女は一体」


「申し遅れたな。魔大陸の魔王序列二位、第九魔王アリアだ」


「第九・・・まおぅ」


女教師はそれを青ざめて気絶した。


「はぁ。人化」


シュォオッ


人の姿に変化して2人を抱えて部屋を探す事にする。

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