西部連合国大会議
聖大陸の西部に20ヵ国からなる大連合国の代表たちが一同に集まって大会議をしている真っ最中だ。
「今回は新生レーヴァン聖王国の独断で動き、招いた結果である。よって全責任を負い要求通りに従う他ない」
「何を血迷っているのだ、聖王国は光の女神が祝福を与えた地であり失くす事はならん」
大会議の議題は魔大陸との戦争をするべきか、要求を飲むのかという事で意見が割れている。
レーヴァン聖王国は光の女神降臨の地として有名であり、長年聖女や聖職者たちを生み出してきた国であった。
その者達の働きもあり周辺の国からは認められて、各国には光の女神信仰者も存在する。
戦争派はレーヴァン聖王国を潰さず徹底抗戦をするべきと唱える。逆にレーヴァン聖王国を潰して事なきを得る方が良いと考える国が過半数を超えていた。
「8人の魔王とその配下と戦うに当たって勝算はあるのかね?」
「サーペンティンには聖女が生まれたと言うではないか」
「サーペンティン王国は反対します。我が国の聖女は第九魔王が認めた者であり戦争の道具にはしません」
「第九魔王というのも怪しいのではないか?」
「第九魔王の存在は確かにある。レーヴァン城を一夜にして灰燼とかす強さだぞ」
「今では跡形もなく城は残っておりませんな」
あの夜、レーヴァン城が消え去った事を知っている者達は口に出す。
「光の勇者は」
「魔大陸侵攻で死亡したぞ。それに怒った魔王達が宣戦布告をしてきたんだが・・・」
何も事情を知らない王に別の王が頭を悩ませる。
「他の勇者達を呼び寄せられないのか?」
「西部連合には光の勇者以外はいませんよ。他は中央です」
勇者は光以外にも火、水、風、土の五勇者が聖大陸には存在しているが西部連合国が抱える勇者は光のみだ。
「なぜ、他の勇者がおらんのだ?」
「レーヴァン聖王国が光の勇者以外を認めないと200年前に決められて中央に移動した歴史があるんですよ」
そう他の勇者が居ないのは光以外を認めないレーヴァン聖王国が原因であった。
「有事の際に勇者を呼びたくても呼べない・・・それは分かりますね?」
「う、うむ・・・勇者に匹敵しそうな者は居ないのか?」
「各国が抱えている猛者を搔き集めれば対抗できるかもしれませんが」
「それだ、そうすれば良いじゃないか」
「その者達が敗れ去った場合、西部連合国は滅びを待つばかりですよ。中央からの支援は無い物だと考えてください」
魔王8人と相手して勝てるなら誰もが考え付く事だ。
「戦争自体が無駄に終わります。ならば要求通りにするべきだと思いませんか?」
「ぐぬぬっ」
「これ以上話しても意味が無ければ新生レーヴァン聖王国は要求通り解体し周辺国が吸収する事で統治を任せるという動きにして。この書類に書かれている関係者および一族郎党を亡き者にし、我々の歴史からレーヴァン聖王国が記載されている書物に対して潰すという形で宜しいですね?」
「おのれ、おのれ、おのれ! ワシは断固として認めんぞ!!」
「黙らんか! レーヴァン国王。貴様が勝手に動いて招いた結果だぞ! それにコノ書類に書かれている計画はなんだ! ワシの娘の血を勝手に召喚に使ったと書かれているではないか!!」
ガルブレスト国王がルード国王に怒鳴る。
「勇者死亡時の対応策というのも考え物ですね・・・民の不安を煽り光の女神への信仰心を促進させるとはね」
「召喚した者達を捨て駒にしたのか!?」
「これは許されざるべき行為ですぞ」
「聖とは名ばかりではないか」
書類に目を通した諸外国の王達はルードへと非難の声を上げる。
一気に戦争派の勢いが衰えていく。
「戦争をしたければお前たちだけでやってくれ。この事は民たちにも情報を開示する。おそらくは移民が各地方へと流れ込むことになるだろうが致し方が無いだろう」
数ヵ国分の民が戦争に巻き込まれると知れば逃げる者達が続出するだろう。
「国としての機能を完全に失えば後は我々が動けばいいだけだな」
魔王に一度国を潰させてから掠め取ろうとする王達の考えを匂わせる。その為ならば一時的な移民の受け入れは致し方が無いと言う。
「さぁ、どうする?」
これが決めてとなり、ポツリポツリと戦争派の国が要求派へと移動する。
そして最後まで戦争派に有り続けた新生レーヴァン聖王国は各国の手によって歴史から、大陸から消滅する事となった。
今回の首謀者および一族郎党は今後の憂いを失くすために処刑となり、周辺の国が土地を吸収、レーヴァン聖王国の名前が書物から消し去られる動きが大々的に行われた。
今回の件は包み隠さずレーヴァン聖王国の人民へと公表されて解体は止む負えない事となった旨を伝えられた。
「以上が、我々の答えです」
「そうか」
1ヶ月に及ぶ大会議を終えた結果の報告を受ける。
「聖大陸の誠意を見せてもらった」
今回の首謀者達が責任を持って処刑される風景を見せられた。
「しかし、子供まで」
「罪はないか? 見逃した人間達が成長して再び聖王国を名乗らないと誰が保証をする?」
40年前に見逃した人々が今回の事件へと発展した以上、見逃す訳には行かなかった。
「それに道は残してやったんだ」
俺の目の前には数十名の子供達が立ち並ぶ。
親や親族の責任で処刑される子供達を思っての救済処置として別の道を用意した。
「では、俺達はこの一件から手を引く」
これで、今回の一件は終焉を迎えた。




