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決着②

「さて、再開しようか」


シンと静まりかえる会場に俺の声が響く。


「魔族だぞ、誰かこやつを殺せ!」


ルード国王が腰を抜かした状態で俺を殺せと指示を出す。


「誰も動くな! これは断罪である。この国がした事のな」


「国王陛下に指一本触れさせぬぞ! 魔族がぁ」


たった一人だけ動いた者がいた。


「この聖騎士隊長のワシがいる限りなぁ!」


「愚かな。天竜牙」


カァアアッ


異空間の名から光輝く天竜牙を取り出す。


「その剣は!?」


空中から大上段で振り下ろしに掛かっていた。


スパッ


何の手ごたえも無く鋼鉄の剣と鎧もろとも両断する天竜牙。


ブシャッ


上半身と下半身となった躯は後方へと落ちていった。


「聖剣」


遠くからでも光り輝く剣に誰かが口を開く。


「なぜ、魔族が聖剣に触れられるのだ!?」


目の前で見ていたルードだけが叫ぶ。


「邪魔が入ったな。続きだ小僧。貴様がやらかした後始末のな」


「この国が正義である。貴様ら魔族が悪だ。それは光の女神が与えてくれた絶対不変の理なのだ」


「まだ、そのような世迷言を言っているのか・・・40年前にその芽を摘むべきだったな」


「40年前・・・まさか!?」


ルードは今更、思い出したようだ。


「そうそう、自己紹介がまだだったな。聖大陸王侯貴族の諸君改めまして。魔大陸が第九魔王アリアと言う。以後お見知りおきを」


スカートを少したくし上げて一礼する。


「「「「「「魔王!?」」」」」」


全員が声を揃えて驚愕する。


「安心するがいい。既に断罪は始まっている。そこのブタのな」


「ひぃいいい、お助けをぉおお」


「貴様は40年前にも同じことを言って俺に許しを請うたな。気まぐれに見逃したがのが過ちだった」


「聖王国滅亡の日の悪魔!?」


「では、私達の親が殺したのは」


ルードを含め聖王国の全ての人間を殺し切らず何百人ほどかは生かしておいた。


その結果がこの有様だった。


「睨むな、小僧ども。お前たちの親は俺の故郷を焼き払ったんだぞ。殺されて当然じゃないか? それとも仕方がない犠牲とか綺麗ごとを並べるか?ん?」


「その証言は私達三国同盟が証明致します。アリア様は40年前サーペンティン王国とベイクラム王国の間にある山脈に住まわれておりましたわ」


「我が領地を無断に入ってきたレーヴァン聖王国はアリア様の土地を焼き払われた事をベイクラム王家は認める」


ベイクラム・サーペンティンの両王家がその真実を公表する。


「今回の件は魔大陸にも及んでいる。俺は特使として聖大陸へと足を運んだまでである」


フワッ


パァアアアッ


水晶球がダンスの舞台を照らす。


「おぉ、やっと映りおったか」


「長い事待たせ過ぎよぉ」


7人の魔王達が揃っていた。


「まさか!?」


「魔大陸の代表たちだ。竜魔王ハムート殿」


「うむ」


「不死魔王ハーデス」


「私だ」


「淫魔王サキュリーナ殿」


「はぁい」


「狼魔王ヴォルフ殿」


「グルゥウウ」


「鬼魔王ゴウキ殿」


「オウ」


「空魔王バードマン殿」


「あぁ」


「豚魔王ブッデン殿」


「ぶひぃ」


「そして、亡き海神魔王モンドー殿」


中央に置かれた机のデモンズハートが輝く。


「以上8名。俺を含めた九大魔王である」


会場に緊張感が走る。


これまで長い歴史の中で魔大陸に住まう全ての魔王を見た事のある者は皆無だった。


それより下手な事は出来ないと本能が警鐘を鳴らす。


「貴様等人間は我らの領地に無断で足を踏み入れその地に住む者達を殺しまわった。報復されて何が悪い? 魔族が絶対悪だと誰が決めつけた。残された者たちの感情はどうする? 怒りや悲しみに明け暮れる同胞たちの無念はどこに向ければいい? 国を背負う者にはそれ相応の責任が問われる。そうだろ計画の立案者である宰相殿」


ビクッ


「私は」


「そうだ、あ奴が悪いのだ。ワシは悪くないぞ」


「黙れブタ。俺は宰相殿に聞いているんだ」


「ひぃいい」


「私はこの国を再び活気あふれるあの頃になれば良いと思い」


「多大なる犠牲の元に作り上げた国に誰が続くと思う? それはお前の理想論であり総意ではないだろう! この計画の関係者諸君。君たちのしでかした事態は国ではなく大陸を巻き込んでいるという事が分かっていないようだな」


「アリアよ。そこまでにせぬか。皆怯えておろう」


「はっ、竜魔王様。出過ぎた真似を」


「何時からワシはお主の上司になったのじゃ。ワシ等魔王は皆同列じゃよ」


なら序列を作るなよ。


「序列は周りの者が勝手に作り上げた物じゃよ」


俺の考えを読んで答えてくる・・・食えない爺さんだ。


「さて、聖大陸の代表たちよ。ワシ等の領域に踏み込み沢山の命を奪い去って行った報復については意見が2つに分かれておる」


重みのある声でゆっくりと聞こえるように話す。


「1つは魔大陸と聖大陸との全面戦争じゃ。ただ一人も残さずの殲滅戦の声が上がっておる」


全員がゾッとする思いをして聞く。


「もう1つは今回の原因となった主犯格達を捕らえ遺恨を残さず一族郎党を滅する事および国の解体である。二度とこんな真似をしないように国の名前すら歴史から残さない事じゃ」


「さて、どれを選ぶかは君たち人間に委ねる」


パチンッ


ギィイイイ


今まで鍵の開かなかった扉が開く。


「手始めにこの国の象徴であるこの城をこの世界から跡形もなく吹き飛ばす。死にたくなければ即刻避難せよ」


ワァアアアアア


誰もが我先に逃げ始める。


「逃げても無駄だぞブタ」


「ひぃいい!」


「どのみちこの国は他の国々の恨みを買ったのだからな」


ホールには三国同盟の面々とルーインだけが残った。


「な、なんでなのよ。後少しだったのよ! あと少しで攻略できたのに!!」


まだそんな事が言える気力を残していた事に驚く。


「私の計画を返せぇええええ!」


ブワァ


黒い魔力が俺に忍び寄る。


「だめぇえええええ!」


アリシアが俺とルーインの間に割り込む。


カッ!


閃光がホール一杯に広がった。


ドクンッ


心臓に握りつぶされるような激痛が走る。


ゴボッ


食道から紅い液体が逆流しドロリと口から漏れ出る。


ドッ


片膝をついて耐える。


油断していたとはいえ今までにない衝撃を喰らった。


「あぁ、アリア様!? 私、なんてことを」


「心配するな。俺を護ろうとしたんだろう」


グイッ


口に付いた血を拭い立ち上がる。


ルーインは既に気を失っている。


「第九魔王が認めようぞ。お前は聖女を名乗るがいい。この俺に大ダメージを与えたのだからな」


「え? えっ?」


キョトンとするアリシア。


「魔王にダメージを与える者、それを人の間では勇者以外には何と言うんだっけな?」


「「「「「「聖女」」」」」」」」


三国同盟の皆が口を揃えて言う。


ポンッ


「コレが隠しルートって奴だ。国外追放を言い渡す奴が居なくなれば万事解決だろう」


ニッ


「・・・プっ! アリア様ったら」


「これにて一件落着だ。ハムートと他の魔王達、協力感謝する。後片づけはスムーズに済むだろう」


「帰ってくるのを楽しみにしておるぞ」


「良い報告を待つ」


「ダラけてちゃうと侵攻しちゃうぞ」


「グルゥ」


「天晴である」


「見事なり」


「お腹すいたぶぅ」


ピカッ


最後にデモンズハートが点滅して超長距離通信が切れた。


「皆、避難してくれ。宣言通りこの城を破壊する」


コクリ


頷き全員が退避していく。


「魔力感知、生命感知」


城全体を魔力で包みこみ逃げ遅れが居ない事を確認する。


「いないな・・・導きの声よ。俺は全魔力を使って城に時魔法を使う」


【時魔法使用の許可を申請。条件①クリア、条件②クリア、時魔法の範囲受諾、進める範囲の指定をしてください】


「全てが風化するまで時を進めろ」


【風化するまでを指定。全魔力を消費して実行します。全ての承諾に許可が下りました。詠唱を読み上げてください】


「時の神よ我の願いを聞きたまえ。汝が滅びを与えん。風化」


ブワァアアアアッ


俺の全魔力が吸われて城全体へと浸透していく。


サァアアアアッ


城の天辺から砂へと変化していき風に乗って湖へと流れていく。


「消えていく、レーヴァン城が」


避難を終えた王侯貴族たちが月夜に消えていく城を見届けている。

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