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貴賓クラス

ガチャッ


レティシアが先に入る。


目線で入る様に促されて俺も中へと入る。


俺の知る学校のクラスという風景ではなく、教卓があり生徒が座る席は奥へ行くほど高くなっているクラス風景だった。。


黒板は2段構えになっていて上下が入れ替わる形が使われている。


「皆さん、冬休みはどうでしたか?」


シーンと静まり返るクラス。


「あぁ、彼女は今年からこのクラスに編入してきた」


「アリア・アリアンロッドと申しますわ。皆さまよろしくお願いいたしますわ」


制服であるローブの裾を上げて挨拶をする。


「アリア嬢はサーペンティン王国からの留学生です」


その言葉にクラスにいた生徒たちの視線がアリシアへと向けられた。


ただ、一人の女生徒を除いて。


俺はその顔に見覚えがあった。


「アリシア王女様の遠い親戚として編入されたそうです」


ザワッ


少し騒がしくなるクラス。


「彼女も王族の血が流れているという認識で接してあげてください。席は・・・アリシア王女様の隣でいいですね」


空席が目立つ中で態々アリシアの隣を指名する理由が分からない。


「知り合いの近くの方が安心するかと思いますので・・・では、朝礼を終わりに致します」


ガチャッ


そう言ってレティシアは出て行った。


俺は指定された席へと移動を開始する。


「これはどういう事ですの?」


「あぁ、すまんな。なにせ足が長かった物だから」


通る際に足を引っ掛けようとする金髪の少年がいた。


「気を付けてくださいまし」


「ちっ」


喧嘩売ってるのか?


スッと流れるようにアリシアの隣の席へと移動する。


「これから宜しくお願いしますわ。アリシア様」


「はい」


今朝よりなんだか元気のない様子だ。


「よっ!」


俺達の前の机に座っている少年が軽く手を挙げた。


「アンタがアリアだな」


「そういうアナタはどちら様ですか?」


「俺はガルム・デル・ベイクラムと言うんだ」


若い頃のクラムに似ている少年だ。


「申し遅れました、アリア」


「さっき自己紹介しただろ? 挨拶は要らねぇよ」


「しかし」


「ここは平民も貴族も王族も平等に扱われる学び舎なんだぜ」


「ちっ、お前の様な奴がいるから王族の品位が疑われるんだ」


俺とガルムの会話に割り込んできた先ほどの金髪少年。


「バーン王太子様、何用ですか?」


不機嫌になったガルムが口調を変えて言う。


「田舎王子が私に話しかけるな。アリシア、いつまでもこの様な野蛮な者と友を続けていても意味がないぞ!」


ビクッ


強い口調に体を震わせるアリシア。


「バーン王太子様。そのように口を荒げますとブーメランですわよ」


「ブーメラン?」


「先ほどの「王族の品位」についてですが、王族の方が怒鳴るのが普通なのでしょうか? そいういう事をブーメランと呼びます。知りませんか?」


「あぁ、そうだ。ブーメランだぜ。もちろん知っていますよねぇ」


頭のいい人間ならブーメランを知らなくても察せるレベルだ。


「ぐぬぬっ、失礼する」


ローブを大げさに翻して前へと戻っていく。


「ガルム様が協力者ですわね?」


同盟国であるベイクラムの王子だ。


「まぁな。アリシアの事を頼まれているんだよ」


「ということは、あの方が」


「アリシアの婚約者だ」


「承知いたしましたわ。なんでガルム様では無いのでしょう?」


「タイミングの問題だったか? 俺の場合は3歳の時に決まっちまったから」


随分早いな。


「そうなのですか。婚約者の方は?」


「ずっと、お前を睨んでるぞ」


ジィイイ


うん、知ってた。


俺の右隣から視線がずっと来てたからな。


「アナタ、ガルム様と近いですわ! 私の婚約者だと知らないのですか!」


ピンク色の装飾品を所々にローブに着けた銀髪の少女がプンプン怒っていた。


「申し遅れました、アリア・アリアンロッドです」


「言いにくい名前ですね。アリアと呼ばせてもらうわ」


典型的な我儘娘といった所か?


「私はガルム様の婚約者のロッテ・フォール・ガルブレストですわ」


「ガルブレスト王国の」


「えぇ、第一王女ですわ」


ガルブレスト王国はサーペンティン王国から北東に位置する王国だ。


ベイクラム、サーペンティン、ガルブレストでは三国同盟を結び、強いつながりを持っている。


つまりロッテも協力者の一人だという事だ。


「手紙に書いてあった時は驚いたが、これからよろしくな」


「お友達になって差し上げますわ」


「これからよろしくお願いしますわ」


「ちっ、なんで私が田舎王家の婚約者なんかに」


前の席で悪態をつくバーン王太子。


周囲のクラスメイトが機嫌を宥めている。


「この国は一度滅びかけたと聞き及んでいますわ。なぜ、アレだけ偉そうに?」


「ここは一番中央に近い国だからな。権威を取り戻したいんだろう」


「えぇ。私達より中央との繋がりを欲しがっているに違いありませんわ」


ガルムとロッテがこっそり向こうの内情を教えてくれる。


う~む、そんな事より・・・アイツ、ずっと見てるんだよな。


周りに気取られないように視線を送ってくる少女。


この日は学園についてガルムやロッテに教えられて一日を終わりにした。


「アリシア様、元気がありませんわね」


「いつも通りです」


明らかに国を出る時より元気が一層落ちている。


「アリシア様、悩みごとなら聞きますわよ」


「気にしないでください!」


タッ


俺を避けるように駆けだすアリシア。


追いかけるか迷ったが・・・やめておいた。


「アキラ」


「はい、お嬢様」


「調査は順調か?」


「はい。部屋で報告いたします」


俺とアキラは与えられた部屋へと戻る。


「そうか」


「今日一日で集められた情報です」


アキラから調査内容を渡されて目を通す。


アリシアの落ち込んでいる理由が判明した。


薄々は気づいていたが、バーン絡みだそうだ。


アリシアの婚約者が嫌で仕方がないらしく、去年はずっと圧力を掛けていたらしい。


ガルムやロッテがアリシアの味方になるもココは3人の知る国ではなく違う土地であり味方が少ないとの事だ。


「はぁはぁ、それで、最近、はぁん。あっ、聖王国でも動きがあったらしく」


勇者召喚か・・・


「えぇ、30名近くの召喚に、んっ! 成功したとか」


「なるほど」


何をしているかって? ナニをしているんだよ。


「数ヶ月ぶりのご褒美だ」


「アリア様ぁ」


夜は更けていく・・・


バンッ


おう、これが壁ドンってやつか。


相手は・・・黒髪黒目の少女だ。


目にクマを拵えている。


「アナタ達のお陰さまで寝不足ですよ!」


目を吊り上げて怒りを露にしている。


「ご迷惑をお掛けしまして申し訳ありません」


「丁寧に謝ったって駄目ですよ。女同士で不潔です!」


「あら? いけない事かしら?」


「そもそも、夜中にあんないやらしい」


少女らしく顔を真っ赤にして言う。


「フフッ、可愛らしいですわね」


ツッ


人差し指で少女の顎を持ち上げる。


「気持ち悪いわ!」


「勇者様。こんな所で何してるんだ?」


其処にガルムと腕に体を寄せているロッテが現れた。


「何度言ったら分かりますか。私は勇者ではありません」


「ふぅん。こんな人気のない所に何しているのかなって」


「なんでもありません。失礼します」


踵を返して去っていく少女。


「シズカ様ったら、魔大陸から帰ってきてから元気がありませんわね」


「仕方ねぇよ。大敗って話らしいし」


ん?


「彼女の事知っているんですの?」


「この国で行われた勇者召喚の1人だ」


「以前、魔大陸へ魔王討伐を向かったんですわ。冬休み中だったので最近知りましたけど」


冬休みの期間を使って勇者たちを送り込んだのか・・・考えたな。


「他の方々はどうなったですの?」


「それが、帰ってきたのはたったの5人だったらしいぜ。一応は魔王を倒してきたという話なんだが」


「30人近くいた筈なんですけれど」


計算が合わないな。


15名近くは捕縛したが、生き残りは全員船に乗せて送り返したと報告は受けた。


途中で何かあったか・・・何人かは捕まえていたのかもしれないな。


「帰ってきた連中も病欠。シズカは口を開こうとしないから俺達は何もしてやれない」


俺達が返り討ちにしたから精神が異常になる奴も出るだろう。

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