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再上陸

「魔王会議に集まってもらって感謝する」


海神魔王を除いた7名をアリアン城へと招いて魔王会議を開いた。


「今回の事は残念じゃったわい」


「勇者の進行を防いで見せたのだ」


「そうよぉ、覚醒魔王のチャンスは逃しちゃったけどねぇ」


「それで、ワシ等を呼び寄せたのは此度の件であるか?」


「ソレもあるが、魔王8か条の件だ」


「遂に決めたか。どの様な内容じゃ?」


「俺が考えた9カ条目は【魔王不在時への侵攻を禁止する】という条例だ」


「・・・確かに、魔王無き海神の土地は進行をするには絶妙なタイミングじゃのう」


長い歴史の中に魔王不在時を狙っての侵攻が数度あったという記録も残っている。


「今の海神の土地もそうだが、別の魔王の場所に侵攻している所に更に別の魔王が進行するのも禁止する条例だ」


「そんな魔王が居るのかよ」


「戦う相手がいない状態での侵攻はフェアじゃないぶぅ」


「過去の事例、今の状況を見てコレが最適だと感じた」


「あい、分かった。皆の者、反対意見はあるかのぉ?」


その問いに誰も反対する者はいなかった。


「これより、魔王8カ条あらため魔王9カ条を宣言する」


こうして9カ条目が決まる。


ジジっ


円卓の中心にある水晶がとある映像を映し出す。


「これは、海神の港であるか?」


「酷い有様ね」


「あれは?」


映像は沖へと出て行く中型船舶。


「海神の船が外海へ出て行っちまうぜ」


「魔王様方」


映像はモンドーの息子へと映る。


「話し合いの結果我々はあ奴らを帰す事に致しましただ。勇者の死体で皆納得して貰っただよ」


「そうか、お前たちがそう決めたなら俺達は口出しはしない」


「なら、もっと殺しておけばよかったぜ」


「そうだぶぅね」


援軍損した2人は悪態をつく。


「それでだ、俺はこの都市を暫く開けようかと思う」


「ワシ等にソレを言う理由が分からんのぉ?」


「あの9カ条は自由を手に入れる為でもあるんだ。都市を開ける為にな」


40年間殆ど都市の外に出る事は叶わなかった。


その憤りを紛らわせるために都市開発に力を入れていたのだが。


「何処へ行こうというのかしら?」


スッ


俺は水晶に映る船を指さす。


「聖大陸」


オォッ


魔王達から感嘆の声が上がる。


魔族にとって聖大陸は活動し辛い場所でもある。限られた魔族しか行くことが出来ない場所だ。


魔大陸でも太陽光は届くが分厚い雲で覆われていて光の弱点を持っている魔族は過ごしやすい環境だ。


「今、向こうが如何なっているか見に行く。事と次第によっては」


「うむ。その間はアリアンロッドにお主が不在となるか。長期不在になっても大丈夫かの?」


「その為に後続を育ててきた。万が一の為の超長距離通信装置もミザールが作ってくれたしな」


ゴゴゴゴッ


会議場の上の大空間から巨大な水晶球が下がってくる。


「ワイバーンの魔石を9つ連結した物だ」


「で、あるか。皆の者それでよいか?」


誰もが反対する者はいなかった。


「この件は吸血魔王アリアに一任するぞい」


「あぁ」


こうして、40年振りに聖大陸へと戻る事となった。


「アリア様ぁ」


「なんだ?」


「そろそろ、限界です!」


付き人としてアキラも一緒についてきたが1週間連続飛行には魔力が持たなかったようだ。


「・・・あれは」


遠くに見える小さな島・・・その島からは紅い飛沫が立ち上っている。


「モンドーの言っていた島か」


「あそこで、休憩しましょう」


「あぁ」


島へと向かって休憩をする。


昔モンドーが言っていたように島に入った事を感知したモンスター達がワラワラと襲い掛かってきた。


「アリア様のお手を」


「いいから、休憩していろ」


俺がモンスター達を悉く打倒していき十分に休憩を取った後に飛び立つ。


あの島には何か居るな・・・


今回は用がなかったが島に巨大な生命力を感じた。


それから数日が過ぎて聖大陸へと到着した。


「これなら私も自由に動けますね」


ミザールが作ってくれた太陽光遮断装置の魔道具をアキラはネックレスとして装着していた。


見た目では分からないが装着者の周囲に薄い膜を張って防いでくれる代物だ。


「まずは・・・あそこか」


聖大陸で知っている場所であるサーペンティン王国へと赴く。


バサバサッ


夜となり記憶を頼りに城上空へと飛んでくる。


40年前と変わらず城は健在であった。


スンッ


「あそこか」


嗅覚が目的の人物へと導く。


「お嬢さん、私と夜の散歩は如何かな?」


ット


バルコニーで夜風に当たっていた初老の女性の背後に降り立つ。


クルッ


「あぁ!」


女性は俺を見て恐怖するのではなく目に涙を浮かび上がらせる。


ツー


「君に涙は似合わないな」


「生きて、生きていたのですね!」


「易々と死ぬ気は無い」


「ごめんなさい・・・アレだけの恩があったのに返せなくて」


「構わない。ルーデシア」


もう60程の年齢に達して美しかったプラチナブロンドの髪を白髪に染めてしまったルーデシア。


「ルーデシア、どうした?」


ヒョッコリと顔を出したのは年相応に老けたクラムだった。


「お前は、アリア陛下なのか?」


「よせ。国は滅び陛下ではない」


「そんな事より、生きていたんだな!」


「生きていて悪いか?」


「違う。逆だ・・・あの時は救援に行けなくてすまなんだ」


2人共頭を下げて謝罪する。


「2人とも顔を上げて欲しい・・・少し聞きたいことがあってな」


「わかった」


俺の真剣な声に2人は中へと招き入れてくれた。


「「人化」」


俺達は人の姿に近しい姿になるべく人化の魔法を使う。


角や羽根は異空間にしまって目の色も人と同じくする。


「お邪魔します」


アキラも続いて中へと入る。


「そのお嬢ちゃんは?」


「元サーペンティン反乱軍の勇者だった者だ」


「勇者・・・」


その言葉に反応を示すクラム。


「少し順序を持って話そうか」


俺はポツポツと語る。


アリア小国が滅び何をして何を成したのか。


「それでは、魔王になったのか?」


「恐ろしいか?」


「いや、昔と変わらずにいてくれて助かった。魔王になってもお前はお前だという事にな」


「姿も魔王になって変わったんだがな」


「誰が間違えるものな」


「えぇ。それに羨ましいほど若々しいわ」


俺も50歳を超える年齢ではあるが17歳ほどの肉体を保っている。


「とっても美白なのは何でかしら?」


ルーデシアも白い方ではあるが長い年月で肌が太陽に焼かれている。


「光無効化の力だな。太陽に焼かれる事はない」


「なんて羨ましいのかしら。世の女性が望む力よ」


日傘を差さずに済むのだから。


「アキラ、予備はあるか?」


「はい、いくつか」


「出せ」


コトッ


「これは」


「遮光魔道具だ。小魔石で1ヶ月連続稼働でき、太陽光を遮断する」


「なんて素晴らしい魔道具なのかしら!? 魔大陸では凄い物を作り出しているのね」


「色々と不便な種族がいるからな」


「これを私に?」


「再会の祝いに受け取ってくれ」


「俺には無いのか?」


「無い」


「なんだよ・・・」


俺の即答にクラムは落胆する。


「そういえばアキラ、アレは手に余ってるだろ」


「アレですか? 私としては渡したくないんですけど」


「使うたびに火傷負うんだろ? もっと使い勝手のいい武器にしろよ」


「はぁ」


アキラは亜空間からエクスカリバーを取り出す。


「その輝きは!? 聖剣」


「いえ。これは宝剣エクスカリバーです」


「これが宝剣だと!? どう見ても光属性付与の聖剣なんだが」


クラムがマジマジと剣を見つめる。


ジュォオオッ


持っている途端にアキラの手から煙が上がり始める。


「それを渡してやれ。お前には荷が重すぎるだろう」


「元勇者としては手放したくはないんですけど・・・」


魔族へと変異してからアキラは光属性へと弱点がある。


光耐性がある為、大したダメージは負わないが常に痛みは出ているそうだ。


「なら、この城の宝物庫に眠ってる宝剣と交換というのはどうだ?」


「エクスカリバーと同等の宝剣ですか?」


「正直価値は分からん」


「代々受け継がれた置物程度の宝剣ですからね」


「明日、見に行くか」


「そうですね」


「とりあえず、部屋を用意しよう」


「誰か!」


俺達2人用の部屋を急遽用意して貰い一晩泊まる。

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