第九魔王選抜大会④
準決勝という事もあり各地の魔王も特別席で見ていた。
不死魔王であるハーデスが立ち上がった。
「光魔法・・・アレを使う魔族がいるのか」
「カッカッカっ、よもや光魔法を使うか」
竜魔王ハムートは笑う。
魔族で光魔法を使う物は殆どいない。
長い歴史の中で数人居たかどうかという程だ。
「ヴァンパイア一族から出るなんて」
「奴の母親は光竜じゃからな・・・」
「光竜だと? 数百年前に魔大陸から追われた」
光魔法を扱う魔族は嫌われてしまう。
「うむ」
竜魔王の姉弟である光竜フレイア。
光魔法の使い手として屈指の実力を持ち不死魔王よりも強いとされていた存在。
数百年前に聖大陸へと飛び去った魔族。
「その血が流れていると?」
「アリアはワシ等竜族の血も流れているからのぅ」
「父親は誰なんだ?」
「アルカード殿の父親、吸血鬼王バロンじゃよ」
「あの2人が恋仲だったのか」
「異種族との恋にはワシも止められんかった。というか無理じゃ」
魔王序列一位である竜魔王ハムートでも止められない程だと公言される。
「光竜フレイアって知らないわねぇ」
「数百年前の話だろ? 俺達じゃ分からねぇんじゃねぇか?」
「んだんだ」
魔王としては若い者達では竜魔王と不死魔王の会話には付いていけない。
「あの吸血鬼王バロンが最近になって死亡したとアルカード殿から聞いた時はそういう事であるか」
「そうとうな無理をして行ったんじゃろうな」
ヴァンパイア一族を纏めていた王が最近死亡してアルカードが次王となり不死魔王に着いた。
その理由が明かされる。
竜魔王が聖大陸に向かったのは姉であるフレイアの存命を確認するつもりだったが居なかった。
方々を探してフレイアと似た魔力を探し当てて出会ったのがアリアが竜の血をもつバサルリザードを倒した瞬間だった。
「つまり、異母兄弟での戦いとなったわけじゃな」
母は違うが同じ父を持つ者どうしの戦いとなってしまった。
・・・
「なぜ、光魔法を使えるんだ」
アルカードは焦っていた。
ヴァンパイア一族にとっては光魔法は弱点属性である。
それを扱う者がいるとは思わなかった。
「これが覚醒魔王の力だ」
ヴンッ
更に魔力を送ってライトボールの光量が増す。
「ありえない! 魔族がヴァンパイア一族が光魔法を会得するなんて」
混乱し始めるアルカード。
「そうだ、それは幻惑魔法に過ぎない。私を騙そうったって」
「試してみるか?」
「私を謀るのは止して貰おうか! うぉあああああ!!」
ビリビリビリッ
白いスーツが破れていきアルカードの体が膨張する。
どいつもこいつも体を大きくするのが趣味か?
白い肌が黒く染まっていき、筋肉が膨張していき体長も5m近く高くなる。
「この姿は見せたくなかったぞ。私の美学に反するからな」
自身の実力を隠してまで俺に勝とうとしていたのか?
「体の大きさで勝敗が決まると思うなよ」
グググッ
俺も全身に魔力を巡らせてる。
「馬鹿な」
衣服は俺の血と魔力で出来ており敗れる事はなく体の大きさに合わせて一緒に広がっていく。
「これでも3分の1だ」
30mは大きくなれるが場外になりかねない為に10mに抑える。
「ライトソード」
シュオオッ
周囲に浮かべていたライトボールを一点に集めて光の剣を作り出す。
「ブラッドソード!」
アルカードも血の剣を作り出して対抗しようとする。
「光に対して闇魔法は愚策だぞ!」
光の勇者にまったく歯が立たなかった事を思い出す。
ザンッ
ライトソードがブラッドソードを切り裂きアルカードの体へと到達する。
「クックックッ」
パタパタパタパタ
小さな蝙蝠となって霧散していくアルカード。
「私の固有魔法の前では光とて通さぬわ」
「それは如何かな?」
「何?」
カァアアアっ
「あれは!?」
アキラがいち早く察知した。
「業魔のカーテン」
アルカードの張ったダークテリトリーよりも強力な闇のカーテンを降ろすアキラ。
「フレアサークル」
ライトボールを瞬時に膨張させて大爆発を起こす魔法。
光は乱反射し闘技場内部では光に包まれる。
パキィンッ
ダークテリトリーの効果も乱反射の前に打ち砕かれる。
「アリアさま、やりすぎですよ」
アキラが苦痛の声を漏らす。
ビキビキビキッ
闇のカーテンにも罅が入る。
「フレイムゾーン」
「ダークネスゾーン」
業炎と深闇の結界が張られる。
バギィンッ
ボフゥウウッ
全ての結界が吹き飛び、爆風が会場へと吹き溢れる。
「ワシの結界をもか」
「あの光魔法あなどれぬ」
竜魔王と不死魔王が張った結界も吹き飛ばす威力を持つ魔法であった。
「勝者アリア様」
セバスの判定で俺は勝利を告げられた。
「準決勝2組目は午後からとなります」
一旦観客は外へと出て行く。
「アリア様、無茶しすぎです。2人の魔王が結界を張らなかったらどうなっていた事やら」
控室でアキラの説教が続く。
「反省はしている。後悔はない」
「後悔もして下さい!」
ガチャッ
「邪魔するのぉ」
ノシッ
入ってきたのは人化したハムート・・・それと知らない顔だ。
背丈はハームトと同じ位だが、全体的にほっそりとしている。
黒髪を後ろで縛っている鋭い目つきをした紅い瞳孔をもつ三白眼だ。
衣服も黒い鎧を身に纏っている。
「不死魔王ハーデス」
一言だけポツリと言われる。
「アリア様。まずはお礼を言ってください」
「よいよい。アレはワシ等が勝手にやっただけよ」
「礼を言われる事の程でもない」
「しかし」
「ちとやり過ぎではあったがのぉ」
「次から気を付けよ」
「それを言いに来たのじゃよ。失礼したわい」
そう言うと2人は帰っていった。
ペタリッ
アキラはその場に座る。
「緊張したぁ」
そうか?
「アリア様はなんで平然としているんですか?」
「普通だろ?」
「あの空気が普通ですか!?」
縋る様にアキラは俺のドレスを掴む。
「2人から漏れ出ている殺気の中で漏れそうでしたよ」
「ほほぅ」
排泄しない体・・・アレ?
「そこに注目しないでください!」
「悪い悪い。ところでアキラはトイレに行くのか?」
「当たり前です! 人をなんだと思ってるんですか?」
「ドラキュリーナは排泄行為もあるんだな」
「何を言って・・・アリア様は無いんですか?」
「無い。この方一度もな」
「どこのアイドルですか!? 実在しているなんて」
「たまに外へ行くのはそういう事だったか」
俺と同じ体の構造をしていると思っていた。
ちなみにアルカードにも聞いてみると同じく排泄はあるという事がわかったであった。
大量の誤字脱字報告ありがとうございます!




