表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/85

第九魔王選抜大会③

「準々決勝戦、アリア様対エリン様。前へ」


俺と対戦相手のエリンが闘技場に姿を現す。


次期魔王候補と竜魔王の孫の対戦は注目を浴びた。


「よく勝ち上がって来れたの」


「負けたら意味が無いからな」


この都市の連中に言う事を聞かせるには実力を示す必要があった。


役所の連中は俺の介入で信用を得られたが都市全体では僅かな範囲でしか通用しない。


魔族とは本来強者に従う気質を持って生まれてくる。


知力もまた強さの一つだが、腕っぷしの強さが重きを置かれる。


「始め!」


あの竜魔王の孫、気を付けないとな。


「行くぞ」


グッ


態々、行くタイミングまで教えてくれる。


シュオッ


「!?」


踏み込みからエリンの姿が見えなくなった。


ドッ


「なっ、ガハッ!」


右の脇腹に衝撃が走った。


目線を向かわせればエリンの太い尻尾が俺の脇腹に食い込んでいた。


これが竜公女・・・


ゴロゴロゴロッ


闘技場の床を転がされる。


ワァアアッ


歓声が一斉に轟く。


「ワハハハッ! これが妾の力じゃ!!」


腰に手をあてて大口を開けて笑う。


「何て速さだ」


俺が見失う程の速さで動き攻撃を通してきた。


「あれは」


シュオオッ


エリンの両足に魔力が集まっている。


「脚力上昇の魔法か」


速度の秘密は魔法によるものだったようだ。


だが、それすらも気取られずに実行に移したのだからエリンの実力は想像より数段上だ。


「降参するなら今のうちじゃぞ?」


ニンマリと笑うエリン。


「誰が」


ポタッ


口の端から出血し闘技場の床に垂れる。


「ダメージも相当のようじゃな。やせ我慢は良くないと思うのじゃ」


「脚力上昇」


ボッ


俺の脚にも魔法を発動する。


「無属性魔法を使うかのぉ。では、腕力上昇」


「腕力上昇」


俺とエリンは脚力と腕力を上昇させる魔法を行使する。


「妾のスピードについてこられるかの!」


シュッ


「もちろんだ」


シュッ


常人の目では追えないスピードで互いに接近する。


ドォッ


ボォッ


腕を振るう度に空気抵抗を押し切り音が鳴り響く。


「これならどうじゃ!」


エリンの体全体が魔力に包まれて更に力を上げた。


ドッゴッ


腕をクロスしてガードするも後ろに吹っ飛ばされる。


ッキ!


かなり後ろまで飛ばされたが場外にはならなかった。


「貰ったのじゃ!!」


真上にエリンが尻尾で回転振り下ろしをしていた。


ガッ


ビシィイッ


ガードした衝撃が俺を駆け抜けて闘技場表面に罅をいれた。


スタッ


エリンは少し離れた所に降り立つ。


「流石魔王に近いと言われるアリア様に竜魔王の孫にして竜公女エリン様。我々の目では負えないスピードで戦いが分かりません」


「その魔法は」


「ふふんっ! 妾竜族の固有魔法じゃ。部分強化の更に上であるブーストじゃ」


体全体を魔力で更に覆って身体能力を大幅に上げている感じか・・・おそらく強靭な肉体を持つ竜族でしか使えない魔法なのだろう。


「力ならば」


技で対抗する。


「魔力察知(Lv7)、気配察知(Lv7)」


シュンッ


俺の周囲70mに居る存在を両面から捉えるスキル。


エリン、俺、セバスの位置情報が分かる。


「何をしても無駄なのじゃ!」


視覚では負えないスピードでエリンの姿は掻き消える。


が、察知能力で何処へ行ったかたまでは追える。


ガッ


ギッ


ドッ


何度も、何度も攻撃を俺に打ち込むが全てを防御する。


「インパクトカウンター」


エリンの放つ攻撃を魔力で反転して逆に与える魔法を放つ。


結構タイミングがシビアで完璧に合わせないと発動しない。


「きゃあぁ!」


可愛い声で自身の衝撃を受けて吹っ飛ぶ。


ザッ


流石に場外までは行かない。


「妾の攻撃を利用した?」


「どうだかな」


「それでも妾のスピードには付いて来ていないのじゃ」


再び、猛攻を俺に浴びせるがカウンターで弾き返す。


「なぜじゃ!? 妾のとっておきが」


インパクトカウンターの衝撃でエリンの衣服がボロボロとなっていく。


「その技は既に見切っている。何度やっても無駄だ」


強者が言いそうなセリフを言う。


「うぉおのれぇ!」


ビリビリッ


エリンの体が膨張して人の肌が硬質な鱗へと変貌していく。


「この大会では成らんつもりじゃったが!」


体長5m程の紅い子竜へと戻った。


「妾達竜族の恐ろしさをとくと味わうのじゃ!」


クォオオッ


エリンの口に魔力が集まり属性が付与されていく。


「炎のブレスか」


竜族のブレスはどれも強力だったからな。


竜魔王一族のブレスの威力は格段と強いんだろう。


「複数魔法、ウォーターウォール」


魔力を大量に消費して何重にも水壁を張る。


「無駄じゃ」


ゴォオオオオオ


ジュォオオオ


超高温のブレスの前には水の壁は一瞬にして蒸発していく。


バサッ


俺は空中へと退避してブレスが真下を通り過ぎる。


「何処に行ったのじゃ!?」


水蒸気が視界を塞ぐに役立つ。


「複数魔法、ブラッドクレセントムーン」


数十からなる血の広範囲魔法を真下にいるエリンへと放つ。


「うぐぅ!」


だが、硬い鱗の前では俺の魔法も軽減されている。


グォオオオオオオ!


鼓膜を破りかねない咆哮を放ち水蒸気を吹き飛ばす。


「そこにおったか!」


再びブレスの構え。


「何度もブレスを放たせると思うか! 複数魔法、ウォーターボール」


何十という数の水弾をエリンの口元に浮かせる。


「無駄だといっておろうが!」


ボッ


エリンは構わずブレスを放った。


ドゴォオンッ


エリンの近くで大爆発が起こった。


「水蒸気爆発。目の前でそれをやったらダメだろ」


水が非常に温度の高い物質と接触することにより気化されて発生する爆発現象が起こった。


先ほどの水壁の時も起こっていたがエリンには届かない爆発で意識もされていなかった。


「ごほっ」


口から血を垂らして水蒸気の影からその姿を現す。


衝撃で鱗の何枚かも吹き飛んでいる。


「負けを認めるか?」


「うぐぐっ・・・妾の負けじゃ」


「エリン様の負け宣言によって勝者アリア様!」


ワァアアア


観衆達からの大歓声が響き渡る。


「おめでとうございます! アリア様!」


「あぁ」


控室でアキラからタオルを渡される。


ここまでの戦いをしたのは久しぶりだった。


「次はあの伯爵ですね。コテンパンに倒しちゃってください」


「負けるつもりはない」


「それでしたら、あの秘密を教えて頂けませんか?」


俺とアキラの背後にアルカードが立っていた。


「何時の間に!?」


警戒するアキラ。


「ヴァンパイア一族の者なら当然できるでしょう?」


シャドウワープで部屋の中に入ってきた。


「ヴァンパイアならば水は弱点の筈。なのに何故水魔法を会得しているのですか?」


「これから戦う相手に教えると思うか?」


「私達ヴァンパイア一族は沢山の弱点を持っています。水もまた然り・・・一つでも克服ができるのであれば」


アルカードは対戦相手ではなくヴァンパイア一族代表として聞こうとしている。


「う~ん。毎日お風呂入っているとか?」


「風呂!? 風呂に入っているですって」


アルカードが驚いている。


無理もない風呂も水と数えられヴァンパイアとしては入れない領域だ。


アキラは元々水耐性を持っていたから気にせず入っている。


俺の場合は勇者の血を取り込んだ時に耐性を獲得したから育てた事で入れるようになった。


その事を話してみる。


「勇者の血ですか・・・」


「私はもう勇者じゃないからね」


チラッと見られた元勇者だったアキラは否定する。


「相手の血を飲むことで一部の能力を手に入れる力・・・それは異質である」


やはり俺の異能力は変だったか。


長年ヴァンパイアをやってきたアルカードも知らない能力だそうだ。


「魔王因子を持つ者にしか与えられない能力かもしれぬ」


「その魔王因子とは何なんだ?」


魔王との会話で偶に出る言葉。


「魔王へ至れる素質のある者を指すのだ。先天的に持つ者もいれば後天的に発現するものもいると聞く」


継承魔王の殆どは後天的に発現しているそうだ。


「だが、その心臓を取り込めば私も」


ドブンッ


アルカードはそう言い残し影の中へと入った。


俺の心臓を喰らった所で魔王になれても耐性は手に入らないと思うな。


・・・


「準決勝は魔王候補アリア様と伯爵アルカード様前へ」


普段とは違うアルカードが立っていた。


「手加減はいたしませんよ」


ピリッ


強者としての力が伝わってくる。


「手加減無用」


「始め!」


トプンッ


ドブンッ


同時に影の中に落ちる。


アルカードのダークテリトリーで会場全体が影で満たされている。


「ダクネス」


影の世界で闇の力を吸った浸食魔法を放つアルカード。


自身は俺のシャドウワープの影響を貰っているが魔法は違う。


超高速で俺へと放たれたダクネス。


「ブラッドソード」


ザンッ


ダクネスを一刀両断し影の中で爆発を起こす。


「複数魔法、ダクネス」


お返しに複数のダクネスを放つ。


「ブラッドカッター」


同数のブラッドカッターで相殺されていく。


小競り合いでは埒が明かない。


「ヴァンパイア一族の最大の弱点は光」


ポゥ


影の世界で輝く光。


「馬鹿な」


それを目の当たりにしたアルカードが驚愕する。


「複数魔法、ライトボール!」


カアアアッ


影の世界で光玉が複数個も浮かび上がりアルカード周囲へと飛来する。


ジュォオオ


光に当てられてアルカードの肌が焼け始める。


「ぐぉおぉ!」


火傷を負いながら外の世界へと逃げていく。


ドバッ


影の世界から出て来たアルカードは白い肌を真っ赤にして出て来て観客からドヨメキが起こる。


スゥウ


俺も影の世界から表の世界へと出て行く。


カッ


光り輝くライトボールを引き連れて。


「あ、あれは」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ