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第九魔王選抜大会②

本戦トーナメントへの出場者は64名。

1回戦目で32名が残り、

2回戦目で16名が残り、

3回戦目で 8名が残り、

4回戦目で 4名が残り、

5回戦目で 2名が残り勝者を決める。


トーナメント出場者には決められた日時でのスケジュールが組まれて進行していく。


これまでの戦績等を評価対象として出来るだけ同レベル帯の魔族同士で組ませている為、一戦毎が見ごたえのある本戦となった。


「27組目、アリア様対アクアリウム様」


ペタペタッ


「アレは?」


見たことの無い姿をした魔族が姿を現した。


全体的に半透明に水色に見える色素。


姿は全裸の少女を模っているがエロくはない。


光の反射で艶々と輝いて見える。


「それでは始め!」


セバスの声で始まる。


ペタペタペタッ


ペタタタッ


最初はゆっくりとした動作から加速して近づいてくる。


「ブラッドソード」


ヴンッ


一瞬にしてブラッドソードを作り出して、目の前の魔族へと振るう。


ブジュッ


なんの手ごたえも無くソードは目の前の魔族の肩口を切り裂いた。


「無駄」


小さな声で言う少女はその状態で俺の腹に手を這わせる。


ドッ


「ぐっ」


衝撃が手から発せられて後方に押しやられる。


「ゲホゲホっ」


ブジュルルッ


ブラッドソードで傷ついた部分は修復されていく。


「その体・・・スライムか?」


俺の記憶から引っ張り出してきた答え。


「そう、私はヒュージースライム。意思のある上位魔族」


スライムの強さはその体の構造にあるという。


「物理無効化か」


「私に物理は効かない」


ビュッ


腕を硬質化させた剣で迫ってくる。


「ブラッドサイズ」


ギィンッ


「折角の物理無効が意味ないぞ」


「問題ない」


グニュッ


サイズの刃を浸透して抜けてきた。


パッ


手を放して後退する。


ワァアアア


周囲で歓声が巻きおこる。


「私の夢は魔族の頂きに登る事・・・散々罵ってきた連中を見返す為」


ギンっ


今度は左手を盾に変形させて突っ込んでくる。


キィンッカンァツン


硬質化させた腕は金属のように固く鋭い。


ピッ


何度か俺の肌に届く。


「貴女が魔王だったとしても私は勝つ」


無表情で淡々と語るヒュージースライムのアクアリウム。


「マナインパクト」


至近距離の魔力衝撃波を放つ。


ビチビチビチッ


「ぐっ」


流石に衝撃を受けて体に大穴を開けて表情を歪ませる。


ブジュジュジュッ


スライムの流体が体を再生していく。


「私に物理は効かない。無駄」


「それは如何かな?」


ボワッ


サイズの刃から炎が上がる。


「闇と無の使い手じゃ」


これまで使ってきた魔法は闇と無属性。


「切り札は常に隠しておくものだろう。炎の熱に耐えられるか?」


魔力を追加して温度を上げていく。


「ウォータープリズン」


ギュルウッ


俺の周囲に水で出来た牢屋が作り出される。


「フンッ」


ジュォオオ


水の牢はサイズの炎を鎮火しようと抵抗する。


「その牢獄は簡単に抜け出せない」


「シャドウワープ」


トプンッ


俺は自身の影へと落とす。


「なっ!?」


闘技場の上で驚愕を現すアクアリウム。


スゥウ


気配を殺し、アクアリウムの背後の影から姿を現す。


「後ろ!?」


振り返ろうとする前に両手を突き出す。


「疑似エクスプロージョン」


ドゴォォンッ


爆音と爆風がアクアリウムを襲う。


ビチャッ


べチャッ


周囲にアクアリウムの体だった物が飛び散る。


「アリア様!? ルールをお忘れですか!! 殺してはなりませんのですよ」


その惨状にセバスが飛んできた。


大会のルールでは対戦相手を殺してしまうのはご法度としていた。


「大丈夫だ。見ろ」


爆煙の中でアクアリウムの体の一部が蠢きだす。


ブシュブジュッ


「危なかった」


20㎝程度まで縮んでしまったがアクアリウムが再生した。


「核の部分は傷つけていないから再生は可能だろう」


「負けを認める・・・私の力では勝てない」


「アリア様の勝利です」


ワァアアアアッ


勝利宣言を受けて控室へと帰る。


「アリア様! おめでとうございます」


アキラがタオルを持って出迎えてくれた。


「いづれ対戦相手になるかもしれないんだぞ?」


「それは、それ。これは、これです。で、そのスライムは如何したんです?」


俺の肩にのるアクアリウム。


「私は強さを求める。アリアの強さを知りたい。だから付いていく事にした」


無表情で淡々という。


「あなたの言う事は理解しました。ですが、離れてください!」


「なぜ?」


コテンと首を傾げるアクアリウム。


「アリア様は尊い方です。ベタベタ触れないでください」


「今の私は殆どの力を失った。手助けは必要」


「なら、私が手を貸します」


ガシッ


肩に乗っていたアクアリウムを掴んで自身の胸の谷間に挟む。


「これは、これで」


俺の心が揺れる。


「アリア様、それは夜にしてください」


「夜? それは強くなる秘密?」


「貴女は知らなくていいんですよ」


「知りたい。夜に何をしてるのか?」


「気にしなくてもいいんです。では、失礼します」


アキラが部屋を出て行った。


「最近のアキラは可愛くなってきたな」


元から可愛いんだが最初あった頃より表情豊かになってきた。


「さてと、出てこい」


スゥウッ


物陰から姿を現すアルカード。


「流石はアリア嬢ですね」


「お前はストーカーか?」


あの日以来、奴は俺の周囲に居るようになった。


流石に寝泊まりしている空座城には入って来ないようだが。


「この一週間ほど見張らせてもらいましたが、毎日毎日あの劣等種と交わられて」


「羨ましいか?」


「いいえ。なぜ、貴女のような物が同性を?」


「なんだ、気づいていないのか?」


「?」


「体は女だが、心は男なんだよ」


「なっ!?」


「男を好きにならない理由はソレだぞ。この1週間見張ってきたのなら気づいていると思ったんだがなあ」


「その可憐な姿で心が男だと・・・信じられん」


ヨロヨロとするアルカード。


「お前も男なら女を好きになるのは当然の考えなんだろ?」


否定は出来まい。俺を女として言い寄ってきているんだからな。


「いや、そう思わせて私を遠ざけようと」


なぜ、そうなるんだよ。


「これは演技だ。照れ隠しに下僕を使っているに違いない」


変な結論を導き出したアルカードが異様な空気を出してジリジリと近づいてくる。


「待て待て、変な気を起こすな。俺は」


「その口調も周囲を騙す演技に違いない。私は騙されんぞ」


ガシッ


今にも抱き着いて来そうな両腕を掴み抑える。


ガチャッ


「おめでとうなのだ! 流石おじい様が名付けただけはあるのじゃ」


元気よく笑顔の竜公女エリンがドアを開いた形で固まった。


「妾は何も見ておらぬぞ」


そう言って、そっとドアを閉める。


「邪魔が入って」


トプンッ


アルカードが振り向く前に俺は影の中へと入る。


「待つのだ」


ドブンッ


干渉できるのか!?


俺のシャドウワープの空間にアルカードが割り込んできた。


「これ以上関わるな」


俺が逃げるように移動する。


「なんだ、この魔力は」


俺のシャドウワープ内に割り込んできたアルカードは思い通りに動けずにドンドンと離れていった。


トプンッ


「ここまで来れば」


とある部屋へと逃げ込む。


「へ、あ? アリア様!?」


「おぉ、悪いな」


丁度着替え中のミザールだった。


ミザールの家に来てしまった様だった。


「ちゃんと、鍵を、あれ?」


俺の出現に困惑を隠せない。


「厄介な奴に追われてるんだ」


「え? あ、はい?」


「暫く匿ってくれ」


「はぁ、構いませんけど」


困惑しながらもゴソゴソと着替えを進めるミザール。


コトッ


「粗茶ですが」


テーブルの上に紅茶が置かれる。


「誰に追われているんですか? アリア様ほどなら大抵は勝てますよね」


「相手は伯爵だ」


「あの伯爵ですか? たしかヴァンパイアでしたっけ?」


「あぁ。目を付けられてしまった」


「私は良くしりませんが、アリア様の協力はしますよ」


「助かる・・・」


「アリア様?」


「何度見ても美人だな」


「そ、そんな事ありませんよ」


出合った頃は髪の毛はボサボサでメガネを掛けている兎人族だったが今では美女に変貌している。


白いロングの髪はサラサラの絹の様に顔を隠さなかくなったようになり、最近ではメイクを自身に施した。


服装も白衣は変わらないが中に来ていたオーバーオールではなく黒のシャツとスカートになっている。


美容に特化した店の成果がミザールの中に隠されていた美への追及心に火をつけた。


「そういえば、コレが完成したんですよ」


机の上に置いてあった筒状のものを持ってきた。


「遂にか」


ミザールは他者からの依頼ではなく自身の希望を叶えるためにとあるものを作っていた。


「温風乾燥機です」


ドライヤーだな。


持ち手の部分は無い筒その物であり、魔石の魔力を使用して周囲に熱を伝わらせて空気を送る事で温かい空気が出る仕組みだ。


ミザールや俺の様な長い髪を持つ者にとっては有難い道具だな。


以前、俺が火と風の魔法を組み合わせて髪の毛を乾かしていた時に発想を得た様だ。


「更に送風機です」


「暑い地方では役立ちそうだな」


応用で空気は温めず空気を送り出すだけの魔道具もちゃっかり完成させていた。


「これで魔力が少ない魔族でも助かりますね」


そいういうミザールも魔力総量は少なく一日で使用できる魔法は限られている。


だからこそ、魔道具制作に力を入れてきたらしい。


「コレが量産できたらいいな」


「私一人では限界が来てしまいますからね。あ、コレを使ってください」


俺にドライヤーを渡すミザール。


「お前が使うんじゃ?」


「私の分はありますよ。これは宣伝用ですので」


俺を広告塔に使う気か・・・やるな。


「ありがたく使わせてもらう。またくる」


「はい」


ガチャッ


鍵を開けて俺はミザールの家から出て行った。


「やっぱり、鍵かかってました!?」

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