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記録装置②

ゴトンッ


「コレで記録装置とやらを作って欲しい」


ワイバーンの魔石を机に置き、俺に頼み込む商人のまとめ役ゴードン。


良く手に入ったな。


「まだ、改良の余地があるアレを作れと?」


作成・修正・記録しか出来ない装置にだぞ?


「アレにはすさまじい価値がある。聞けば紙の使用を抑える効果があるそうじゃないか!」


確かにアレに切り替えてから紙の使用率は抑えられている。


細かい物は紙に依存する形となっているのも事実。


「俺の商売人の魂が告げてやがる。買えと」


「後で文句を出すんじゃないぞ?」


「あぁ!」


「セバス」


「はっ!」


後ろに控えていたセバスが紙を取り出す。


紙を削減する装置の話に紙を消費する。


「契約書だと?」


「そっちでも使うだろ。商品は渡すが文句を言わせない契約書だ」


「分かった」


互いに契約書にサインして双方に渡す。


「ミザールには伝えておく。納期は本人から聞いてくれ」


「頼んだぞ」


ゴードンは帰っていった。


「アリア様も人が悪いですね」


「金貨500枚を普通に出すかね」


装置作成費用に金貨500枚を要求して疑う事なく渡してきた。


その価値があると判断したのかは分からないがワイバーンを狩るよりも稼いでいる。


ゴードンも銀行に入っている為、金銭の受け渡しは内々で処理する。


仲介手数料を貰ってミザールにその金額を渡してみると腰を抜かしていた。


「お前の作る物にそれだけの価値があったという事だ。喜べ」


「はいぃ!」


徐々に地盤が固まっていくのを感じる。


「ゴードンの所と繋げられるか?」


「可能ですが、魔力消費も増えますよ」


そう、通信する為には少なからず魔力が必要となる。


受付の距離なら小さな魔石で十分だが、都市内部とはいえ離れている場所での通信となれば消費量が増える。


魔王の遠距離通信魔道具は魔王自身の魔力を消費しているから問題とされない。


しかし、この記録装置には他からの魔力供給は想定されていない為にワイバーンの魔石から魔力を使う事になる。


つまり、魔石としての寿命が縮んでしまう。


魔石も未来永劫使える訳ではない。


「使用者の魔力を使うにしても倒れる魔族もいますよね?」


魔王だからこそ出来る技であり一般的な魔族が通信する度に魔力を持っていかれたら溜まったものではないだろう。


「別途通信装置が必要か?」


「作れなくは無いですが1ヶ月に中級魔石は必要になるかと」


中級魔石を1ヶ月に一度必要になるのか・・・討伐ギルド経由で買えても安定供給出来ないしな。


魔石にも最下級、下級、中級、上級、最上級という区別がされている。


ワイバーンは上級、子機に使用されているは下級だ。


中級のモンスターが安定的に狩れるならば計画は進めてもいいが・・・


「一旦保留だ。とりあえずゴードンの所に作ってやってくれ」


「分かりました」


保留にして討伐ギルドへと赴く。


「中級の魔石だぁ? 欲しけりゃくれてやるソコに置いてある」


何処かで聞いた事のある様なセリフを吐く、討伐ギルドの売買専門カウンターの受付。


中級の魔石がカゴ一杯に入っていた。


「これ、ウチに卸してくれないか?」


「あぁん? って、アリア様じゃねぇか。どうしてこんな場所に!?」


討伐ギルドでも有名になっていた。


「少し中級魔石が必要でな。安定的に供給できる場所が必要でな」


「まぁ、魔石は使い道が殆どねぇからな。ないです」


「口調はそのままでいいぞ。敬語は要らん」


「わかった。何に使うんで?」


「それは秘密だ。で、卸してくれるのか?」


「構わねぇ。在庫も?」


「ある分だけくれ」


「わかった」


・・・


「どうしてこうなった?」


金庫の片隅を埋め尽くす中級の魔石。


「いやはや、ここまで使われない物なんですね」


魔石の使用用途は少なくて・・・倉庫一杯に入っていた物を買い付けた。


「数十年分はコレで足りますね」


「とりあえず通信装置も頼もう」


ミザールにこの事を話すと再び腰を抜かした。


それからミザールとセバスが意見を交換して俺が微調整を加えて魔石記録装置が完成を果たした。


これで紙での処理が大幅に消える事となる。


アキラには無茶をして貰ってワイバーンを8頭狩ってきてもらい8つの魔石記録装置を門へと配置する事で更なる紙削減となった。


「助かりました」


「ミザールの力があったからな」


魔道具制作の前任者といえるミザールが居なければ不可能だったに違いない。


「私の努力が認められて嬉しいです」


「他にもアイデアはあるから、俺の無茶振りを叶えてくれよ」


「できうる限りお答えしますよ!」


「ふむ」


「なんでしょうか?」


ミザールが眉をハの字にして困る。


「セバス・・・ミザールは磨けば輝くと思うか?」


「急に話題を変えないでください・・・私目線からすれば、かなりと申し上げましょう」


「だよな」


今はボサボサの髪に分厚いメガネで顔の殆どを隠しているが磨けば輝く原石だと思った。


「そこ等に詳しい人はいるか?」


「何名か心当たりがありますが、来て貰いますか?」


「こちらから出向こう。アキラにも褒美を与えないとな。いつも同じ格好ばかりさせているし」


「アリア様! それならアリア様もですよ。魔力で作り出したドレスを着ているんですから」


「「!?」」


その言葉にセバスとミザールが驚き固まる。


「アリア様、そのお召し物は魔力で作られているんですか?」


「あ、あぁ」


「少し触ってもいいですか?」


「構わないが」


ミザールがスカートの裾に手を這わせる。


「コレが魔力で出来たドレス!? なんてスベスベなんですか・・・・まるで赤子の様な肌ですよ」


「これほどまでにキメ細やかな繊維を魔力で作り出して編まれているなんて」


魔力と血で出来たドレスを2人は凝視して感想を述べている。


「これってアリア様から離れたりしたら消滅しますか?」


「いや、そんな事ないと思うが」


バッ


一瞬で同じドレスを作り出す。


「え? 一瞬」


「流石覚醒魔王様ですね」


「セバスさん、覚醒魔王って?」


「ご存知なかったんですか? アリア様は覚醒魔王様ですよ」


ドッ


何度見たかミザールは腰を抜かして震える。


「ひぇええ! ご無礼を!!ご無礼を致しました」


勢いよく頭を付けて謝り始めるミザール。


どうやら、俺の事を空座都市運営トップだと思い込んでいたらしい。


「正式な魔王ではないから頭を下げなくていい。魔王選抜大会も魔石記録装置も認められる為に動いているだけだからな」


「は、はぁ。有難うございます?」


「私も後から知った時は命が無いと思いましたよ。まぁ、この方は気にしない気質らしいですので安心してください」


セバスにも恐れられていたのか。


「話を戻しますが、このお召し物は私の目から見ても最上級の素材で作られているのは過言ではありません」


「そうなのか?」


「こんな素材滅多に出会えませんよ。私の目から見てもです」


女性のミザールから言われてしまうと信じざる負えなくなるんだが。


「この素材があれば色んな事に使えそうですね」


別の事を考え始めるミザールを放っておく。


「セバス、コレは俺の血と魔力で作り出している」


「血ですか・・・さすがヴァンパイア一族ですね。それを着るには些か勇気が要りますよ」


血で出来たドレスを着たいとは思わないか。


「売るとしても相手が同格でなければ死を待つばかりですね」


「なんだと?」


「知らなかったんですか? 上位種族の体から作り出された物を使っていると使用者の命を奪うという事を」


「えぇ!? 私も死んじゃうんですか?」


アキラが驚愕している。


俺の作り出した別の服を着させているからな。


「主従関係でしたら影響は受けません」


「よかったぁ」


「もはや呪いの装備だな」


他者から見たら死に向かうドレスだしな。


「ですからコレは売れませんね。淫魔王様くらいですかね」


「この件は終わりだ。案内してくれ」


「畏まりました」


セバスに連れられて美容系に通じる魔族の店へと向かった。


美容に特化しているだけあって店員もレベルが高ったのは言うまでもない。

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